新食品・栄養等分野

■ 新食品・栄養等分野

バイオテクノロジー Biotechnology 【最終更新日 2016年4月】

 「バイオロジー」(生物学;Biology)と「テクノロジー」(科学技術;Technology)を合成した言葉で、「生物工学」又は「生命工学」等と訳される。生物又はその機能を効率的に利用、応用する技術のことで、遺伝子組換え、細胞融合、組織・細胞培養技術等が含まれる。

 

遺伝子組換え食品 GM foods:Genetically Modified Foods 【最終更新日 2016年4月】

 遺伝子組換え技術(組換えDNA技術)によって得られた生物を利用した食品(食品添加物を含む。)。遺伝子組換え技術とは、ある生物の遺伝子を人為的に他の生物の染色体等に導入する技術のこと。この技術を応用することにより、作物の生産効率の向上や、有用成分を強化した食品の開発が可能となる。現在、除草作業の効率を高める除草剤耐性作物や殺虫剤の散布を軽減できる害虫抵抗性作物等の遺伝子組換え作物(大豆、トウモロコシ、ナタネ、ワタ等)、遺伝子組換え微生物を利用して製造された酵素等の食品添加物が実用化されている。
 遺伝子組換え作物等は、食品としての安全性については食品安全基本法及び食品衛生法に基づき、また生物多様性への影響(いわゆる環境への安全性)については「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(いわゆるカルタヘナ法)」に基づき、審査・承認を得ることとされており、科学的に評価し、安全性が確認されたものだけが国内での流通・使用が可能な仕組みとなっている。
 なお、遺伝子組換え技術を用いた飼料及び飼料添加物については、飼料安全法により規制されている。遺伝子組換え農産物とその加工食品については、食品表示法に基づいて、表示ルールが定められている。

 

宿主 Host 【最終更新日 2016年4月】

 遺伝子組換え技術において、遺伝子が移入される生細胞及び個体。

 

ベクター Vector 【最終更新日 2016年4月】

 遺伝子組換え技術において、目的とする遺伝子を宿主に移入し、増殖させ、又は発現させるために用いられる、当該遺伝子を有する核酸分子。

 

挿入遺伝子 Insert Gene 【最終更新日 2016年4月】

 遺伝子組換え技術においてベクター又は宿主ゲノムに挿入される遺伝子。

 

ドナー(供与体 Donor) 【最終更新日 2016年4月】

 遺伝子組換え技術において挿入遺伝子を提供する起源微生物又は動植物等。

 

発現ベクター Expression Vector 【最終更新日 2016年4月】

 遺伝子組換え技術において挿入遺伝子による新たな形質(タンパク質)を適切に発現させるために構築されたベクター

 

組換え体 Recombinant Organism 【最終更新日 2016年4月】

 遺伝子組換え技術において、目的の遺伝子が導入された宿主

 

イベント Event 【最終更新日 2016年4月】

 組換え体を作成する場合、宿主及び挿入遺伝子が同じであっても、遺伝子の挿入位置等が異なる様々な組換え体ができる。このような、様々な組換え体の各々をイベントという。食品の安全性審査では、イベント毎に審査することを原則としている。

 

遺伝子産物 Gene Product 【最終更新日 2018年12月】

 遺伝子組換え技術において、挿入遺伝子から産生されるRNA又はタンパク質。

 

遺伝子組換え微生物 Recombinant Microorganism 【最終更新日 2016年4月】

 組換えDNA技術を応用して得られた微生物(細菌、酵母、糸状菌)。

 

ターミネーター Terminator 【最終更新日 2016年4月】

 転写(DNAからRNAを合成する段階)を終結させる目印となる塩基配列を含むDNA領域。

 

オープンリーディングフレーム ORF:Open Reading Frame 【最終更新日 2016年4月】

 終止コドン(タンパク質合成行程の終了を指示する塩基配列)に中断されずにタンパク質へと転写・翻訳される可能性のある塩基配列。

 

RNA干渉 RNA interference 【最終更新日 2018年12月】

 二本鎖RNAに相補的な塩基配列を持つmRNAが分解され、遺伝子の発現が抑制される現象。

 

コドン Codon 【最終更新日 2016年4月】

 遺伝情報を担う核酸分子の塩基配列がアミノ酸配列に翻訳される場合の暗号の単位。1つのアミノ酸に3つの連続した塩基(トリプレット)が対応しており、20個のアミノ酸をコードする61種のコドンがある。この他にアミノ酸をコードしない3種の終止コドン(対応するアミノ酸が存在せず、ここでタンパク質の合成行程が終了する)がある。

 

クローン Clone 【最終更新日 2016年4月】

 一般に、一個の細胞(個体)から無性生殖によって増えた細胞(個体)群のことで、同一の遺伝子を持つ細胞や個体(の集合)のこと。挿し木や球根で増えた植物は、受粉を経ていないことからクローンであり、哺乳動物でも、自然に発生する一卵性の双子や三つ子は、お互いのクローンといえる。
 クローンを作製する技術(クローン技術)は、古くから農業の分野において行われており、品質のそろった農作物や園芸作物の生産に役立っている。また、近年、一部の哺乳動物においても、遺伝的に同一なクローン個体を作製する技術がある。

 

体細胞クローン Clone from Somatic Cell, Animal Clone 【最終更新日 2016年4月】

 一般に、動物の体細胞を利用して元の動物と遺伝学的に同一な個体を新たに作製する技術のこと。家畜等の動物の体細胞クローンの作製は、元となる個体の皮膚や筋肉等の体細胞から遺伝子を含む核を取り出し、核を抜いた未受精卵に元となる個体の核を移植し、電気的刺激等により融合させた卵を雌の家畜の子宮へ移植・受胎させ、クローン個体を出産させるという手順で行われる。作製された個体は、元の体細胞を取り出した個体と同一の遺伝情報を持っている。
 畜産の分野では、生産性や品質の向上等を目的とした牛や豚等の家畜の改良を進めるための有効な手段の一つとして期待され研究開発が進められている。また、畜産分野以外でも動物の体細胞クローン技術は、実験用動物の生産手段、医薬品の製造手段及び希少動物等の保護・再生手段への利用が期待されている。

 

クローニング(クローン化) Cloning 【最終更新日 2016年4月】

 同一の遺伝子を持つ細胞や個体(の集合)を再製すること。また、分子生物学においては特定の配列を単離し、増やすこと。

 

セルフクローニング Self Cloning 【最終更新日 2016年4月】

 遺伝子組換え技術により宿主に導入されたDNAが、当該宿主と分類学上の同一の種に属するDNAのみであるもの。

 

ナチュラルオカレンス Natural Occurrence 【最終更新日 2016年4月】

 遺伝子組換え技術により作成された組換え体と同等の遺伝子構成を持つ生細胞が自然界に存在するもの。

 

害虫抵抗性遺伝子組換え作物 Insect Resistant GM Crops 【最終更新日 2016年4月】

 農作物を食害する特定の昆虫の幼虫に対して毒性を発揮する遺伝子(バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)という細菌が産生するBtタンパク遺伝子等)を導入し、害虫への抵抗性を付与した遺伝子組換え作物のこと。

 

除草剤耐性遺伝子組換え作物 Herbicide Tolerant GM Crops 【最終更新日 2016年4月】

 特定の除草剤の影響を受けにくくする遺伝子(特定の除草剤の影響を受ける代謝経路を迂回することができるタンパク質を発現する遺伝子等)を導入した遺伝子組換え作物のこと。

 

スタック品種(掛け合わせ品種) Stacked GM Varieties 【最終更新日 2016年4月】

 一般に、複数の遺伝子組換え系統を掛け合わせた品種のこと。例えば、害虫抵抗性と除草剤耐性の遺伝子組換えトウモロコシを掛け合わせ、両方の性質を併せ持ったスタック品種が作出されている。

 

ES細胞(胚性幹細胞) Embryonic Stem Cell 【最終更新日 2016年4月】

 受精後6、7日目の胚盤胞から細胞を取り出し、培養することによって作製される。代表的な多能性幹細胞の一つで、あらゆる組織の細胞に分化することができる。

 

iPS細胞(人工多能性幹細胞 Induced Pluripotent Stem Cell) 【最終更新日 2016年4月】

 人間の皮膚等の体細胞に、ごく少数の因子を導入し、培養することによって、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力と、ほぼ無限に増殖する能力をもつ多能性幹細胞に変化させた細胞のこと。2006年に作出された。これまでに、神経、心筋、血液等、様々な組織や臓器を構成する細胞に分化することが報告されている。

 

新植物育種技術 NPBT:New Plant Breeding Techniques 【最終更新日 2018年12月】

 従来の遺伝子組換え技術とは異なり、より精密なゲノム編集技術等により、植物の特性を改変する新たな育種技術の総称。

例:人工制限酵素を利用したゲノム編集技術、オリゴヌクレオチド誘発突然変異導入技術、シスジェネシス/イントラジェネシス、RNA依存性DNAメチル化技術、遺伝子組換え台木を利用した接ぎ木、逆育種、アグロインフィルトレーション、Seed Production Technology(SPT)プロセスなど

 なお、これら新育種技術には、動物に活用されているものもある。

 

食事摂取基準 DRIs:Dietary Reference Intakes 【最終更新日 2018年12月】

 エネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示すもの。
 我が国では、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準として、健康増進法(平成14年法律第103号)に基づき厚生労働大臣が「日本人の食事摂取基準」を定めている。同基準において、栄養素の指標として、摂取不足の回避を目的とする指標(推定平均必要量、推奨量、目安量)、過剰摂取による健康障害の回避を目的とする指標(耐容上限量)等が定められている。
 なお、諸外国、国際機関でも、それぞれ食事摂取基準が定められている。

(参考)
 ・日本人の食事摂取基準(厚生労働省ウェブサイト)
  https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html外部サイトが開きます
 ・諸外国、国際機関の食事摂取基準(国立健康・栄養研究所ウェブサイト)
  https://www.nibiohn.go.jp/eiken/kenkounippon21/foreign/kijun.html外部サイトが開きます

 

いわゆる「健康食品」 【最終更新日 2016年4月】

 いわゆる「健康食品」に関しては、食品安全委員会において、その報告書(平成27年12月)を取りまとめた。報告書では、いわゆる「健康食品」を医薬品以外で経口的に摂取される「健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品」と定義した。このため、特定保健用食品栄養機能食品機能性表示食品といった制度上の区分や、「体重を減らす」といった目的等も区別することなく、こうした食品もいわゆる「健康食品」に含まれる。

 

保健機能食品  Food with Health Claims 【最終更新日 2018年12月】

 栄養成分の補給や特定の保健の用途に資するもの(身体の機能や構造に影響を与え、健康の維持増進に役立つものを含む。)であることについての表示が認められている食品であり、「特定保健用食品」、「栄養機能食品」及び「機能性表示食品」の3つがある。

 

特定保健用食品 Food for Specified Health Uses 【最終更新日 2016年4月】

 体の生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含む食品で、血圧、血中のコレステロール等を正常に保つことを助けたり、おなかの調子を整えたりするのに役立つ等の特定の保健の用途に資する旨を表示するもの。特定保健用食品として販売するためには、製品ごとに食品の有効性や安全性について審査を受け、表示について国の許可を受ける必要がある。食品安全委員会は安全性の審査を担当している。健康増進法第26条に基づく制度。

 

栄養機能食品  Food with Nutrient Function Claims 【最終更新日 2016年4月】

 栄養成分(ビタミン、ミネラル)の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するもの。栄養機能食品として販売するためには、一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分が上・下限値の範囲にある必要があるほか、栄養機能表示だけでなく注意喚起表示等も表示する必要がある。対象とされている栄養成分には、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム等がある。
 個別に許可を受けている食品ではなく、国が定めた栄養成分の規格基準に適合していれば事業者の責任で「栄養機能食品」と表示し、その栄養成分の機能の表示をすることができる。食品表示法(平成25年法律第70号)第4条に基づく制度。

 

機能性表示食品 Food with Function Claims 【最終更新日 2018年12月】

 事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性(※)を商品パッケージに表示した食品。商品の販売前に、安全性及び機能性の根拠に関する情報等について、事業者から消費者庁長官へ届け出られる。特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を経たものではない。食品表示法第4条に基づく制度。

 ※ 機能性…「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、特定の保健の目的が期待できる性質。

 

サプリメント Supplements 【最終更新日 2016年4月】

 ダイエタリー・サプリメント(Dietary Supplements)の略語で、「健康補助食品」、「栄養補助食品」と訳され、主にビタミンやミネラル、アミノ酸等、日頃不足しがちな栄養成分を補助するものを指すが、我が国において法令上明確な定義はない。特定保健用食品等とは異なり、一般にサプリメントについては、食品安全委員会によるリスク評価等が行われておらず、安全性が確保されていないことに留意が必要である。
 食品安全委員会では、サプリメントを含むいわゆる「健康食品」による健康被害事例等についてウェブサイトに掲載するとともに、健康食品の危害に関する関連サイトを紹介し、情報提供に努めている(※)。

※ 「健康食品に関する危害情報について」(食品安全委員会ウェブサイト)
 https://www.fsc.go.jp/kigai_jyoho/index.html

 

イソフラボン Isoflavone 【最終更新日 2016年4月】

 大豆等のマメ科の植物に多く含まれる物質であり、特定の基本構造を有する化合物の総称である。大豆には、大豆イソフラボン配糖体(※1)(ゲニスチン、ダイジン、グリシチン等)が含まれており、これを食べると腸内で分解され、非配糖体(※2)(ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテイン等)になる。
 ※1 配糖体…糖と結合した構造
 ※2 非配糖体…糖が結合していない構造。イソフラボンの非配糖体のことをイソフラボンアグリコンともいう。

 大豆イソフラボンは、植物エストロゲンの一つといわれ、その化学構造が女性ホルモンに似ていて、エストロゲン受容体に結合することからエストロゲン作用に対し、促進的あるいは競合的に生体作用を発揮することが、試験管内の試験や動物実験で示されている。
 食品安全委員会は、平成18年に大豆イソフラボンの食品健康影響評価を行っており、安全な一日摂取目安量の上限値を、大豆イソフラボンアグリコンとして70-75 mg/日とし、妊婦、乳幼児及び小児については、日常的な食生活に上乗せしてサプリメントとして摂取することは推奨できないとした。

 

飽和脂肪酸 Saturated Fatty Acid 【最終更新日 2016年4月】

 脂肪酸(末端にメチル基を、一方の末端にカルボキシル基を持つ)の中で、炭素−炭素二重結合を全く持たないもの。化学的に安定しており溶ける温度(融点)が高く、室温では固体の状態である。飽和脂肪酸から作られるトリグリセリドは消化吸収されやすく、エネルギー源として利用される。代表的なものとしてパルミチン酸、ステアリン酸がある。
 なお、飽和脂肪酸については、「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」の目標値の上限を超えるグループがあることから、留意が必要とされている。飽和脂肪酸摂取量が多いと冠動脈疾患、肥満、糖尿病等が問題となる。

 

不飽和脂肪酸 Unsaturated Fatty Acid 【最終更新日 2016年4月】

 脂肪酸の中で炭素と炭素−炭素二重結合を一つ以上持つもの。化学的に不安定で、融点が低く、室温では液体の状態である。
 代表的なものに、二重結合が一個の不飽和脂肪酸にオレイン酸、二個以上のものにリノール酸、アラキドン酸、α及びγ-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等がある。炭素に結びつく水素の向きでシス型とトランス型に分類される。

不飽和脂肪酸中の炭素―炭素二重結合

 

トランス脂肪酸 Trans Fatty Acids 【最終更新日 2016年4月】

 孤立したトランス型の炭素−炭素二重結合を持つ不飽和脂肪酸の総称で、共役二重結合を持つ脂肪酸はトランス脂肪酸に含まれない。マーガリンやショートニング等、水素を添加して硬化した部分硬化油、精製植物油、牛・羊等の反すう動物の肉、乳製品等に含まれている。その作用としては、いわゆる悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増加させ、いわゆる善玉コレステロール(HDLコレステロール)を減少させる働きがあるといわれている。
 平均的な日本人よりトランス脂肪酸の摂取量が多い諸外国では、トランス脂肪酸の摂取により冠動脈疾患の発症が増加する可能性が高いとする研究報告がある(ただし、反すう動物由来のトランス脂肪酸(バクセン酸)は、これら疾患との関係は低いと考えられている)。しかしながら、大多数の日本人の摂取量は、WHO(世界保健機関)の勧告(目標)基準であるエネルギー比1 %未満であり、これらの疾病罹患リスク等との関連は明らかではなく、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる。また、事業者の一部には食品中のトランス脂肪酸の低減に取り組んでいるところもある。食品安全委員会では「食品に含まれるトランス脂肪酸」について、平成24年3月に評価結果を取りまとめた。
 なお、食品中のトランス脂肪酸低減に伴って増加傾向が認められる飽和脂肪酸については、「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」の目標値の上限を超える性・年齢階級があることから、留意が必要とされている。

 

放射線照射食品(照射食品)  Irradiated Food 【最終更新日 2016年4月】

 農作物の発芽抑制、熟度調整、食品の殺虫・殺菌等を目的として、放射線を食品に照射することを食品照射といい、照射された食品を放射線照射食品又は照射食品という。使用される放射線はガンマ線(コバルト60及びセシウム137)、10 MeV(メブ、メガ電子ボルト)以下の電子線又は5 MeV以下のX線で、現在、我が国では、食品衛生法によりジャガイモの発芽防止を目的としたガンマ線照射のみが許可されている。
 放射線照射食品の安全性等の評価に関しては、1980年にFAO(国際連合食糧農業機関)、IAEA(国際原子力機関)、WHO(世界保健機関)の食品照射に関する合同専門家委員会が1980年に10キログレイ以下の照射食品について、毒性を示すことがなく、栄養減損等の問題もない旨の結論を示している。
 国際的には食品への放射線照射は、香辛料や乾燥野菜の殺菌に用いられている。
 香辛料は加熱殺菌するとその香味が著しく損なわれること、また直接食べるものであることから、薬剤による殺菌・殺虫を避けるためである。香辛料への放射線照射はアメリカ合衆国、カナダ、全EU加盟国、オーストラリア、ニュージーランド、大韓民国、中華人民共和国等で許可されている。