「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A(リスク評価全般)

「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A
【化学物質系(添加物、残留農薬、汚染物質等)】
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III 化学物質系(添加物、残留農薬、汚染物質等)

 III-1 食品添加物複合影響
 III-2 保存料着色料などの食品添加物は本当に安全か。
 III-3 食用タール系色素
 III-4 カラメル色素
 III-5 アカネ色素
 III-6 人工甘味料
 III-7 アルミニウム
 III-8 ポジティブリスト制度
 III-9 ARfD
 III-10 メチル水銀
 III-11 ヒ素
 III-12 ホルモン剤
 III-13 成長ホルモン剤
 III-14 トランス脂肪酸
 III-15 アクリルアミド
 III-16 大豆イソフラボン
 III-17 カフェイン
 III-18 ビタミンA
 III-19 ビスフェノールA
 III-20 亜硝酸ナトリウム硝酸塩
 III-21 「塩」塩化ナトリウム(NaCl)
 III-22 加工肉赤肉red meat
 III-23 食品中の放射性物質
 III-24 食品中の放射性物質の基準値
 III-25 食品中の放射性物質の検査の結果
 III-26 放射性セシウム以外の放射性核種への対策
 III-27 芽止めのために放射線を照射されたばれいしょ(ジャガイモ)

Q&A

Q III-1 食品添加物の一つ一つの安全性が確保されているとしても、様々な添加物を摂取することによる複合影響があるのではないでしょうか。

A III-1 食品安全委員会では、平成18年度に食品添加物の複合影響に関する情報収集調査(※)を行い、食品添加物の複合影響について国内外の文献を通じて科学的知見を収集・整理しました。その結果、多数の添加物が使用されていても、個々の食品添加物は安全性評価を経たうえで使用が認められており、それらを複合的に摂取しても、実際に健康影響が起こりうる可能性はきわめて低いと考えられるとの結論が得られています。現在使用が認められているもののように蓄積性がなく、ADIの考え方を基本として個別にリスク評価とリスク管理が行われている添加物は、その複合影響についても安全性が十分に確保されていると考えられます。
※食品安全委員会 食品添加物の複合影響に関する情報収集調査別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます
 また、食品安全委員会では、新しい科学的なエビデンスが得られた際には速やかに対応できるよう、世界中で行われている研究の情報を集め、随時、検討しています。

 

Q III-2 保存料着色料などの食品添加物が多くの食品に使用されていますが、本当に安全なのでしょうか。

A III-2 食品添加物は、食品の製造過程において、着色、保存等の目的で食品に加えられるものであり、原則として「ヒトの健康を損なうおそれのない場合」として厚生労働大臣が指定するもの以外は使用が認められていません。
 新しく指定される食品添加物については、食品安全委員会が一日摂取許容量(ADI) を設定するなどのリスク評価を行い、その結果に基づいて厚生労働省が食品添加物を指定し、食品添加物の成分規格、製造基準、保存基準及び表示基準を設定しています。
 また、現在使われている食品添加物には、このような食品安全委員会の審議を経て指定されたもののほかに、長年の食経験などから判断して認められているもの(既存添加物)もありますが、これらについては、厚生労働省において規格基準の設定や安全性試験が継続して行われています。

 

Q III-3 食用タール系色素の着色料「赤色2号」がお菓子の原材料として書いてありました。ネットでは、タール色素には発がん性があると書かれていて心配になったのですが、食べても大丈夫でしょうか。

A III-3  食用赤色2号はタール系色素の一種であり、指定食品添加物として、食品衛生法で使用基準が定められており、菓子、漬物、魚介加工品、畜産加工品などを使用対象食品としています。
 指定添加物は食品健康影響評価に基づき厚生労働大臣が指定したもので、使用できる食品や使用量の最大限度などの使用基準が決められています。また、食用タール色素については、登録検査機関による製品検査が義務付けられています。
 米国では、1976年に食用赤色2号の発がん性について安全性を確認できないとして使用禁止とされましたが、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)で1978年、1984年に再評価を行っており、発がん性は認められず、一日許容摂取量は0.5mg/kg体重/日に設定されました。現在米国など一部の国を除き、コーデックス委員会(※1)・日本・カナダ・EUなどで使用が認められています。
 日本では、厚生労働省で毎年マーケットバスケット方式(※2)による添加物の一日摂取量調査を実施しています。食用赤色2号については平成22年度と平成24年度に20歳以上を対象とした摂取量調査を、平成21年度と平成26年度に1歳〜6歳までの乳幼児の摂取量調査を行っており、いずれの結果でも摂取量は非常に少ないことが分かりました。
 食品添加物は通常の食事から摂る量では健康影響の出ない量でリスク管理されており、実際に摂取している量は極めてわずかなので心配する必要はありません。

※1:国際食品規格委員会。1963年にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関であり、国際食品規格の策定等を行っている。
※2:厚生労働省 マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-4 カラメル色素は発がん性があるということですが、規制されないのでしょうか。

A III-4 カラメル色素は、糖類のキャラメル化により製造される色素で、製造法により4種類に分類されます。製造時の副生物である「4-メチルイミダゾール(4-methyl imidazole 、4-MI)という物質が、動物実験において閾値のある発がん性が疑われる知見があるとして、IARC(国際がん研究機関)が、グループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)に分類しています。米国のカリフォルニア州では、独自に、化学物質の発がん性や生殖毒性について評価をしており、カラメル色素もそのリストに載せられています。EFSA(欧州食品安全機関)、FDA(米国食品医薬品庁)ではカリフォルニア州が根拠とした動物実験も含めた評価の結果、発がんの所見は遺伝毒性発がん性ではなく閾値のあるリスクであるとして、規制内の使用を求めています。日本では食経験の中で長く使用されてきた「既存添加物」に分類され、「カラメルI」〜「カラメルIV」として規格基準が設けられています。

 

Q III-5 アカネ色素について、食品安全委員会の評価を元に既存添加物名簿から消除され、これを含む食品の製造・販売・輸入等を禁止することになったとのことですが、その評価について教えてください。

A III-5 アカネ色素については、厚生労働大臣から平成16年6月18日付けで評価の依頼を受け、同年7月2日に食品健康影響評価の結果を取りまとめ、厚生労働大臣に通知しました。
 それは、「腎臓以外の臓器の所見等について、今後とも情報収集が必要であるが、提出された資料からは、遺伝毒性及び腎臓への発がん性が認められており、アカネ色素についてADIを設定できない。」すなわち、アカネ色素について安全に摂取できる量を示せないという結果です。
 詳細については、食品安全委員会ホームページに掲載されている評価書をご覧ください。
(参考)
  ・食品安全委員会 アカネ色素に係る食品健康影響評価について[PDF]別ウインドウで開きます
  ・食品安全委員会 「アカネ色素」別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます

 

Q III-6 人工甘味料が糖質ゼロを売りにしている飲料やダイエット食品に多く使われていますが、最近、人工甘味料で糖尿病のリスクが上がるというようなニュースを見ました。安全性は大丈夫なのでしょうか。

A III-6 人工甘味料として近年使われているものとしては、アスパルテーム、アセスルファムK、アドバンテームなどがあります。これらの人工甘味料は日本や欧米などで人の健康への影響を評価しており、各国で使用が認められている食品添加物です。
 2014年に、ネイチャー誌に人工甘味料で糖代謝異常が起きるという論文が掲載されました。サッカリン、スクラロース、アスパルテームの3種類で実験が行われ、サッカリンで糖代謝異常が認められたとの報告でしたが、各国の専門家が検証した結果、「極端な条件下で行われた実験の結果であり、この論文の内容がそのまま普段の食生活に影響するとは考え難い」と結論されました。
 これらの物質は一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される一日摂取許容量(ADI)が設定されていて、アスパルテームはJECFA(FAO/WHO合同添加物専門家会議)において0〜40mg/kg体重/日、アセスルファムKはJECFAにおいて0〜15mg/kg体重/日、アドバンテームは食品安全委員会において5.0mg/kg体重/日となっています。これを踏まえ厚生労働省が食品添加物として使用できる食品や使用量の最大限度の使用基準を定めています。
 食品添加物は通常の食事から摂る量では健康影響の出ないようにリスク管理されており、実際に摂取している量は極めてわずかなので心配する必要はありません。
 ちなみに、厚生労働省では食品添加物について日本人の平均的な一日摂取量の調査(※)を行っており、甘味料については平成27年度の調査で、アスパルテームの一日摂取量は定量下限未満、アセスルファムKについては一日摂取許容量(ADI)の0.15%となっています。

※厚生労働省 食品添加物一日摂取量の調査(甘味料)[PDF]外部サイトが別ウインドウで開きます

 

Q III-7 アルミニウムはベーキングパウダーなど食品添加物に使用されており、鍋やお玉など調理器具にも使われています。健康に悪いという話を聞いたが大丈夫なのでしょうか。

A III-7 アルミニウムは、土壌、水及び空気中に存在し、包装材料などに幅広く使用されています。国内での規制としては、水道法に基づく水道水質基準として、アルミニウム及びその化合物の量を0.2mg/l(アルミニウムとして)以下としているほか、食品添加物として、膨らし粉やミョウバンなどに使用されており、食品衛生法に基づく規格基準が設定されています。食品安全委員会では、リスク管理機関からの評価要請に関わらず対象案件を自ら選定して行う評価(自ら評価)も行っていますが、アルミニウムについては平成22年3月に自ら評価の対象案件として選定され、リスク評価を行うために必要な情報の収集を行っています。また、平成29年3月28日に食品安全委員会では、食品添加物「硫酸アルミニウムアンモニウム」及び「硫酸アルミニウムカリウム」について、厚生労働省から評価依頼を受けたところです。
 国際的には、2011年にJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)において安全性評価が行われ、耐容週間摂取量(暫定)(※)は2mg/kg体重/週とされました。
 なお、アルミニウムがアルツハイマー病の原因ではないかという説もありましたが、現在のところ、アルミニウムの摂取とアルツハイマー病の関連性についての明確な科学的な根拠はないとされています。
 また当委員会のホームページにもアルミニウムについての関連情報を掲載しているので、参考にしてください。

※ 耐容週間摂取量:人が一生涯食べ続けても健康への悪影響がないと推定される一週間当たりの摂取量
(参考)
  ・食品安全委員会 アルミニウムに関する情報[PDF]別ウインドウで開きます
  ・食品安全委員会 ハザード概要シート[PDF]別ウインドウで開きます
  ・食品安全委員会 食品健康影響評価 硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます
  ・(独)国立健康・栄養研究所 アルミニウムの安全性について別ウインドウで開きます(外部サイト)
  ・厚生労働省 アルミニウムに関する情報 食品中のアルミニウムに関する情報別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-8 農薬等のポジティブリスト制度とは何ですか。この制度導入により何が変わったのですか。

A III-8 農薬等のポジティブリスト制度は平成18年5月から導入されており、同制度が導入される前は、残留基準(※)が設定されていない農薬、動物用医薬品及び飼料添加物(以下「農薬等」)が食品から検出されても、その食品の販売等を禁止するなどの措置を基本的に行うことができませんでした。しかし、ポジティブリスト制度の導入により、すべての農薬等が規制の対象になり、これまで残留基準が設定されていなかった農薬等についても農産物ごとに国際基準等を参考に新たに暫定的な残留基準(暫定基準)が設定されました。また、個別に残留基準が設定されていないものについては一定の量(一律基準:0.01ppm)を定め、規制されることとなりました。暫定基準が定められた農薬等については、厚生労働省からの評価要請を受けて、食品安全委員会による評価が順次進められており、この評価結果に基づく暫定基準の見直しが進められています。

※ 残留基準
 食品衛生法において定められる、適正に使用された場合の残留値やヒトへの健康影響がないことを考慮して設定される農薬などの濃度の上限値

 

Q III-9 農薬の毒性を表す指標としてARfDという数値が計算されるようになりましたが、これは何ですか?

A III-9 ARfDというのは「急性参照用量(Acute Reference Dose)」の略語です。農薬の24時間又はそれより短時間の経口摂取により、ヒトの健康に悪影響を示さないと推定される摂取量のことです。

(参考)
  ・食品安全委員会 農薬の急性参照用量設定における基本的考え方について[PDF]別ウインドウで開きます

 

Q III-10 メチル水銀が魚に多く含まれていると聞きましたが、食べても大丈夫でしょうか。

A III-10 魚介類の体内には自然界の食物連鎖を通じて微量のメチル水銀が蓄積されています。その含有量は一般に低いので健康に害を及ぼすものではありませんが、クジラやマグロ等の一部の魚介類については、食物連鎖を通じた濃縮を経てメチル水銀濃度が比較的高いものも見受けられます。
 メチル水銀は、体内に入った後、消化管から血中へと吸収され、肝臓や腎臓を経由して糞尿として排泄されるほか、毛髪にも含まれて体外に出されます。妊婦の場合は、体内に入ったメチル水銀の一部が胎盤を通過して胎児に移り、その胎児の機能的発育に影響を及ぼす可能性があります。
 食品安全委員会では、平成17年8月に「魚介類等に含まれるメチル水銀についての食品健康影響評価」をとりまとめました。その中で、胎児をハイリスクグループとし、妊婦が1週間に摂取しても胎児に影響を及ぼさない量(耐容週間摂取量)を、妊婦の体重1kg当たり水銀として2.0μgとしました。
 この評価を受けて、厚生労働省から妊婦に向けて魚介類の摂食量についての注意喚起が出されています。一般的に、魚介類に含まれるメチル水銀濃度は、0.4ppm(mg/kg)以下ですが、食物連鎖の高い位置をしめる魚類の一部では、5ppmを超えることもあり、高齢、大型の肉食性の種類の魚やクジラ類は、比較的高濃度のメチル水銀を含んでいることから、キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロなどは一回に食べる量を80gとして、妊婦の方は1週間に1回までを目安に食べることを勧めています。
 魚介類は良質なタンパク質や健康に良いと考えられるEPAやDHA等の高度不飽和脂肪酸を他の食品に比べて多く含むとともに、カルシウムなどのミネラル、微量栄養素の摂取源でもあり、健康な食生活にとって不可欠な栄養上の特性を持っていますので、積極的に食べてほしい食材です。妊婦のみなさんは、魚の種類などに気を付けて、バランスの良い食生活を送ってください。なお、男性や妊娠していない女性におかれては、これらの魚種であっても通常の食べ方をして差支えありません。

(参考)
  ・食品安全委員会 お母さんになるあなたへ
  ・厚生労働省 「これからママになるあなたへ お魚についてしっておいてほしいこと」[PDF]外部サイトが別ウインドウで開きます
  ・食品安全委員会 食品健康影響評価「魚介類等に含まれるメチル水銀について」食品安全総合情報システムが開きます

 

Q III-11 ヒ素について、日本人は、米や海藻等の食品から摂る量が多いと聞きました。米や海藻を食べても大丈夫なのでしょうか。

A III-11  ヒ素は、火山活動や鉱物の風化などの自然現象や、金属精錬、廃棄物処理などの産業活動から環境中に放出されます。ヒ素には、炭素を含む有機ヒ素化合物と含まない無機ヒ素化合物があり、両者とも土壌、地下水に自然に存在します。ヒ素は魚介類では主として有機ヒ素として存在しています。米や海藻には有機ヒ素のほか、無機ヒ素も含まれています。無機ヒ素は神経毒性、皮膚病変、がん等を引き起こす可能性が報告されています。有機ヒ素については、ヒトへの影響に係る知見がほとんどありません。
 食品安全委員会では、平成25年に「食品中のヒ素」について評価を実施しました。その結果、最新の科学的知見によっても解明できない要因がまだ多く、有害性評価に必要な知見が不足している一方で、わが国では伝統的に海藻等を食べる食習慣があり、推定無機ヒ素摂取量は少なくないにもかかわらず、通常の食生活におけるヒ素の摂取が健康に悪影響を与えたことを明らかに示すデータは確認されていないことが確かめられました。これらのことから、どのくらいの量の無機ヒ素が食品を通じて体内に入った場合に健康への影響が生じるか、見積もることは現時点では困難であると判断されました。
 現在のところ、海産物や米を食べることも含めて、特定の食品に偏らずさまざまな食品をバランスよく食べていれば、食生活におけるヒ素の摂取に問題はないと考えられています。また、我が国では伝統的に海藻をいったん乾燥させ水戻しして食べますが、この調理法も戻し水にヒ素を溶出させてその水を捨てることで、ヒ素の摂取量低減に効果的であると考えられます。

(参考)
  ・食品安全委員会 化学物質・汚染物質評価書 「食品中のヒ素」別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます
  ・食品安全委員会 食品中のヒ素 Q&A別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます
  ・食品安全委員会 e-マガジン【読み物版】 食品中のヒ素その1
  ・食品安全委員会 e-マガジン【読み物版】 食品中のヒ素その2

 

Q III-12 牛を早く太らせるためにホルモン剤を使っていて、その肉を食べるとそのホルモン剤を摂取することになると言われていますが、本当ですか。

A III-12 どのような薬でも、使用されて効果を現す過程で分解・代謝され、最終的には体の外に排泄されます。動物に使われる薬も同じです。効果を得るために必要な量を使い、使用された動物から生産される食品に、基準を超える濃度の動物薬が残留していることがないよう、畜産動物に用いる薬には対象畜種、投与量、休薬期間が設定されています。
 海外では、いくつかのホルモン剤が、牛の飼料効率の改善や増体重に効果があるとして動物に使用されています。わが国では、繁殖障害の治療のために用いるホルモン剤が承認されています。食品中の残留基準は人体に影響を及ぼさないように決められており、基準を超える濃度の薬剤を含む畜肉は食肉として流通させることができません。日本で食肉として流通する際に適用される動物用医薬品の残留基準は、国産・輸入を問わず同じ規制が行われています。

(参考)
  ・食品安全委員会 ファクトシート「牛の成長促進を目的として使用されているホルモン剤(肥育ホルモン剤)」[PDF]別ウインドウで開きます
  ・厚生労働省 牛や豚に使用される肥育促進剤(肥育ホルモン剤、ラクトパミン)について(Q&A)[PDF]外部サイトが別ウインドウで開きます

 

Q III-13 牛乳は、牛を早く大きくするための成長ホルモン剤や抗生物質などが投与された牛の乳なので健康に悪いと聞いたのですが、本当ですか。

A III-13 家畜に動物用医薬品を使用するときには、使用された動物から生産される食品に、基準を超える濃度の動物用医薬品が残留しないよう、農林水産省で動物用医薬品に対して家畜の生産段階での使用基準や休薬期間が設けられています。また、食品中の動物用医薬品には厚生労働省で残留基準が決められています。厚生労働省が動物用医薬品の食品への残留基準を設定する際や、農林水産省が動物用医薬品の承認や再審査などをする際には、食品安全委員会は厚生労働省や農林水産省から評価要請を受けて、実験動物等を用いた毒性試験や海外の評価機関における評価結果など科学的な知見を参考に食品健康影響評価を行います。その評価結果に基づいて動物用医薬品のリスク管理措置が講じられています。

 我が国では、成長ホルモン剤は承認されていません。抗生物質については農林水産省が設定した使用基準に沿って使用されることとなっており、乳房炎、肺炎などの治療に限定されています。また、乳や畜肉について、厚生労働省では動物用医薬品の残留基準が設定されていて、抗生物質は「不検出」とされています。牛乳はカルシウムなどのミネラルやビタミンB群が豊富で栄養バランスの取れた食品です。心配する必要はありません。

(参考)
  ・厚生労働省 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令 附則 (平成二八年六月八日厚生労働省令第一〇九号)別ウインドウで開きます(外部サイト)
  ・文部科学省 日本食品標準成分表 2015年版(七訂)追補 2016年別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-14 トランス脂肪酸が含まれているので、マーガリンは食べないほうが良いと言われました。毎日パンに付けて食べると健康に影響がありますか。

A III-14 食品安全委員会ではトランス脂肪酸の健康影響評価を行いました。諸外国における研究結果で、トランス脂肪酸の過剰摂取は、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)を増加させる可能性が高いとの報告もあり、WHO(世界保健機関)では、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満とすべきと勧告(目標)基準を定めています。
 日本人のトランス脂肪酸の摂取量の平均値は一日当たりの総エネルギー摂取量の0.3%程度で、大多数は、WHOの目標を下回っており、通常の食生活では、健康への影響は小さいと考えられますが、脂質に偏った食事をしている人は、留意する必要があります。

(参考)
  ・食品安全委員会 食品健康影響評価書 「食品に含まれるトランス脂肪酸」別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます
  ・食品安全委員会 季刊誌vol.30 「トランス脂肪酸のリスク評価」[PDF]別ウインドウで開きます
  ・食品安全委員会 季刊誌vol.44 「食品に含まれるトランス脂肪酸」[PDF]別ウインドウで開きます

 

Q III-15 アクリルアミドという物質に発がん性があり、加熱した野菜にも含まれているという報道を見てびっくりしました。今まで健康のために野菜を一生懸命食べてきたのに、これからどうしたらよいのかわかりません。

A III-15 アクリルアミドは、揚げる、焼く、炒めるなど120℃以上の高温調理時に、食品中に元々含まれるアミノ酸の一種であるアスパラギンとブドウ糖や果糖などの還元糖が反応して生成します。
 食品安全委員会では、「加熱時に生じるアクリルアミド」の食品健康影響評価を行い、日本人における食事由来のアクリルアミド摂取による神経に対する影響など発がん性以外の健康への影響については、「極めてリスクは低い」と判断しました。発がん性については、ヒトを対象とした研究でアクリルアミド摂取量とがんの発生率との関連に一貫した傾向はみられていないことから、ヒトにおける健康影響は明確ではないが、動物実験の結果及び日本人の推定摂取量に基づき、「公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えない」と判断しました。
 このことを踏まえ、ALARA(As Low As Reasonably Achievable)(※)の原則にのっとり、「できる限りアクリルアミドの低減に努める必要がある」としました。
 アクリルアミドは、家庭において調理方法などを工夫することにより、その摂取量を低減することが出来ますし、食品中のアクリルアミド低減に積極的に取り組んでいる食品事業者もあります。

 野菜にがんの発生を抑制する効果があることは多くの研究から知られていることです。体に必要なビタミン・ミネラルの重要な供給源である野菜を食べないということは食事のバランス面からもよくないことでしょう。調理方法に工夫をして食材をバランスよく摂ってみましょう。

※ ALARAの原則  食品中の汚染物質を合理的に達成可能な範囲でできる限り低くするとの考え方。

(参考)
  ・食品安全委員会 加熱時に生じるアクリルアミドに関連する情報 (平成28年4月5日)
  ・食品安全委員会 季刊誌vol,47 p2〜3「加熱時に生じるアクリルアミド」の食品健康影響評価について[PDF]別ウインドウで開きます
  ・食品安全委員会 セミナー「加熱時に生じるアクリルアミドの食品健康影響評価及び低減対策について」別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます
  ・農林水産省 食品中のアクリルアミドに関する情報別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-16 毎日、子どもに豆乳を牛乳の代わりに200ml飲ませていますが、大豆イソフラボンの過剰摂取も健康を害する可能性があると聞き、大人の1日の上限摂取量が75mgと知りました。大人で75mgだったら2歳の娘はどのくらいまでならとっても大丈夫でしょうか。また夏場は家族一同、枝豆が大好物で毎日食べていますが、枝豆も子どもにはあまり食べさせないほうがよいでしょうか。

A III-16 大豆イソフラボンは植物エストロゲンの一種と言われ、その化学構造が女性ホルモンであるエストロゲンに似ているため、エストロゲン受容体に結合することから、促進的あるいは競合的に種々の生体作用を発揮するとされています。
 食品安全委員会が平成18年にとりまとめた評価結果では、閉経前女性(15〜59歳)、閉経後女性(50歳以上)及び男性(15歳以上)については、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値は、大豆イソフラボンアグリコン(※)として70〜75mg/日としています。また、閉経前女性、閉経後女性及び男性について、日常の食生活に加えて、特定保健用食品により摂取する大豆イソフラボンの摂取量が、大豆イソフラボンアグリコンとして30mg/日の範囲に収まるように適切にコントロールを行うことができるのであれば、安全性上の問題はないものと考えられるとしています。そして乳幼児及び小児(15歳未満)における大豆イソフラボンの摂取による生体への影響については、安全性上の量的な目安を科学的に判断することはできず、乳幼児及び小児については、特定保健用食品として大豆イソフラボンを日常的な食生活に上乗せして摂取することは、安全性が明確でないかぎり、推奨できないと考えられるとしています。
 食品安全委員会では特定保健用食品以外の個別の食品(豆乳を含む)について評価していないため、ご質問の豆乳を2歳児がどのくらいまでならとっても大丈夫かを示すことはできません。
 厚生労働省のホームページでは、豆腐、納豆、煮豆、みそなどの「伝統的な大豆食品」については、子どもが大人と同様に、日常の食生活の中で他の食品とともにバランスよく食べることに気をつければ、心配する必要はないとされています。枝豆については、好きだからという理由で同じものばかりを食べ続けさせるのではなく、様々な食材を組み合わせてはいかがでしょうか。

※ アグリコン
 大豆や大豆食品中に含まれる大豆イソフラボンは、主に配糖体として存在していますが、糖部分が分離したものはアグリゴンといい、伝統的な大豆発酵食品中に含まれます。また、ヒトが摂取した大豆イソフラボン配糖体は、腸内細菌の作用等により、大豆イソフラボンアグリコンとなり、腸管から吸収されます。

(参考)
  ・食品安全委員会 大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的考え方[PDF]別ウインドウで開きます
  ・食品安全委員会 特定保健用食品評価書 「イソフラボンみそ」別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます
  ・食品安全委員会 特定保健用食品評価書「オーラルヘルスタブレット カルシウム&イソフラボン」別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます
  ・食品安全委員会 特定保健用食品評価書「大豆イソフラボン40」別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます
  ・食品安全委員会 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(平成18年5月16日更新)
  ・厚生労働省 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(平成18年8月23日更新)別ウインドウで開きます(外部サイト)
  ・農林水産省 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(平成24年2月3日更新)別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-17 カフェインが多く含まれている飲料が最近販売されていますが、子どもが飲んでも大丈夫でしょうか。カフェインに関する情報があれば教えてください。

A III-17 カフェインはコーヒーやココアの豆、茶葉等に天然に含まれている食品成分の一つであり、長い食経験があります。カフェイン(抽出物)は、厚生労働省の既存添加物名簿に掲載され、コーラなどの清涼飲料水などに苦味料として使用することが認められています。エナジードリンク中にも、一缶あたり約90〜180mgのカフェインが含まれている製品があります。
 カフェインはIARC(国際がん研究機関)(※)で、ヒトに対して発がん性があるとは分類できないグループ3に属する物質として評価されています。
 アルコールとカフェイン入りのエナジードリンクを一緒に飲むと、アルコールの酔いをカフェインによる興奮作用が覆い隠してしまうのと、利尿作用があり、気づかぬうちに脱水状態になってしまうので注意が必要です。妊婦もカフェインの摂取により、胎児の発育を阻害する可能性があります。FSA<英国食品安全庁)では妊婦は200mg/日を限度にするよう勧めています。
 カフェインは経口摂取された後、速やかに体内に吸収されますが、健康な成人では4〜6時間で半分が尿中に排出されます。しかし、子どもはカフェインを分解する酵素の活性が大人ほどないので、小学生のころまではコーヒーやエナジードリンクをあまり飲ませない方がよさそうです。
※ IARC(国際がん研究機関)  
 WHO(世界保健機関)の一機関。世界の発がん状況の監視、発がん原因物質の特定、発がん物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的に、化学物質やウイルス等発がんのハザード評価、公表を行っている。

(参考)
  ・食品安全委員会 食品中のカフェイン(ファクトシート)《作成日:平成23年3 月31 日》[PDF]別ウインドウで開きます
  ・食品安全委員会 セミナー「カフェインは危ない? 〜コーヒーを科学する〜」別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます

 

Q III-18 現在妊娠中であり、βカロテンが含まれているビタミン剤を飲んでいるのですが、ビタミンAの過剰摂取による胎児への影響の話を聞き、心配になりました。

A III-18 β-カロテンはビタミンAの前駆体ですが、ビタミンAが体内に過剰に存在するときにはビタミンAには変換されず、そのまま主に脂肪細胞に貯蔵されるか、もしくは排出されます。なおビタミンAは脂溶性ビタミンであり、脂肪とともに小腸粘膜の上皮細胞から吸収され、肝臓に貯蔵されます。
 ビタミンAの過剰摂取について問題となるのは、サプリメントによる過剰摂取です。過剰となるのは、サプリメントとして毎日多量のビタミンAを摂ったり、偏った食生活を送ることであり、そのような食生活でなければ心配する必要はないので、バランスのよい食事を心掛けてください。当委員会ホームページ内の「お母さんになるあなたへ」や、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の「妊娠中の食事とサプリメントについて」にQ&Aが掲載されているので、参考にしてください。また、妊娠中の栄養面についてさらにご心配であれば、かかりつけの医療機関の医師や栄養士にご相談ください。

(参考)
  ・食品安全委員会 お母さんになるあなたへ
  ・食品安全委員会 ファクトシート ビタミンA(平成24年9月26日更新)[PDF]別ウインドウで開きます

 

Q III-19 現在妊娠中なのですが、週に数回は缶詰を使った料理を食べています。缶詰に含まれるビスフェノールAという化学物質が胎児に悪影響があるのではないかと心配しています。

A III-19 ビスフェノールA(BPA)は、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂の原料として使用されている物質です。ポリカーボネート製の食器や缶詰の内面塗装剤にエポキシ樹脂が使われている場合、食事を通じて体内に取りこまれる可能性があります。BPAについては、食品衛生法に基づきポリカーボネート製器具及び容器包装からの溶出試験規格2.5μg/mL以下が設定されています。
 また厚生労働省から、低用量摂取での胎児や乳幼児への影響の可能性についての評価依頼があり、器具・容器包装専門調査会では中間的な取りまとめが行われ、「現時点での知見からは耐容一日摂取量(TDI)を設定することは困難であるが、今後新たな知見が得られた時点で再度検討を行うこと」としました。

(参考)
  ・厚生労働省 ビスフェノールAのQ&A(平成22年1月15日更新)別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-20 ハムやソーセージ等に発色剤として使用されている食品添加物の亜硝酸ナトリウムは、食肉や魚卵・魚肉等に含まれるアミンと結合すると発がん物質を生じると聞きました。硝酸塩は野菜にも含まれていると聞いたのですが、食べても大丈夫なのでしょうか。

A III-20 亜硝酸ナトリウムは、安定した食肉の色を保持する効果があるだけでなく、ボツリヌス菌の繁殖を抑え、食肉製品の腐敗を防止する効果のある添加物として知られています。食品添加物として使用するための成分規格や使用基準(対象食品、最大限度量)が食品衛生法で定められています。
 硝酸塩は、植物がタンパク質を合成するために必要とする物質のひとつで、土壌中に天然に存在し、肥料としても使用される窒素化合物です。そのため、硝酸塩は野菜の中にも含まれていて、ホウレンソウや春菊、サラダ菜等の葉菜に多く含まれることが分かっています。野菜中の硝酸塩は茹でるなどの調理により、3〜4割減少すると期待できます。
 野菜に含まれる硝酸塩は、ヒトの体内で消化管内に常在している微生物によって還元されて亜硝酸塩に変化する可能性があり、メトヘモグロビン結晶(※1)や発がん物質のニトロソ化合物(ニトロソ基-NOをもつ有機化合物)生成に関与するおそれがあると一部で指摘されています。国際がん研究機関(IARC)(※2)では、人の体内でニトロソ基(- NO)が物質に付加される条件下で、硝酸塩、亜硝酸塩ともに「人に対しておそらく発がん性がある」と評価しています。
 国際連合食糧農業機関(FAO) /世界保健機関(WHO)合同食品添加物専門家会議(JECFA) は、「硝酸塩の主要な摂取源が野菜であることはわかっているが、野菜が人にとって有用だということもよく知られており、野菜中の硝酸塩がどの程度血液に取り込まれているのかというデータが得られていないことから、野菜中の硝酸塩について基準値を設けるのは適当でない」との見解を示しています。
 我が国でも硝酸塩については、元々野菜に含まれている天然の硝酸塩に起因するものがほとんどであり、添加物に由来するものはごくわずかであることが、厚生労働省の調査で確認されています。天然由来の食品に含まれる硝酸塩については基準値の設定はありませんが、野菜は有用な食品であり、野菜中の硝酸塩について国内における健康被害は報告されていません。
※1 メトヘモグロビン血症
 赤血球中で酸素を運ぶヘモグロビンが酸素を運べないメトヘモグロビンに変化する割合が高くなった状態。脱力、チアノーゼ、呼吸困難などの症状が現れる。

※2 IARC(国際がん研究機関)  
 WHO(世界保健機関)の一機関。世界の発がん状況の監視、発がん原因物質の特定、発がん物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的に、化学物質やウイルス等発がんのハザード評価、公表を行っている。

(参考)
  ・食品安全委員会 ファクトシート 「本来的に食品に含まれる硝酸塩(概要)」(平成25年9月3日更新)[PDF]別ウインドウで開きます
  ・食品安全委員会 季刊誌食品安全 vol.31 p4「野菜などに含まれる硝酸塩のファクトシートご紹介」[PDF]別ウインドウで開きます
  ・農林水産省 野菜等の硝酸塩に関する情報別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-21 「塩」は生きるために必要だと言われますが、健康にどのように作用しているのですか。

A III-21 「塩」は、塩化ナトリウム(NaCl)を主成分とする調味料で、海水あるいは岩塩からの精製によって生産されます。昔から海に囲まれた日本では、海水から塩を作っていました。法律(塩事業法)による定義では、「塩」とは、塩化ナトリウムの含有割合が40%以上の固形物をいいますが、実際に市販されている塩は、塩化ナトリウムの含有割合が90%以上のものが多く、ほかに、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどが微量に含まれています。
 私たちが摂取した塩分(塩化ナトリウム(NaCl))は、体内でナトリウムと塩素に分かれて吸収されます。ナトリウムの体内分布は、その約50%が「細胞外液」と呼ばれる細胞の外側にある液体(主に血液中で液状の成分である血漿(けっしょう))に存在し、次いで約40%は骨に含まれています。
 ナトリウムが私たちの体内で果たしている主な役割は二つあり、細胞の浸透圧を維持することと、神経伝達や心筋の収縮に作用しています。また、塩素もナトリウムとともに細胞外液にあって浸透圧の調整に作用するほか、胃液として食物の消化を助ける等の働きをしています。
 このように、食塩は私たちの体の健康の維持のためにはなくてはならないものです。反面、過剰な摂取は高血圧につながり、高血圧は種々の健康障害をもたらします。私たちは、現在、平均的に1日に10〜11g程度の食塩を摂っており、「日本人の食事摂取基準」における目標値(7〜8g)を上回っています。
 「減塩しお」と呼ばれ市販されている減塩タイプとされる塩のなかには、ナトリウムの摂取を減らすために塩化ナトリウムの含有割合を50%以下にとどめ、その分カリウムの含有割合を高くしているものもあります。しかし、カリウムの摂取はナトリウムの代謝にとって拮抗的に働くことから、腎臓の良くない方は、心臓障害を防ぐためにカリウムの摂取を制限しなければならない場合があり、注意が必要です。
 カリウムを多く含む野菜や果物の摂取はナトリウムの排泄を増やすことになりますので、バランスの良い食事をとることが大切です。

(参考)
  ・食品安全委員会 「食品を科学する−リスクアナリシス(分析)連続講座」 平成27年度第4回「塩と健康〜あなたの塩分摂取量は大丈夫?〜」別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます
  ・厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-22 IARC(国際がん研究機関)(※)が、加工肉を「ヒトに対して発がん性がある」、赤肉(red meatを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」に分類したとのニュースを見ましたが、どのような評価を行っているのですか。また、赤肉や加工肉とはどういう肉のことですか。

A III-22 2015年10月26日に、IARC(国際がん研究機関)は、10か国の22人の専門家たちが800以上の科学文献を評価して、加工肉は毎日50グラム食べると大腸がんになるリスクが18%増えるとして、グループ1(ヒトに対して発がん性がある)に、赤肉は主に大腸がん(膵臓がんと前立腺がんとの関連も指摘)の関連からグループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に、それぞれ発がん性の分類を行ったと発表しました。
 ただし、この分類はその物質に発がん性を示す根拠があるかどうかを重視しており、毒性影響の強さやどのくらい摂取されているかという定量的な評価はあまり考慮されておらず、リスクの大きさを示したものではありません。
 ここでいわれている赤肉は、牛肉、豚肉、羊肉、馬肉など哺乳動物の肉のことで、赤身肉のことではありません。また、加工肉は、肉を塩蔵、発酵、燻製加工したもので、ソーセージ、ハム、コンビーフ、ビーフジャーキーなどを指しています。
 食品安全委員会としては、今回の発表に対しては、元となったデータの交絡要因(様々な関連する要因)を考慮することが必要で容易に結論が出せるものではないと考えています。なお、日本人の赤肉・加工肉の摂取量は世界的に見ても少なく、平均的摂取の範囲であれば大腸がんのリスクへの影響はほとんど考えにくいといえます。
 赤肉には、タンパク質やビタミンB,鉄、亜鉛など健康維持に有用な成分もたくさん含まれています。肉だけでなく植物繊維を含む野菜や豆類、魚なども含めて、いろいろなものをバランスよく食べることが大切です。

※ IARC(国際がん研究機関)  
 WHO(世界保健機関)の一機関。世界の発がん状況の監視、発がん原因物質の特定、発がん物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的に、化学物質やウイルス等発がんハザードの評価、公表を行っている。

(参考)
  ・食品安全委員会 「レッドミートと加工肉に関するIARCの発表についての食品安全委員会の考え方」
  ・IARC(国際がん研究機関) Red Meat and Processed Meat: IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans Volume 114別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-23 食品中の放射性物質について、食品安全委員会が行った食品健康影響評価の内容について教えてください。

A III-23 食品安全委員会では、食品中に含まれる放射性物質について平成23年に食品健康影響評価(リスク評価)を行いました。その結果として、放射線による健康への影響があるのは通常の生活において受ける放射線量(自然放射線や医療被ばくなど)を除いた生涯における追加の累積の実効線量がおおよそ100mSv(ミリシーベルト)以上と判断しました。そのうち小児の期間については、感受性が成人より高い可能性があるとしました。この値は、食品から追加的な被ばくを受けた場合の健康影響を評価したものです。しかしながら、その根拠となった科学的知見については、内部被ばくのみの知見が極めて少なかったことから、食品健康影響評価に採用できると判断された外部被ばくを含んだ疫学データも用いました。ただし、内部被ばくと外部被ばくを合計したリスクの評価をしたものではありません。また、おおよそ100mSvという値は実際の被ばく量に適用されるものです。
 このため、得られた科学的知見からは、追加の累積の実効線量として100mSv未満の健康影響について言及することは困難でした。
 なお、今回の食品健康影響評価で示した「おおよそ100mSv」という値は、安全と危険の境界(閾値)ではなく、この数値を超過した場合に健康影響が必ず生じるという数値でもありません。

(参考)
  ・食品安全委員会 食品健康影響評価 「食品中に含まれる放射性物質」別ウインドウで食品安全総合情報システムが開きます
  ・食品安全委員会 食品中の放射性物質に関する情報

 

Q III-24 食品中の放射性物質の基準値はどのように決められたのですか。

A III-24 基準値は、食品から追加的に受ける放射線の総量が年間1mSv(ミリシーベルト)を超えないようにとの考えの下に、4つの食品区分で設定されています。「飲料水」は、全ての人が毎日摂取するもので代替ができず、その摂取量も大きく、WHO(世界保健機関)が飲料水中の放射性物質の指標値を示していること等から、これと同じ値である10Bq(ベクレル)/kgとしました。
 この飲料水の基準値に、標準的なWHOの飲料水摂取率(2リットル/日)を勘案すると、飲料水から追加的に受ける放射線量は年間約0.1mSv(ミリシーベルト)と計算されます。
 飲料水以外のものについては、「一般食品」、「乳児用食品」、「牛乳」に分けています。また、これらの食品から追加的に受ける年間放射線量が年間1mSvの基準から、飲料水による線量(約0.1mSv/年)を差し引いた約0.9mSvを超えないように設定しました。なお、加工食品も含む一つの区分として「一般食品」としたのは、
  (1) 個人の食習慣の違い(ご飯好き、パン好き、肉好き、野菜好き等摂取する食品の偏り)の影響を最小限にすること、
  (2) 消費者にとって分かりやすいこと、
  (3) 食品の国際規格基準を策定するコーデックス委員会等の国際的な考え方と整合すること
を考慮したためです。
 年齢や性別の違いによる食品の摂取量と放射性物質の健康に与える影響を考慮して、食品中の放射性物質の限度値を割り出し、その中で最も厳しい限度値から、一般食品の基準値を100Bq(ベクレル)/kgと決定しました。
 なお、食品中の放射性物質に関する基準値は、基準値上限の放射性物質を含む食品を食べ続けた場合でも、健康に影響を及ぼさない状況を想定して設定しています。流通している食品の放射性物質は基準値上限よりも少なくなっていますので、実際に食品から追加的に受ける放射線量は基準値よりずっと小さい値となっています

(参考)    
  ・消費者庁 食品中の放射性物質に関する広報の実施について別ウインドウで開きます(外部サイト)
  ・環境省 放射線による健康影響等に関する統一的基礎資料別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-25 食品中の放射性物質の検査の結果はどうなっていますか。

A III-25 食品中の放射性物質の検査については、原子力災害対策本部が定めたガイドラインに基づき、過去の検査結果を踏まえて各都道府県が出荷前にモニタリング検査を行っています。検査結果は厚生労働省や各自治体のウェブサイト等で公表されています。
 農畜産物に含まれる放射性物質は、年々減少しています。平成25年度以降の検査結果では、畜産物についても、全て基準値以内でした。より詳細な情報は下記の参考をご参照ください。

(参考)
  ・厚生労働省 食品中の放射性物質への対応別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-26 放射性セシウム以外の放射性核種への対策はどうなっていますか。福島原発の井戸からストロンチウムが検出されているとのことですが、国はセシウムだけでなく他の核種もリスク評価してほしいです。

A III-26 平成24年に厚生労働省が食品中の放射性物質(セシウム)の新しい基準値を定めて施行しました。その際に食品安全委員会は食品中に含まれる放射性物質について食品健康影響評価を行っています(Q32参照)。基準値は放射性ストロンチウムの影響も考慮されています。個別の核種としては、評価当時に厚生労働省により暫定規制値が定められていた放射性核種(放射性ヨウ素、放射性セシウム、ウランなど)及び放射性ストロンチウムについて検討しましたが、ウラン以外では個別に評価結果を示すに足る情報は得られませんでした。ウランについては、放射線による健康影響より化学物質として毒性の方がより鋭敏に現れることが分かりました。
 厚生労働省では、平成24〜26年にかけて全国各地で実際に流通する食品を購入し、そのままの状態又は加工・調理した後の放射性物質濃度を精密に測定しました(マーケットバスケット方式)。調査の結果によれば、放射性セシウム(Cs-134とCs-137の合計)濃度が0.5Bq(ベクレル)/kg以上となった試料のうち、放射性ストロンチウムが検出されたのは、67試料測定中37試料で、その濃度はいずれも低値であり、2011年に起きた東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以前の範囲内でした。
 併せて、平成24年に一般家庭で実際に調理された食事を収集し、含まれる放射性物質濃度を精密に測定しました(陰膳方式)。63試料中36試料で、その濃度は事故以前と同程度でした。

(参考)
  ・厚生労働省 東日本大震災関連情報別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-27 芽止めのために放射線を照射されたばれいしょ(ジャガイモ)が販売されていますが、大丈夫でしょうか。

A III-27 発芽防止の目的でばれいしょ(ジャガイモ)に放射線を照射することは、食品衛生法に基づく規格基準で認められています。
 食品安全委員会では食品の安全性関係の情報を収集していますが、これまでに我が国でばれいしょに放射線を照射したことを原因とする健康被害の情報や安全性に懸念があるといった情報は、現時点では入手していません。
 なお、我が国の食品衛生法に基づく規格基準で認められている吸収線量は150グレイ(Gy)(※)(=0.15キログレイ(kGy)であり、WHO(世界保健機関)が食品に照射しても安全性に問題がないとしている吸収線量10キログレイ(kGy)より低いレベルに抑えられています。
 放射線を照射された食品に対する情報については以下をご参照下さい。今後も放射線照射食品に関しては、情報収集を継続するとともに、その情報を広く提供したいと考えております。

※ グレイ(Gy)
 放射線が物質に当たったときに、その物質にどのくらいのエネルギーを与えたのかを表す単位

(参考)
  ・食品安全委員会 放射線照射食品 ファクトシート
  ・原子力委員会 食品照射専門部会別ウインドウで開きます(外部サイト)
  ・厚生労働省 食品への放射線照射について別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

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