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大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A

大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A

内閣府食品安全委員会事務局(平成18年5月16日更新)

【大豆に関するもの】

問1 :大豆にはどのような成分が含まれていますか。

【大豆イソフラボンに関するもの】

問2 :大豆イソフラボンとは何ですか。

問3 :大豆イソフラボンと大豆イソフラボンアグリコンは何が違うのですか。

問4 :大豆イソフラボンの働きはどのようなものですか。

問5 :大豆イソフラボンは、栄養成分ですか。

問6 :大豆イソフラボンは、どのような食品にどのくらい含まれていますか。

問7 :近年、日本人の大豆イソフラボンアグリコン摂取状況は、昔に比べて変化しているのですか。

問8 :大豆イソフラボンアグリコンへの換算方法について知りたいのですが。

【大豆食品の摂取に関するもの】

問9 :日常の食生活の中で、大豆イソフラボンを適切に摂取する方法は?

問10:大豆食品の摂取は控えたほうが良いのでしょうか。

問11:食事で摂取する以外にサプリメントで大豆イソフラボンを摂取しているが、大丈夫ですか。

【評価に関するもの】

問12:今、なぜ大豆イソフラボンについて安全性が評価されているのですか。

問13:なぜ、大豆イソフラボンを含む特定保健用食品を大豆イソフラボンアグリコンに換算して評価しているのですか。

問14:食品安全委員会における大豆イソフラボンの安全性評価の経緯を知りたい。

問15:特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値だけでなく、なぜ、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値を検討しているのですか?

問16:「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」の概要はありませんか。

問17:海外において大豆イソフラボンの安全性については、どのように評価されていますか。

問18:乳幼児及び小児とは、何歳までの子どもを指しますか。

【評価結果に関するもの】

問19:大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値70〜75mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)は、どのようにして設定されているのですか。

問20:特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値30mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)は、どのようにして設定されているのですか。

問21:大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値70〜75mg/日と特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値30mg/日(いずれも大豆イソフラボンアグリコン換算値)の関係を教えて下さい。

問22:妊婦、胎児、乳幼児、小児については、大豆イソフラボンを日常の食生活に上乗せして摂取することは、推奨できないとしていますが、その理由を教えて下さい。

(参考)

厚生労働省ホームページ外部サイトが開きます

農林水産省ホームページ外部サイトが開きます

 


 

【大豆に関するもの】

問1 :大豆にはどのような成分が含まれていますか。
 大豆には、主要な成分としてたん白質、炭水化物、脂質のほか、食物繊維、ミネラル、ビタミンなどが含まれています。また、微量成分として、サポニン、レシチン、大豆イソフラボンなどが含まれています。

【大豆イソフラボンに関するもの】

問2 :大豆イソフラボンとは何ですか。
 大豆イソフラボンとは、主に大豆の胚芽に多く含まれるフラボノイドの一種であり、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインの3種類の非配糖体(イソフラボンアグリコン)と、それぞれに3種類の配糖体(ゲニスチン、ダイジン、グリシチン)、配糖体のアセチル化体、及びマロニル化体が知られています。
 味噌、納豆等の大豆発酵食品中には大豆イソフラボンアグリコンが多く含まれますが、ほとんどの場合、食品中では大豆イソフラボン配糖体として存在しています。

問3 :大豆イソフラボンと大豆イソフラボンアグリコンは何が違うのですか。
 大豆や大豆食品中に含まれる大豆イソフラボンは、主に配糖体として存在していますが、糖部分が分離したものはアグリコンといい、伝統的な大豆発酵食品中に含まれます。また、ヒトが摂取した大豆イソフラボン配糖体は、腸内細菌の作用等により、大豆イソフラボンアグリコンとなり、腸管から吸収されます。
 大豆イソフラボン配糖体から、大豆イソフラボンアグリコンに換算する場合、配糖体とアグリコンとの分子量の比から求めることができます。個々の食品に含まれる3種類の大豆イソフラボンアグリコンの量は分析しなければわからないため、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」(案)中では、原則として、3種類のアグリコン中一番エストロゲン活性の高いゲニステインの換算値(約0.625)を用いて換算しております。

(例)大豆イソフラボン配糖体10mg×0.625 =大豆イソフラボンアグリコンとして 6.25mg

問4 :大豆イソフラボンの働きはどのようなものですか。
 大豆イソフラボンは、植物エストロゲンのひとつといわれ、その化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)に似ているため、エストロゲン受容体に結合することから、促進的あるいは競合的に種々の生体作用を発揮するとされております。なお、大豆イソフラボン配糖体はそのままではエストロゲン受容体に結合しませんが、体内で大豆イソフラボンアグリコンに変化して、上記のような生体作用を現します。
 この生体作用により、骨粗しょう症の予防や更年期障害の軽減等に有用と言われております。

問5 :大豆イソフラボンは、栄養成分ですか。
 大豆に含まれるたん白質、ミネラル等とは異なり、現在、ヒトの体に必須の栄養素とはされていません。

問6 :大豆イソフラボンは、どのような食品にどのくらい含まれていますか。
 大豆イソフラボンは、大豆を原料とする食品のほとんどに含まれていますが、原料大豆の種類や食品の製造方法などによってその含有量は異なります。

(大豆イソフラボンアグリコンとしてmg/100g)
食品名(検体数)
含有量
平均含有量
大豆(11検体)
88.3〜207.7
140.4
煮大豆(3検体)
69.0〜74.7
72.1
揚げ大豆(1検体)
200.7
200.7
黄粉(2検体)
211.1〜321.4
266.2
豆腐(4検体)
17.1〜24.3
20.3
凍り豆腐(1検体)
88.5
88.5
おから(1検体)
10.5
10.5
金山寺みそ(1検体)
12.8
12.8
油揚げ類(3検体)
28.8〜53.4
39.2
納豆(2検体)
65.6〜81.3
73.5
味噌(8検体)
12.8〜81.4
49.7
醤油(8検体)
0.7〜1.2
0.9
豆乳(3検体)
7.6〜59.4
24.8
厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに関する調査研究(1998)より

問7 :近年、日本人の大豆イソフラボンアグリコンの摂取状況は、昔に比べて変化しているのですか。
 平成14年国民栄養調査(厚生労働省)による国民栄養調査食品群別表の大豆・加工品(大豆(全粒)・加工品、豆腐、油揚げ類、納豆、その他の大豆加工品)、及び調味料のうち味噌、しょうゆの摂取量から試算した大豆イソフラボンアグリコンの摂取量の中央値は、16〜22mg/日(下表)とされています。

(大豆イソフラボンアグリコンとしてmg/100g)
 
中央値
(50パーセンタイル値)
95パーセンタイル値
閉経前女性
(15〜59歳)
16
64
閉経後女性
(50歳以上)
22
74
男性
(15歳以上)
18
76
総数
18
70
Xパーセンタイル値:計測値を小さい順に並べたときに、計測値の個数がX(0≦X≦100のいずれかの数字)のパーセントの位置にある計測値。1000個の計測値における10パーセンタイル値とは、計測値の小さい方から10%(100番目)に位置する計測値をさす。
閉経の年齢に個人差があることから、50〜59歳の女性を閉経前女性及び閉経後女性の両方に分類している。

 平成14年より前の大豆イソフラボンアグリコンの摂取量については、詳細なデータを得ていないので不明です。ただし、大豆食品摂取量については、昭和50年から平成14年までの国民栄養調査に基づくと、1日当たり63.2〜73.2gの範囲で推移していることから、過去約30年間の大豆食品からの大豆イソフラボンアグリコンの摂取量に大きな変化はないものと推定されます。

問8 :大豆イソフラボンアグリコンへの換算方法について知りたいのですが。
 大豆イソフラボン配糖体から、大豆イソフラボンアグリコンに換算する場合、配糖体とアグリコンとの分子量の比から求めることができます。個々の食品に含まれる3種類の大豆イソフラボンアグリコンの量は分析しなければわからないため、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」中では、原則として、3種類のアグリコン中一番エストロゲン活性の高いゲニステインの換算値(約0.625)を用いて換算しております。

(例)大豆イソフラボン配糖体10mg×0.625 =大豆イソフラボンアグリコンとして 6.25mg

【大豆食品の摂取に関するもの】

問9 :日常の食生活の中で、大豆イソフラボンを適切に摂取する方法は?
 健康のためには、特定の成分のみを摂取することよりも、バランスの良い食事を摂ることが重要です。大豆イソフラボンのみをサプリメントとして摂取するよりも、大豆食品を摂取した方が理想的な食生活に近づきます。日常の食生活では、大豆イソフラボンの含有量ではなく、各栄養素のバランスに配慮して下さい。
 なお、 今回の食品健康影響評価は、日常の食事で大豆食品を摂取していることを前提に、その上に大豆イソフラボンを含む特定保健用食品を摂取する場合の安全性を評価いたしました。従って、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」中では、特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値をこうした視点から設定しております。

問10:大豆食品の摂取は控えたほうが良いのでしょうか。
 大豆食品は、大豆イソフラボンを含むこと以外にも、低脂肪で良質なたん白質源であり、また、日本人に不足しがちなカルシウムの供給源としても有用な食品です。平成17年6月に厚生労働省と農林水産省が決定・公表した「食事バランスガイド」等を参考に、ひとつの食品・成分に偏ることなく、バランスの良い食生活を心がけていただきたいと思います。

問11:食事で摂取する以外にサプリメントで大豆イソフラボンを摂取しているが、大丈夫ですか。
 食品安全委員会新開発食品専門調査会では、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」において、特定保健用食品としての、大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値を30mg(大豆イソフラボンアグリコン換算)としております。
 特定保健用食品以外の個別の「健康食品」については評価を行っておりませんが、この考え方をご参考に過剰な摂取とならないようにご注意ください。
 なお、ご心配でしたらサプリメントを利用される目的、サプリメントの種類や摂取量などをかかりつけの医師など専門家に伝えてご相談されてはいかがでしょうか。

【評価に関するもの】

問12:今、なぜ大豆イソフラボンについて安全性が評価されているのですか。
 平成16年1月及び5月に厚生労働省から食品安全委員会に対して、大豆イソフラボンまたは、大豆イソフラボンアグリコンを関与成分(主に有効と考えられる成分)とする特定保健用食品3品目の食品健康影響評価の依頼がなされました。
 特定保健用食品の食品健康影響評価は、食品安全委員会新開発食品専門調査会において、品目別に食品健康影響評価が行われましたが、これら3品目は、関与成分が大豆イソフラボンに共通していたため、大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品3品目を合わせて、安全性評価を行うための審議が行われました。

問13:なぜ、大豆イソフラボンを含む特定保健用食品を大豆イソフラボンアグリコンに換算して評価しているのですか。
 ヒトが摂取した大豆イソフラボン配糖体は、腸内細菌の作用等により、大豆イソフラボンアグリコンとなり、腸管から吸収されるため、大豆イソフラボン配糖体を含む特定保健用食品についても大豆イソフラボンアグリコンに換算することにより、安全性評価を検討することが適切であるとしているものです。

問14:食品安全委員会における大豆イソフラボンの安全性評価の経緯を知りたい。
 平成16年1月及び5月に厚生労働省から食品安全委員会に対して、大豆イソフラボン配糖体又はアグリコンを関与成分(主に有効と考えられる成分)とする特定保健用食品3品目の食品健康影響評価の依頼がなされました。
 これを受けて、食品安全委員会新開発食品専門調査会において、平成17年4月まで、計9回にわたり調査審議が行われた結果、同月、食品健康影響評価(案)が取りまとめられ、国民からの意見・情報の募集が実施されました。
 この国民からの意見・情報の募集において、大豆イソフラボンについて、国民から考慮すべきご意見、情報が寄せられたことから、新開発食品専門調査会において、さらに調査審議が行われることとなりました。
 平成18年2月までに、新開発食品専門調査会において、さらに6回の調査審議が行われ、その結果が、平成18年3月9日の食品安全委員会に報告され、3月9日〜4月5日までの間、国民の皆さまからの意見・情報の募集を行いました。寄せられた意見・情報及びそれに対する専門調査会の回答はこちらをご覧ください。
「オーラルヘルスタブレット カルシウム&イソフラボン」「イソフラボンみそ」「大豆イソフラボン40」の食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての御意見・情報の募集結果について[PDF]別ウインドウで開きます
「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方(案)」についての御意見・情報の募集結果について[PDF]別ウインドウで開きます

問15:特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値だけでなく、なぜ、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値を検討しているのですか?
 今回の食品健康影響評価は、日常の食事で大豆食品を摂取していることを前提に、その上に大豆イソフラボンを含む特定保健用食品を摂取する場合の安全性を評価いたしました。従って、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の考え方」では、特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日摂取量の上限値について、こうした視点から検討を行いました。
 なお、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値、及び特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値は、大豆イソフラボンアグリコンとして示しております。

問16:「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」の概要はありませんか。
 大豆イソフラボンを含む特定保健用食品(3品目)の食品健康影響評価のポイント[PDF]別ウインドウで開きます
については、食品安全委員会のホームページに掲載しておりますので、ご覧ください。

問17:海外において大豆イソフラボンの安全性については、どのように評価されていますか。
 英国食品基準庁(FSA)は2003年に、食事由来の植物エストロゲン摂取による健康への影響について、検討を行っておりますが、引き続き、研究、試験等を進める予定としております。

 フランス食品衛生安全庁(AFFSA)では、植物エストロゲンに関する報告書(2005年3月)「食品から摂取する植物エストロゲンの安全性及び有益性−勧告」において、植物エストロゲンの摂取による健康影響(リスク)が考えられない量として、大豆イソフラボンアグリコン1mg/kg体重/日を示しております。また、大豆たん白を主成分とする調理食品を摂取する乳幼児は、その食品中の植物エストロゲンを1mg/lに制限すべきとし、乳がん患者及び本人又は家族に乳がんの病歴のあるヒトは、腫瘍増殖及び増大のリスクを考慮し、摂取を制限すべきとしております。

 米国食品医薬品庁(FDA)では、大豆たん白質の摂取により、血漿LDL(low-density lipoprotein)の低下が見られた臨床試験をもとに、大豆たん白質の摂取が冠状動脈性心臓疾患のリスクを減少させる可能性があるという、健康強調表示(Health claim)を1999年に承認しております。

 米国医療研究・品質調査機構(AHRQ)では、2005年に、大豆及び大豆イソフラボンの健康影響について、心臓血管への影響、更年期障害への効果、内分泌機能への影響、がん細胞の増殖作用、骨への影響等の観点からヒト試験の報告を検討したところ、大豆たん白質、大豆から抽出されたイソフラボン類の内分泌機能、月経周期、及び骨への効果については、裏付けがないとしております。

 その他、イタリアにおいては、2002年7月、植物エストロゲン、大豆イソフラボンを補完した食品による一日摂取量を80mg/日を超えないようにとの勧告がだされており、イスラエルにおいては、幼児における大豆食品の消費が制限されること、及び乳児については摂取させないことが推奨されたとの情報があります。

 米国心臓協会(American Heart Association)では、大豆たん白質と大豆イソフラボンに関する最近の試験報告を評価し、大豆イソフラボンについては、更年期の症状に対して低減効果は見られず、また、乳がん及び前立腺がん等の予防と治療に対する効果と安全性については確立していないこと、臨床報告の結果が乏しく、副作用の可能性もあることから、大豆イソフラボンを含む食品や錠剤の摂取は推奨できないと結論しています。これに対し、豆腐等の多くの大豆食品は、不飽和脂肪酸、食物せんい、ビタミン類、ミネラル類を多く含み、飽和脂肪酸の含有量が低いことから、動物性たん白質を、大豆食品と置き換えることは、心血管疾患や、全般的な健康に有用/有効であろうとしております。

 また、米国NIEHS(National Institutes of Environmental Health Sciences:国立環境健康科学研究所)は、ゲニステインおよび乳児用調整豆乳の生殖・発達毒性について評価を行う委員会を平成18年3月15日より17日まで開催し、その結果概要が発表されています。
 それによると、ゲステイニンを最も多量に摂取している人口群として成人日本人の総ゲニステイン摂取量の平均値として30mg/日(同結果概要においては体重70kgを米国人の基準体重として約0.43mg/kg体重/日と表現)と、げっ歯類を用いた試験等も勘案し、現在の米国における成人のゲニステイン摂取状況については、生殖機能、発達へ影響はしないであろうと、結論づけています。
 新生児及び乳児に対しては、大豆調整乳中のゲニステイン含有量を新生児0.01mg/kg体重/日(体重3kgの新生児では0.03mg/日)、乳幼児0.08mg/kg体重/日(体重10kgの乳児では0.8mg/日)以下にすることを示しています。
 詳細は、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」[PDF]別ウインドウで開きますをご覧ください。

問18:乳幼児及び小児とは、何歳までの子どもを指しますか。
 「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」においては、大豆イソフラボンの生体への影響のうち、エストロゲン・レセプターを介する作用を指標としていることから、エストロゲンへの感受性を基本と考え、大豆イソフラボンの摂取対象者を閉経前女性(15〜59歳)、閉経後女性(50歳以上)及び男性(15歳以上)としました(閉経の年齢には個人差があることから、50〜59歳の女性を閉経前女性及び閉経後女性の両方を対象としております)。
 従って、乳幼児及び小児については、15歳未満の方が該当します。

【評価結果に関するもの】

問19:大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値70〜75mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)は、どのようにして設定されているのですか。
 以下の2つの観点から設定しております。
[1] 食経験に基づく設定
 日本人が長年にわたり摂取している大豆食品からの大豆イソフラボンの摂取量により、明らかな健康被害は報告されていないことから、その量は概ね安全であると考えました。そこで、平成14年国民栄養調査から試算した、大豆食品からの大豆イソフラボン摂取量の95パーセンタイル値70mg/日(64〜76mg/日:大豆イソフラボンアグリコン換算値)を食経験に基づく、現時点におけるヒトの安全な摂取目安量の上限値としました。
[2] ヒト臨床研究に基づく設定
 海外(イタリア)において、閉経後女性を対象に大豆イソフラボン錠剤を150mg/日、5年間、摂取し続けた試験において、子宮内膜増殖症の発症が摂取群で有意に高かったことから、大豆イソフラボン150mg/日はヒトにおける健康被害の発現が懸念される「影響量」と考えました。摂取対象者が閉経後女性のみであることや個人差等を考慮し、150mg/日の2分の1、75mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)をヒト臨床試験に基づく、現時点におけるヒトの安全な摂取目安量の上限値としました。

 上記[1]及び[2]から、現時点における大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値は、大豆イソフラボンアグリコンとして70〜75mg/日と設定しました。

 詳細は、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」[PDF]別ウインドウで開きますをご覧ください。

問20:特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値30mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)は、どのようにして設定されているのですか。
 閉経前女性を対象に、日常の食生活に上乗せして大豆イソフラボンを摂取した臨床試験(13報)から、データが揃っている4報告(5試験)を選択し、検討しました。その結果、大豆イソフラボンアグリコンを57.3mg/日及び147mg/日摂取した試験において、血清E2濃度の低下と月経周期の延長が併せて見られることから、大豆イソフラボンアグリコン57.3mg/日を上乗せして摂取する場合の最低影響量と考察しました。
 試験設計の差や個人差等を考慮し、大豆イソフラボンアグリコンとしておおよそ30mg/日を閉経前女性における、特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値として設定しました。
 閉経後女性及び男性の日常の食生活に上乗せして摂取する量の上限値については、検討できる報告がありませんでしたが、閉経後女性の感受性が閉経前女性に比べて低くはないこと、男性の感受性が大きく女性と異なるとする理由が見出されないことから、閉経前女性の結果を外挿し、大豆イソフラボンアグリコンとして30mg/日としました。

 詳細は、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」[PDF]別ウインドウで開きますをご覧ください。

問21:大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値70〜75mg/日と特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値30mg/日(いずれも大豆イソフラボンアグリコン換算値)の関係を教えてください。
 図示すると以下のようになります。

閉経前女性・閉経後女性、及び男性

問22:妊婦、胎児、乳幼児、小児については、大豆イソフラボンを日常の食生活に上乗せして摂取することは、推奨できないとしていますが、その理由を教えてください。
 妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)、胎児、乳幼児及び小児については、十分なヒト試験のデータがなかったことから、動物試験の結果も考慮し、健康影響の可能性を推察しました。
[1] 妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)、胎児について
 妊娠動物を用いて、高濃度の大豆イソフラボンを投与した試験において、胎児の生殖機能への影響等を示唆する報告がありました。
 また、大豆イソフラボンを含むフラボノイドには、トポイソメラーゼII阻害作用があります。
 さらに、妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)が、大豆イソフラボンを追加摂取することに関する有益性を見出せないと考え、妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)が、特定保健用食品として大豆イソフラボンを日常的な食生活に上乗せして摂取することは、推奨できない、としました。
 なお、胎児は自らその摂取をコントロールできないため、妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)を対象としております。
[2] 乳幼児、小児について
 新生児動物または未成熟動物を用いて、高濃度の大豆イソフラボンを投与した試験において、生殖機能への影響等を示唆する報告がありました。
 また、大豆イソフラボンが、女性ホルモンであるエストロゲンの受容体を介する作用を持つことを動物試験の結果とあわせて考慮すると、生殖機能が未発達な乳幼児及び小児に対して、特定保健用食品として大豆イソフラボンを日常的な食生活に上乗せして摂取することは、安全性が明確でないかぎり、推奨できないとしました。

 詳細は、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」[PDF]別ウインドウで開きますをご覧ください。