寄生虫による食中毒にご注意ください

平成26年9月26日        
平成26年11月14日更新

1.主に食肉に寄生する寄生虫

■トキソプラズマToxoplasma gondii

 食物や水を介し、経口で感染します。トキソプラズマのリスクの高い食材は、豚、羊、山羊の生又は加熱不十分な肉と山羊の生乳等とされています。トキソプラズマのヒトに対する感染は、加熱の不十分な食肉に含まれる寄生虫(シスト)の摂取、あるいはネコ糞便に含まれる寄生虫(オオシスト)の経口的な摂取により主に生じます。妊娠中に初めて感染した場合、母親から胎児への垂直感染(胎盤感染)により、流産や、胎児が感染することにより先天性トキソプラズマ症が発生する可能性があるので妊婦の方は注意しましょう。

寄生虫をやっつける

加熱処理:55℃、5分以上。食肉中に含まれる寄生虫(シスト)の不活化には、中心が67℃になるまでの加熱が有効であるとされています。
凍結処理:中心が-12℃になるまでの凍結が有効であるとされています。

主な症状

 感染しても、無症状から頭痛、軽い発熱等の軽度の症状を示す場合が多いとされていますが、免疫の低下している人は重篤な症状を引き起こすため、注意が必要です。妊娠期間中に初めて感染した場合、胎盤感染が起こり、流産、死産、早産、胎児が感染したことによる脳症、水頭症、子供の発育不全、精神遅滞、視力障害などが起こる可能性があります。

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■サルコシスティス(住肉胞子虫「じゅうにくほうしちゅう」) Sarcocystis fayeri(ウマ)、 S. hominis (ウシ)、S. suihominis (ブタ)、 S. tenella(ヒツジ)等

 ブタ、ウシなどの筋肉に寄生したサルコシスティス属の胞子虫を加熱不十分の肉を摂取して感染し、住肉胞子虫症を発症すると、下痢、腹痛等の症状を示します。また、ヒトには寄生しませんが、S. fayeriが多数寄生した馬肉を生で喫食することにより、一過性の消化器症状が起きますが、症状は軽度です。なお、流通段階で適切な凍結処理を行えば、感染性はなくなります。熱帯・亜熱帯地方において、動物が排出した寄生虫により食品や水が汚染され、ヒトがそれを経口摂取することで感染することもあるとされています。

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 加熱処理:中心まで火がとおるよう十分加熱して食べましょう。
 凍結処理:-20℃(中心温度)で48時間以上、-30℃(同)で36時間以上、-40℃(同)で18時間以上等、急速冷凍装置を用いた場合は-30℃(同)で18時間以上を保持、液体窒素に浸す場合は1時間以上保持等

主な症状

・S. hominis (ウシ)、S. suihominis (ブタ)による消化管サルコシスティス症:食肉摂食後3〜6時間で下痢、おう吐、腹痛等の消化器症状(1日程度)
・S. fayeri(ウマ)による症状:食肉摂食後5〜19時間で下痢、腹痛、倦怠感等

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■トリヒナ(旋毛虫症「せんもうちゅう」)Trichinella spp.

 主な原因は豚肉や、クマ肉などのジビエの生食によるものです。ヨーロッパでは馬肉の生食による集団発生がありました。日本では、豚肉での感染サイクルは存在しないと考えられていますが、クマ、タヌキ、キツネ、アライグマの調査では旋毛虫の感染が確認されており、過去にはクマ肉(ルイベや刺身)による食中毒が発生しています。

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加熱処理:ジビエ(クマ、イノシシ等)、豚肉は、中心まで火がとおるよう十分加熱して食べましょう。
凍結処理:冷凍に強いため、冷凍しても死滅しません。

主な症状

痒み、発疹、顔面浮腫、筋肉痛、倦怠感等
消化管侵襲期:悪心、腹痛、下痢
幼虫筋肉移行期:感染後2〜6週の間、眼窩周囲の浮腫、発熱、筋肉痛、皮疹、高度の好酸球増加。幼虫の通過により心筋炎を起こし、死亡することがあります。
幼虫被嚢期: 感染後6週以後、軽症の場合は徐々に回復しますが、重症の場合は貧血、全身浮腫、心不全、肺炎などを併発し死亡することもあります。

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■肝蛭「かんてつ」Fasciola hepatica、F. gigantica、F. sp.

 肝蛭は、牛などの糞に含まれた寄生虫の卵が水田、小川などでモノアラガイ類の貝に寄生し、その中で増えて成長し、貝から水中にでてきます。水中を遊泳した寄生虫は水田の稲や水辺の植物(クレソンやセリなど)にくっつきます。この寄生虫のついた植物を食べることにより、牛、豚、山羊、羊、ウサギなどの家畜やヒトを含む全ての哺乳類及び鳥類が肝蛭に感染します。
 ヒトに感染する主な原因はクレソン、セリなどについた寄生虫を経口摂取することによるものです。また、牛の肝臓の生食「レバ刺し」による感染も報告されています。レバーの生食は危険ですのでやめましょう。

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加熱処理:レバーは中心まで火がとおるよう十分加熱して食べましょう。
よく洗う:セリやクレソンなどの水辺に生える野菜はよく洗って食べましょう。

主な症状

急性肝蛭症:幼若虫の多数寄生により、削痩「さくそう」(=やせること)、発熱、好酸球(白血球)の増多がおこります。
慢性肝蛭症:主として成虫の寄生により、慢性胆管炎や慢性間質性肝炎(肝臓の障害)が起こります。
異所寄生:本来の移行経路や寄生部位(腸管、腹腔、肝臓の周辺)から外れた肺、子宮、脊髄、胎児などに迷入「めいにゅう」(=迷い込む)し、寄生すること。

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■有鉤条虫「ゆうこうじょうちゅう」、有鉤嚢虫「ゆうこうのうちゅう」Taenia solium

 有鉤条虫症は幼虫(有鉤嚢虫)で汚染された豚肉などを生、あるいは加熱不十分な状態で食べることで幼虫がヒトの腸管に寄生し、有鉤条虫の成虫に発育する、成虫による感染症です。ヒトが終宿主の寄生虫なので、成虫が感染してもほとんど症状はなく、時々腹部に違和感を覚える程度です。有鉤嚢虫症は有鉤条虫の虫卵を飲食物などとともに経口的に摂取することによって感染します。感染した場合、
 幼虫が身体の各部に運ばれて有鉤嚢虫に発育します。ヒトへの主な感染源は豚であり、生や生焼けの豚肉から感染します。この虫はイノシシ、ヒツジ、鹿、牛にも感染することがあります。

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加熱処理:中心温度を少なくとも60℃で加熱する。豚肉は中心までよく焼いて食べましょう。
凍結処理:-10℃で4日

主な症状

 有鉤条虫症(成虫):症状は軽微であり、腹部膨満感、悪心、下痢、便秘など消化器症状などがみられることがありますが、症状がでないことも多くあります。
 有鉤嚢虫症(幼虫):脳、筋肉、皮下組織への寄生が代表的ですが、その他、眼、心臓、肝臓、腎臓、腹腔、胸膜など様々な部位に嚢虫を形成することが報告されています。症状は、嚢虫が寄生する臓器によって異なり、脳や眼へ寄生した場合、てんかん(けいれん、意識障害)や視野障害などの重い症状となります。
» 無鉤条虫「むこうじょうちゅう」、無鉤嚢虫「むこうのうちゅう」(Taenia saginata)
 牛を中間宿主とし、牛、まれに羊、山羊を生、あるいは加熱不十分な状態で食べることで幼虫がヒトの腸管に寄生します。無鉤条虫はヒトが終宿主の寄生虫なので、成虫が感染してもほとんど症状はなく、時々腹部に違和感を覚える程度です。最近では国内における感染例はほとんどなく、散発的な輸入感染例によるとされ、ヒトが虫卵を経口摂取しても感染は成立しないとされています。60℃以上の加熱により死滅すると言われています。

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■アジア条虫 Taenia asiatica

 アジア地域に分布しているサナダムシの一種であり、無鉤条虫に形態はよく似ていますが、豚を中間宿主とする点では有鉤条虫に似ています。平成2年から25年までの26年間で報告されたアジア条虫症は29例あり、2010年6月以降、関東地方で連続的に発生が確認された新興寄生虫感染症です。
 アジア条虫の幼虫は、中間宿主であるブタの肝臓内に寄生しています。ヒトは終宿主であるとされ、ブタの肝臓に含まれる嚢虫(幼虫)を加熱不十分な調理物等として経口摂取することにより感染します。ヒトの糞便に含まれる成虫の一部である受胎片節(虫卵を含む。)を経口摂取しても、感染することはありません。

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加熱処理:豚の肝臓は中心までよく焼いて食べましょう。

主な症状

 持続的に片節が排出されることによる精神的な不快感や軽微な下痢。

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■クリプトスポリジウム Cryptosporidium spp.(主にC. hominis、C. parvum)

 感染症として感染症法の5類感染症(全数把握疾患)に位置付けられており、すべての医師に患者の届出が義務付けられています。過去にクリプトスポリジウム原虫で水道水が汚染され、大規模感染が起こりましたが、日本では対策が取られているため、現在は水道水による感染は起こっていません。71.1℃ 15 秒で99.9%が不活化されます。井戸水や沢の水は沸騰させてから飲みましょう。
 日本では、2007 年に、飲食店における生肉の喫食が原因と疑われたC. parvumによる集団感染事例が報告されています。
 諸外国においては、殺菌不十分な牛乳、未殺菌のアップルサイダー、野菜又は果物などに起因した集団発生が報告されています。
 また、牛などの動物を触り、クリプトスポリジウム症に罹った事例もあります。動物に触ったら、よく手を洗いましょう。

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加熱処理:71.1℃、15秒(ご家庭では煮沸)

主な症状

水溶性下痢、胃腸炎、腹痛、おう吐、発熱
潜伏期間はおおむね4〜8日で、非血性の水様下痢等の症状が10日程度(2〜26日)持続します。

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2.主に魚介類に寄生する寄生虫

■アニサキス Anisakis simplex、Anisakis pegreffii、Pseudoterranova decipiens、Anisakis physeteris等

 人は、アニサキスの幼虫に感染したサバ、アジ、イワシ、サンマ、メジマグロなどの海産魚やイカなどを生で食べることによりアニサキスに感染します。たとえ虫体1隻※の感染であってもアニサキス症を発症する危険性があります。
※ 隻「せき」:寄生虫の数え方(1隻=1匹)

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加熱処理:アニサキスの幼虫は60℃では1分以上、70℃以上では瞬時に死滅します。
凍結処理:低温には強いとされていますが、冷凍処理によりアニサキス幼虫は感染性を失うので、魚を-20℃以下で24時間以上冷凍することは感染予防に有効です。
その他:酸には抵抗性なので、シメサバのように食酢で処理しても、アニサキス幼虫は死なずに感染します。また、一般的な料理で使う程度の量や濃度の塩・わさび等でも幼虫は死滅しないのでご注意ください。

季節性

夏から秋にかけて多く発生

主な症状

急性胃アニサキス症:汚染された刺身等を食して数時間後から十数時間後に心窩部(みぞおち)に激しい痛み、悪心、嘔吐。
急性腸アニサキス症:汚染された刺身等を食して十数時間後から激しい下腹部痛、腹膜炎症状など。
慢性症状:自覚症状を欠く場合が多く、画像診断で腫瘤病変(粘膜下腫瘍など)として偶然発見されます。

関連情報

ファクトシート(食品安全委員会)[PDF:852KB]別ウインドウでPDFが開きます
アニサキス(農林水産省)別ウィンドウで外部サイトが開きます
アニサキスによる食中毒を予防しましょう(厚生労働省)別ウィンドウで外部サイトが開きます
食中毒統計資料(厚生労働省)別ウィンドウで外部サイトが開きます
アニサキス症とは(国立感染症研究所)外部サイトが開きます

■クドア・セプテンプンクタータ Kudoa septempunctata

 従来知られていたクドア属の寄生虫(K. thyrsites、K. lateolabracis)は、魚の筋肉をゼリー状にして海産物の商品価値を低下させる品質の問題がありましたが、人には害を及ぼさないものとされていました。しかし、新たに発見されたヒラメに寄生するクドア・セプテンプンクタータによる食中毒が報告されるようになり、問題となっています。主な原因はクドア・セプテンプンクタータに高濃度に感染したヒラメの生食です。

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加熱処理:75℃ 5分以上
凍結処理:-15℃〜-20℃ 4時間以上、-80℃ 2時間以上

季節性

平成24年度では6月に、平成25年度では9月に食中毒事例が最も多く発生しました。

主な症状

下痢、おう吐

関連情報

■旋尾線虫「せんびせんちゅう」 学名未定M

 ホタルイカ等に寄生する寄生虫で、終宿主と成虫が不明であるため、旋尾線虫typeX幼虫と仮に名付けられていますが、最近ツチクジラを終宿主とし、腎臓に成虫として寄生するCrassicauda giliakianaは、発育期の異なる同種の成虫であると示唆されています。ホタルイカ、スルメイカ、ハタハタ、スケソウダラ等、海産魚介類の内臓に主に寄生しますが、食中毒として主に問題となっているのはホタルイカです。
 ホタルイカを生食する場合は、新鮮なうちに内臓を除去するか、下記条件で凍結することによって感染は予防できます。
ホタルイカは元来限られた産地でのみ賞味され、その調理法も加熱か内臓除去後の生食が主であったとされています。主産地から生きたままのホタルイカが遠隔地に発送されるようになり、踊り食いや内臓付きの刺身という新しい喫食法が広まり、ホタルイカの生食を原因とする旋尾線虫幼虫による皮膚爬行症や腹痛等を呈した患者の発生が全国的に報告されるようになりました。
※国立感染症研究所のホームページを参考にさせていただきました。

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加熱処理:沸騰したお湯で30秒以上、もしくは中心温度で60℃以上の加熱
凍結処理:-30℃で4日間以上、-35℃(中心温度)で15時間以上、-40℃で40分以上
※ご家庭の冷凍庫(およそ-18℃)では死滅しません。

季節性

4〜5月

主な症状

 皮膚爬行症型:幼虫が、皮下に迷入「めいにゅう」(=迷い込む)することにより、皮膚にみみず腫れができ、移動します。水ぶくれができることもあります。摂食後2 週間前後の発症が多いとされています。
 急性腹症:摂食後数時間〜2日後より腹部 膨満感、腹痛が出現します。
 腹痛の持続時間は2 〜10日で、嘔気、嘔吐を伴う事が多いとされています。

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■淡水魚、淡水性カニ類やその他魚介類に寄生する寄生虫

 ヒトへの感染の原因となる寄生虫に感染する淡水性魚、淡水性カニ類やその他魚介類の例を記載しておりますが、これは例にすぎません。淡水魚や淡水性カニ類などは生食を避け、よく加熱して食べましょう。
» 肺吸虫(P. ohirai, など):淡水性カニ類 ※エスニック料理などで淡水性のカニを生食することにより、日本国内でも感染が認められています。
肺吸虫の概要(食品安全委員会)[PDF:615KB]別ウインドウでPDFが開きます
» ウエステルマン肺吸虫(Paragonimus westermainii)、宮崎肺吸虫(P. miyazakii)、佐渡肺吸虫(P. sadoensis)等:汽水性の巻貝、淡水性巻貝(カワニナ)、サワガニ、ザリガニ、モクズガニ等やこれらを摂食したイノシシ、ブタ等
食肉の寄生虫汚染の実態調査と疫学情報に基づくリスク評価手法の開発(食品安全委員会)別ウインドウで開きます
» 肝吸虫(Clonorchis sinensis):モツゴ、コイ、フナ、ハゼ、サケ科、ワカサギ科、ザリガニ等
» 横川吸虫(Metagonimus yokogawai):アユ、シラウオ、ウグイ、オイカワ、コイ、フナ
横川吸虫の概要(食品安全委員会) [PDF:574KB]別ウインドウでPDFが開きます
» 有棘顎口虫「ゆうきょくがくこうちゅう」(Gnathostoma spinigerum):ライギョ、ナマズ、ドジョウ、カエル、ヘビ。
顎口虫の概要(食品安全委員会)[PDF:589KB]別ウインドウでPDFが開きます
» 棘口吸虫「きょくこうきゅうちゅう」(Echinostoma spp.):ドジョウ、カエル、サンショウウオ
» 広節裂頭条虫「こうせつれっとうじょうちゅう」(Diphyllobothrium latum):淡水魚
裂頭条虫の概要(食品安全委員会) [PDF:581KB]別ウインドウでPDFが開きます
» 有害異形吸虫(Heterophyes heterophyes nocens):ボラ、メナダ、ハゼ
» 日本海裂頭条虫(Diphyllobothrium nihonkaiense):サクラマス等の海洋を回遊するサケ属
裂頭条虫の概要(食品安全委員会)[PDF:581KB]【直前と同じものだがOKか?】別ウインドウでPDFが開きます
» 大複殖門条虫「だいふくしょくもんじょうちゅう」(Diphyllobothrium grandis):日本での発生がほとんどで、特に静岡県に多い。生シラス(マイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシの稚魚の総称)の生食が原因と考えられています。
大複殖門条虫の概要(食品安全委員会)[PDF:527KB]別ウインドウでPDFが開きます

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加熱処理:魚介類は、中心まで火がとおるよう十分加熱して食べましょう。

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3.その他の水や食品からヒトに感染する原虫や寄生虫

見出し

 日本は水道水がそのまま飲める衛生状態の良い国ですが、外国では生水(水道水を含む)は飲まないよう注意喚されていると思います。その理由として、水道水が細菌、ウイルス、原虫、寄生虫などで汚染されている可能性があるからです。

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加熱処理:十分加熱しましょう。

» ジアルジア、ランブル鞭毛虫「べんもうちゅう」(Giardia lamblia)

 糞便中に排出された原虫嚢子により食物や水が汚染されることによって経口感染を起こします。感染者の多くは無症状ですが、有症者では食欲不振、腹部不快感、腹痛、下痢等の症状を示します。ほ乳動物の小腸に寄生し、感染した動物の糞便中に排出され、手指や食品を介して経口感染します。世界中で発生が見られますが、今日の日本では、ジアルジアの感染率も低下しており、感染者の多くは発展途上国からの帰国者であるとされています。ジアルジアは塩素消毒に抵抗性がありますが、熱や乾燥には弱い性質があります。
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» 赤痢アメーバEntamoeba disper、E. histolyti(ca)

 赤痢アメーバに汚染された水や食品などの経口摂取により感染します。宿主はヒト(霊長類)であるとされています。外国で生水を飲んではいけない理由の一つです。下腹部腹痛、粘血便を主症状とする赤痢アメーバ性大腸炎を発症します。その内の約5%程度で腸管外へ血行性に転移し、肝・肺・脳などに膿瘍を形成する「腸管外赤痢アメーバ症」へと移行します。赤痢アメーバのシストは、乾燥に弱く、水では1分間以上の煮沸により殺菌できるとされています。赤痢アメーバは、世界中に広く分布していますが、特に、熱帯地方の発展途上国を中心に多くの感染者が報告されています。
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» サイクロスポーラ(Cyclospora cayetanensis)

 糞口感染を起こす寄生虫で、宿主はヒトを含む霊長類であるとされています。米国・カナダでは、寄生虫に汚染された輸入食品(ベリー類)による集団発生がありました。寄生虫で汚染された飲料水を介した感染例もあります。主な症状は頑固な水様性の下痢です。1~2週間で治癒しますが、免疫不全の患者が感染した場合では慢性化する場合があります。サイクロスポーラは、世界中に広く分布していますが、特に、熱帯・亜熱帯地方では、生ものや生水は控え、よく加熱されたものを食べましょう。
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» マンソン裂頭条虫(Spirometra erinaceieuropaei)

 ヒトは、第2中間宿主及び待機宿主とされるカエル、ヘビ、ブタ、ニワトリ、イノシシなどを生食または不完全調理で食べること及び、第1中間宿主とされるケシミジンコを含む井戸水の摂取により感染することがあります。カエル、鶏の生肉を患部に貼る民間療法により、皮膚の傷口から感染することもあります。幼虫を摂取することにより感染し、幼虫移行症の場合は皮下、深部臓器にも移行するので重篤な症状を示すことがありますが、成虫にまで発育して消化管に寄生した場合の症状は軽微であるとされています。
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