食べものと放射性物質のはなし
その2 放射性物質と健康影響
「食べものと放射性物質のはなし」ポスター
「食べものと放射性物質のはなし」ポスター(印刷用)[PDF:840KB]
わたしたちのまわりには、もともと放射性物質1)があります
もちろん、食べものの中にも
わたしたちは、大昔から、そして生まれてきてからずっと、食べものを口にすることで、毎年0.4ミリシーベルト2)分くらい体に取り込んできました
それでは、原発事故後、食べものから体に入る放射性物質3)は、どのくらい増えたのでしょうか
厚生労働省など4)が調べたところ、年間で0.02〜0.003ミリシーベルト増えました
これは、今まで食べものから摂ってきた量の、1/205)〜1/1306)くらいです
仮に、最も増えた場合(0.02ミリシーベルト/年間)でも、80年間摂り続けて1.6ミリシーベルトです
元々受けてきた自然放射性物質からの放射線のほか、どのくらいの放射線を受けると、わたしたちの健康に影響が出る可能性があるのでしょうか
科学的に確認されているのは、一生涯で100ミリシーベルト以上7)です
1)カリウム40などの自然放射性物質
2)原子力安全研究協会「生活環境放射線(平成4年)」
3)事故由来のセシウム
4)厚生労働省・京都大学及び朝日新聞社・日本生活協同組合連合会
5)福島県の場合
6)東京都の場合
7)食品安全委員会
「食べものと放射性物質のはなし」リーフレット
リーフレット(三つ折り)[PDF:1,083KB]
※ 印刷設定を「A4・両面印刷(短編とじ)」にして印刷してください。
もっと知りたい方のためのQ&A
Q1 | 大昔から食べてきた食べものの中に含まれる「自然放射性物質」って、どんな食べものに入っているの? | ||
A1 | さまざまな食べものに入っています。 | ||
私たちが口にする食べものには、もともと、カリウム40や炭素14などの自然放射性物質が含まれています。例えばカリウム40の場合、野菜や肉・魚などに100〜200ベクレル/kg程度、穀類に30ベクレル/kg程度が含まれています。
日々の食事で、こうした自然放射性物質を摂っていることなどにより、私たちの体には、常に放射性物質が含まれています(体重約60kgの日本人で約7,000ベクレル)。 【出典:原子力安全研究協会「生活環境放射線データに関する研究」(昭和58年)】
|
Q2 | 私たちは原発事故以降、どのくらい放射性物質を摂る量が増えたの?また、それは誰が調べたの? | ||||||||||||||||
A2 | 国・研究機関・消費者団体が調査し、いずれの結果でも、大昔から食べてきた食べものの中の自然放射線量と比べ、きわめて少量でした。 | ||||||||||||||||
食品に含まれる放射性物質から受ける放射線量(1年分)について、(1)厚生労働省、(2)京都大学・朝日新聞社、(3)日本生活協同組合連合会が調べています。
その結果は、以下のとおりです。
どの結果も、私たちが原発事故以前から食事で摂ってきた自然放射線量(年間0.4ミリシーベルト(※))の約1/20〜1/130の量でした。
(※)原子力安全研究協会「生活環境放射線(平成4年)」 |
Q3 | 今の私たちの食事で、子どもたちの健康は大丈夫?大人の健康も大丈夫? | ||
A3 | 科学的にみて心配する必要はありません。 | ||
食品安全委員会(内閣府)では、昨年の原発事故の後、国内外の約3,300の文献を整理し、専門家による食品健康影響評価を行いました。
その結果、放射線による健康影響が確認されるのは、一生涯で、自然放射線など通常の一般生活において受ける放射線量に加え、おおよそ100ミリシーベルト以上と判断しました。 そのうち、子どもは、放射線の感受性が大人より高い可能性があると判断しています。 ただし、子どもは体内からの排出が早く、食べものの摂取量も少ないことなどから、食事から摂取する放射線量は少なくなります。 一方、原発事故の影響により、実際に私たちが食事から追加的に摂った放射線量は、今まで摂ってきた自然放射線量(0.4ミリシーベルト/年)と比べてもきわめて少なく、仮に最も増えた場合(0.02ミリシーベルト/年)(※)でも、80年間摂り続けて1.6ミリシーベルトです。 お子さんを含め、科学的にみて心配する必要はありません。 ※厚生労働省調べ(Q2参照) |
Q4 | 自然放射性物質も、人工放射性物質も、健康への影響は同じなの? | ||
A4 | 健康への影響は同じです。 | ||
放射線が私たちの健康へ影響を与えるしくみは、自然放射性物質か、人工放射性物質かで異なるものではありません。同じ線量なら、健康への影響は同じです。(その影響は、すべてシーベルトで表します。)
|
Q5 | 少量であっても、放射性物質を普段より多く摂ることは心配です。どのような食生活が体にいいの? | ||
A5 | バランスの良い食生活が大切です。 | ||
痩せ過ぎや肥満、塩分の摂り過ぎは、100〜200ミリシーベルトの放射線を受けた場合より、がんになるリスクを高くするという研究報告があります。
また、カリウムは、ナトリウムの排泄を促し、血圧の上昇を抑えるなど、健康を保つのに必須の栄養素です。カリウム40は、カリウムに一定比率(0.012%)含まれているため、カリウム40だけを避けることはできません。 ごく少量の放射性物質の健康への影響については諸説ありますが、野菜や果物などからカリウムを摂り、食品をバランスよく食べることが大切です。 |
放射線によるがんのリスクの大きさ
国立がん研究センターでは、放射線や生活習慣によるがんのリスクの大きさを、以下のように示しています。
要因 | がんになるリスク |
---|---|
1000〜2000ミリシーベルトの放射線を受けた場合 | 1.8倍 |
喫煙/大量飲酒(エタノール450g以上/週※) | 1.6倍 |
痩せ過ぎ | 1.29倍 |
肥満 | 1.22倍 |
200〜500ミリシーベルトの放射線を受けた場合 | 1.19倍 |
運動不足 | 1.15〜1.19倍 |
塩分の摂り過ぎ | 1.11〜1.15倍 |
100〜200ミリシーベルトの放射線を受けた場合 | 1.08倍 |
野菜不足 | 1.06倍 |
受動喫煙 | 1.02〜1.03倍 |
100ミリシーベルト未満の放射線を受けた場合 | 検出不可能 |
出典:国立研究開発法人 国立がん研究センター調べ
「わかりやすい放射線とがんのリスク ‐国立がんセンター」
https://www.ncc.go.jp/jp/other/shinsai/higashinihon/cancer_risk.pdf[PDF]
・放射線によるがんのリスク(公益財団法人放射線影響研究所)
「広島・長崎の原爆被ばく者の約40年間の追跡調査」からのデータ(寄与率を相対リスクに変換)
http://www.rerf.or.jp/radefx/late/cancrisk.html
・生活習慣によるがんのリスク(国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ)
日本の40〜69歳の地域住民を約10〜15年追跡調査したデータ(多目的コホート研究)
http://epi.ncc.go.jp/jphc
※ 飲酒については、酒類に関わらずエタノール換算量で示した。目安として、エタノール23gはほぼ日本酒1合(180ml)、ビール大瓶1本(633ml)、焼酎25度120ml、ワイングラス 2杯(200ml)、ウイスキーダブル1杯 (60ml)相当。