【読み物版】 [生活の中の食品安全 −調理とリスクマネジメント− その2 ◆Q&A◆]平成29年3月24日配信

今号のe-マガジン【読み物版】は、「調理とリスクマネジメント」についてのQ&Aをお送りします。

Q1  生の肉や魚を切った包丁で、そのまま生野菜や果物を切ってはいけないと聞きました。その都度洗うのは手間ですが、そうしなければ安全ではないですか?
Q2  食材を加熱しても食中毒になった場合があると聞きました。加熱調理をしても安全ではないのですか?
Q3  冷蔵庫で保存した食べ物でも食中毒になる場合があると聞きました。本当ですか?
Q4 家庭で保管しておいた食べ物にかびが生えてしまいました。かびの生えている部分だけ切り取って調理すれば大丈夫ですか?

 

Q1  生の肉や魚を切った包丁で、そのまま生野菜や果物を切ってはいけないと聞きました。その都度洗うのは手間ですが、そうしなければ安全ではないですか?
A1  牛肉の生食規制(※1)で問題になったように、牛肉には腸管出血性大腸菌やサルモネラなど、鶏肉や豚肉はサルモネラやカンピロバクターなどの食中毒を引き起こす細菌汚染のリスクがあります。豚の肉や内臓はE型肝炎ウイルスや寄生虫により肉の内部まで汚染されている可能性もあります。(※2)
また、魚にもさまざまな細菌のリスクがあります。安全に食べるためには、肉や魚を切った後には、二次汚染を招かないように必ず「手」・「まな板」・「包丁」の三つを洗う必要があります。特に生で食べる野菜を切るときには気をつけることです。

  ※1 平成23年10月から、食品衛生法に基づいて、生食用食肉の規格基準が設定された。また、平成24年7月から、食品衛生法に基づいて、牛のレバーを生食用として販売・提供することが禁止されている。
 ※2 平成27年6月12日から、食品衛生法に基づいて、豚の肉や内臓を生食用として販売・提供することは禁止されている。

 

Q2  食材を加熱しても食中毒になった場合があると聞きました。加熱調理をしても安全ではないのですか?
A2  実は、食品そのものの温度は、加熱温度と同じではありません。ポンイトは「中心温度」がどうかという点にあります。加熱調理であっても、熱は食品の周辺から中心に向かい、中心まで熱が伝わるのに時間がかかります。

例えば、ハンバーグステーキでは厚さ1cm程度のものは中心の温度が75℃になるのに約8分程度かかります。特に炒めものは、120〜200℃という高温ですが、短時間で食品を動かしながら加熱するため、肉や魚を野菜と一緒に炒めると、肉や魚の温度が上がらないこともあります。他の材料とは別に、最初に肉や魚をよく炒めておくか、別に炒めるなど確実にリスクを減少したいものです。なお、塊肉を使う牛のステーキなどの場合では、食中毒微生物は主に肉の表面に存在するとされているため、中心部がレアでも、表面の加熱でリスクは減少すると考えられます。

 

Q3  冷蔵庫で保存した食べ物でも食中毒になる場合があると聞きました。本当ですか?
A3  調理したものには、水分、栄養素が十分に含まれ、食中毒微生物にとっては適温(30〜40℃)であり、増殖する条件がそろいます。調理した食品を、なるべく低温で保存するのはこれらの増殖を防ぐためです。

しかし、注意を要することは、低温で保存することが微生物を死滅する条件ではないことです。冷蔵庫から出し入れを繰り返すと微生物は増殖していきます。

また、冷凍でも食中毒微生物は死滅しません。低温保存を過信して、油断せず、食べ物によっては再度の加熱などをおすすめします。

 

Q4 家庭で保管しておいた食べ物にかびが生えてしまいました。かびの生えている部分だけ切り取って調理すれば大丈夫ですか?
A4  かびが作るかび毒は、洗ったり加熱したりしても、毒性がほとんど低下しません。

また、かびが見えている部分を取り除いても、かび毒が残っているおそれがあります。食べない方がよいでしょう。

≪参考≫
・食品安全委員会;食品のリスクマネジメント@キッチン
https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20150612ik1


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