【読み物版】 [生活の中の食品安全 −ジャガイモによる食中毒について知ろう!− その1] 平成29年6月16日配信

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
[生活の中の食品安全 −ジャガイモによる食中毒について知ろう!− その1]
平成29年6月16日配信
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今月のe-マガジン【読み物版】は、身近な食品「ジャガイモ」についてお送りします。
学校などで、ゆでたジャガイモによる食中毒が毎年のように発生しています。
ふつうに食べれば、安全でおいしいジャガイモです。どのような点に気を付ければよいでしょうか。

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1.ジャガイモによる食中毒の発生状況
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■毎年のように食中毒が起きている

ジャガイモは、カレーに、肉じゃが、フライドポテトなどでおなじみの食材です。日本人は、一人1日あたり、ジャガイモ及びジャガイモ加工品を約25g食べています。
しかし、そのような身近な食材であるジャガイモで、毎年のように全国で食中毒が起きています。

■学校において、7月に多発

原因施設は、ほとんどが学校です。また、発生時期は、6〜9月、11〜2月で、特に7月が多いことが特徴です。具体的に事例を以下に示します。

▼発生年月/発生場所/原因食品/原因施設/患者数(厚生労働省食中毒統計より)
平成28年11月 北海道 調理実習で喫食した「ゆでたジャガイモ」 学校 7人
平成28年7月 静岡県 生徒が調理した塩ゆでジャガイモ 学校 25人
平成27年1月 奈良県 粉ふきいも(ジャガイモ) 学校 31人
平成27年9月 岡山県 ジャガイモ(カレールウ) 学校 10人
平成26年7月 石川県 塩ゆでジャガイモ 学校 9人
平成26年7月 福井県 ジャガイモ 学校 4人
平成26年12月 北海道 ゆでたジャガイモ 学校 93人
平成25年6月 大阪府 ジャガイモ 学校 4人
平成25年7月 東京都 ゆでジャガイモ 学校 4人
平成25年8月 神奈川県 揚げジャガイモカレー味 飲食店 1人
平成24年2月 国内不明 蒸かしたジャガイモ 不明 3人
平成24年6月 埼玉県 ジャガイモ 事業場 12人
平成24年9月 岩手県 ジャガイモ 学校 13人
平成23年2月 愛媛県 ゆでジャガイモ 学校 5人
平成22年2月 愛知県 ゆでジャガイモ 学校 11人
平成22年7月 愛知県 ジャガイモの塩ゆで 学校 22人
平成22年7月 東京都 ゆでシャガイモ 学校 9人
平成21年7月 奈良県 ジャガイモ 学校 35人


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2.ジャガイモの有害成分とは
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■ソラニン、チャコニンとは

ジャガイモの食中毒は、ジャガイモに含まれるソラニンやチャコニン等のアルカロイド(ステロイド系アルカロイド配糖体)と呼ばれる有害成分を多く食べることにより起こります。
ソラニン等は、ジャガイモの発芽部や緑色の皮の部分に多く含まれる物質で、古くから知られています。
通常、ジャガイモの芽の部分を除去したり、皮が緑色のジャガイモは食べないようにしたりして、安全を確保しています。
農家が生産し、お店で販売されているジャガイモの場合、食中毒を起こすほどの量のソラニン等が含まれていることは、まずありません。
しかし、自家栽培した未成熟で小さなジャガイモや、日光が当たり皮の部分が緑色になってしまったジャガイモの場合は、ソラニン等の含有量が多くなっている可能性が高く、注意が必要です。

■どんな症状がでる?

ソラニン等による食中毒の症状としては、おう吐、下痢、腹痛、めまい、動悸、耳鳴り、意識障害、けいれん、呼吸困難などが起こります。
ひどい場合は、死に至ることもあります。
症状は、早いときは数分後から出始め、遅いときは数日後に出ることもあります。

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3.どのぐらい食べると食中毒になる?
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■食中毒になる量は

体重が50kgのおとなの場合、ソラニンやチャコニンを50mg摂取すると、症状が出る可能性があります。また、150mg〜300mg摂取すると、死に至る可能性があります。
また、子どもの中毒量は、15.6mg〜40mgとされています。

■ジャガイモに含まれる量は

通常のジャガイモの可食部分には、100gあたり平均7.5mgのソラニンやチャコニンが含まれており、そのうち3〜8割は皮の周辺にあります。光にあたって緑色になったところは、100gあたり100mg以上のソラニンやチャコニンが含まれているといわれています。

■過去の食中毒事例では

2010年に東京都内の中学校で起きた食中毒事例では、ゆでたジャガイモを皮つきで食べたところ、1時間後に29名中9名で食中毒の症状が出ました。残ったジャガイモを分析したところ、100gあたり平均約40mgのソラニンやチャコニンが含まれていました。
また、2006年に東京都内の小学校で栽培したジャガイモを食べたことにより起きた食中毒事例では、残ったジャガイモのソラニン等の含有量の平均値は、ジャガイモ100gあたり71mgでした。
これらの事例で食中毒の原因となったジャガイモには、通常の5倍以上の濃度で、ソラニン等が含まれていました。子どもの場合、上記の2010年のジャガイモでは約40g、2006年のジャガイモでは約30g食べると、食中毒を起こす可能性があります。

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4.安全に食べるには
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■安全に食べるためのポイント

・芽が出ていたり緑色になったところがあるジャガイモは、買わない。
・ジャガイモは、暗くて涼しい場所に保管する。
・買ったジャガイモ、収穫したジャガイモは、長期間保存しないで、早めに食べる。
・ジャガイモに芽や緑色のところがあったら、皮を厚めにむいて取り除く。
・未熟な小型のイモを多量に食べない(特に皮ごと食べるのは避ける)。 

■学校菜園や家庭菜園で栽培する場合は

・ジャガイモ(いも部分)が地面から外に出ないよう、きちんと土寄せをする。
・十分に熟して大きくなったジャガイモを収穫する。
・収穫するときは、ジャガイモに傷を付けないようにする。
・収穫したジャガイモは、暗くて涼しい場所に保管し、日光にあてないようにする。(ジャガイモを乾かすために長時間太陽に当てないようにする。)
・収穫したジャガイモは、早めに食べる。

■ソラニン等は、加熱調理で減るの?

ソラニンやチャコニンは熱によって分解しないので、ジャガイモをゆでても、その量は減りません。
なお、揚げたり炒めたり焼いたりすると、ジャガイモに含まれる糖とアミノ酸の一部が反応して、アクリルアミドという物質が生成します。
アクリルアミドは、摂取量が多くなると、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。ジャガイモを冷蔵庫で保存すると、ジャガイモを炒めたり揚げたり焼いたりしたとき、アクリルアミドの生成量が増える可能性があるので、ジャガイモは冷蔵庫で保存せずに、暗くて涼しい場所に保存してください。

詳しくは下記をご覧ください。
・農林水産省:冷蔵保存したジャガイモ(知識があればこわくない!天然毒素)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/acrylamide.html?mode=preview別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会:加熱時に生じるアクリルアミドに関連する情報
http://www.fsc.go.jp/osirase/acrylamide1.html


≪参考≫
・食品安全委員会:「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A(IV-15  ジャガイモに含まれるソラニン)
http://www.fsc.go.jp/dial/dialqa20170608_4.html#a415
・農林水産省:知識があれば怖くない!天然毒素
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・農林水産省:食品中のソラニン、チャコニンに関する情報
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/solanine/別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省:自然毒のリスクプロファイル
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082078.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・東京都:こうしておこった食中毒【家庭編】(6)学校で栽培したジャガイモによる食中毒
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/foodborne_home/home_06/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・東京都:食品衛生の窓「じゃがいも いも知識」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzen_info/poteto.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
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