研究情報詳細
評価案件ID | cho99920131202 |
評価案件 | 食肉の寄生虫汚染の実態調査と疫学情報に基づくリスク評価手法の開発(研究課題番号1202) |
資料日付 | 2014年3月31日 |
分類1 | --未選択-- |
分類2 | --未選択-- |
事業概要 | 食肉や野生獣肉由来の寄生虫症によるヒトの健康被害のリスク評価を行うため、近年、わが国で食品衛生上の問題となっている新興寄生虫(アジア条虫、サルコシスティス・フェアリー(以下「サルコ」という。)、クドア・セプテンプンクタータ(以下「クドア」という。))の他、旋毛虫、トキソプラズマや肺吸虫について、感染源となる食肉や獣肉における汚染実態を調査した。さらに、これらの調査結果に食肉検査統計や文献検索による症例数等のデータを加え、食肉等由来寄生虫14種について半定量的リスク評価手法(以下、リスクマップ法)を開発した。「被害の大きさ」と「年間患者発生数」の2軸からなるリスクマップ上に食肉等由来寄生虫14種をマッピングすることにより、相対的なリスクの差異が可視化された。また、リスク管理領域を設定することにより、監視や対策を講じる際の優先順位を決める根拠としても本手法は有用な手段であると考えられた。 食肉汚染実態調査では、アジア条虫の場合、ミニブタを用いた感染実験では、虫卵投与9日目にはアジア条虫は肝臓で嚢虫に発育し、肉眼的には直径1mm程度の白色斑として観察されたが、20日目までにその多くは死滅することが分かった。このような肉眼的所見をもとに、アジア条虫患者が発生した群馬、埼玉、栃木県のと畜場で検査された豚470頭分の肝臓をPCR法で精査したが、アジア条虫は検出されなかった。旋毛虫については北海道産ヒグマ肉と本州産ツキノワグマ肉、計25検体を検査したが、いずれの肉からも旋毛虫は検出されなかった。 トキソプラズマでは、UPRT、HPとSAG1の3遺伝子の分子系統解析から、沖縄には沖縄特有のクローン(G1とG2)と世界で主要なクローン(Type IIとType III)が混在することが明らかになった。また、本州における抗トキソプラズマ抗体陽性検査では陽性率が牛で7.3%、豚で5.8%と高く、トキソプラズマ感染の原因食品として牛肉も重要であることが示唆された。 肺吸虫では、九州産の猪肉22検体と鹿肉4検体を調べた結果、大分と鹿児島の猪肉7検体からウエステルマン肺吸虫が検出された。また、冷凍処理(-18℃、24時間)を行うことで肺吸虫の感染性は完全に消失することが確認され、猪肉の冷凍処理が感染予防策として有効と考えられた。 サルコについては、熊本県でと殺された馬300頭分 (約94%は北海道産)の横隔膜についてreal-time PCRによる精査を行った。その結果、300頭中3頭(1%)から食中毒を起こしうる量のサルコDNAが検出されたが、90%以上の馬ではサルコDNAは検出されず、国産馬におけるサルコの汚染は低いと考えられた。 クドアについては、大分(70検体)、愛媛(20検体)、三重産(25検体)の養殖ヒラメを定量PCRで精査したが、いずれの産地のヒラメからもクドアは検出されず、国産養殖ヒラメにおけるクドアの汚染は極めて低いと考えられた。 (注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。 本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。 |
事業名 | 食品健康影響評価技術研究 |
実施機関 | 食品安全委員会 |
添付資料ファイル |