【読み物版】 食の安全ダイヤルQ&A その2  平成27年10月30日配信

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 内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】

[食の安全ダイヤルQ&A その2]平成27年10月30日配信
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前回(10月23日配信)のe-マガジン【読み物版】では、「食の安全ダイヤル」をご紹介するとともに、「食の安全ダイヤル」にこれまでに寄せられたご質問から皆様の関心が高いと思われるものについて、Q&A形式でご紹介しました。今号も同様に、大豆イソフラボン、メチル水銀、アクリルアミド、ビタミンAについてのQ&Aをお送りします。

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「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問(続)
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Q8  大豆イソフラボンについて教えてください。
Q9  大豆イソフラボンを含む特定保健用食品を利用する際、注意すべきことを教えてください。
Q10  魚に含まれるメチル水銀について、妊婦さんには影響があると聞きました。妊婦以外の人たちには健康への影響はないのでしょうか。
Q11  じゃがいもの調理品に、アクリルアミドという発がん物質が含まれていると聞きました。アクリルアミドについて教えてください。
Q12  妊娠中はビタミンA を過剰摂取しないようにと言われますが、どのように注意すれば良いのでしょうか。

【大豆イソフラボンについて】
Q8  大豆イソフラボンについて教えてください。
A8  大豆には、たん白質、炭水化物、脂質のほか、食物繊維、ミネラル、ビタミンなどが主要な成分として含まれています。大豆イソフラボンは、大豆に含まれる微量成分の一つですが、ヒトの体に必須の栄養素とはされていません。
大豆イソフラボンは化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)と似ているため、生体内でエストロゲンの受容体と結合し、いくつかの作用を発揮することが知られています。その作用は、有用な影響をもたらす可能性もありますが、有害な影響をもたらす可能性もあります。例えば、骨粗しょう症、乳がん、前立腺がんなどの予防効果が期待される一方で、乳がん発症や再発などのリスクを高める可能性も報告されています。
なお、大豆イソフラボンは、食品中では主に糖が結合した構造(配糖体)で存在します。大豆イソフラボン配糖体は、人の体内で、腸内細菌の作用などにより糖の部分が分離して、大豆イソフラボンアグリコン(非配糖体)となり、腸管から吸収されます。

Q9  大豆イソフラボンを含む特定保健用食品を利用する際、注意すべきことを教えてください。
A9  食品安全委員会では、大豆イソフラボンを関与成分(主に有効と考えられる成分)とする特定保健用食品について、厚生労働省からの評価要請を受け、2006年(平成18年)にリスク評価(食品健康影響評価)を終えています。
この中で、日常の食事で大豆食品を摂取していることを前提として、それに加えて特定保健用食品として、大豆イソフラボンを長期・継続的に上乗せして摂取する場合の安全性を評価し、特定保健用食品としての大豆イソフラボンの一日の上乗せ摂取量の上限値を、30mgと設定しました。
また、特定保健用食品としての摂取量を含めた大豆イソフラボンの一日摂取目安量の上限を、70〜75mg/日と設定しました。
ただし、妊婦及び胎児、乳幼児、小児については、科学的に十分なデータがないことなどから、大豆イソフラボンを特定保健用食品として日常的な食生活に上乗せして摂取することは推奨できないとしました。フランスでも、これらの人たちの摂取を制限しています。
食品安全委員会の大豆イソフラボンに関する評価結果は、私たちが長く食べてきた豆腐や納豆などの大豆食品の安全性を問題としたものではなく、あくまでも、濃縮・強化した大豆イソフラボンを含む特定保健用食品を、日常の食生活に長期・継続的に上乗せして摂取する場合の安全性を評価したものです。
なお、特定保健用食品だけでなく、いわゆる健康食品や豆乳は、豆腐や納豆と比べて簡単に過剰摂取しがちなので、摂取に当たっては十分な注意が必要であるとともに、妊婦や妊娠の可能性のある方にはおすすめできません。食品安全委員会で安全性の評価を行っていませんが、特定保健用食品と同様に、過剰な摂取とならないよう注意が必要です。

・食品安全委員会:「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc_isoflavone180309_4.pdf
・食品安全委員会:「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品(3品目)の食品健康影響評価のポイント」
http://www.fsc.go.jp/hyouka/isoflavone/hy_isoflavone_hyouka_point.pdf
・食品安全委員会:「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」
https://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html
・厚生労働省:「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&Aについて」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0202-1.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

【魚介類中のメチル水銀について】
Q10  魚に含まれるメチル水銀について、妊婦さんには影響があると聞きました。妊婦以外の人たちには健康への影響はないのでしょうか。
A10  水銀は自然界に普遍的に存在する重金属ですが、特にメチル水銀などの有機水銀は、中枢神経に障害を起こすことが知られています。妊娠中の母親の血液中のメチル水銀は、胎盤を通過して胎児に移行します。また、胎児期は脳などの中枢神経系の成長が最も速く、メチル水銀による影響を受けやすい時期と考えられます。
食品安全委員会は、2005年8月にメチル水銀の評価結果をまとめ、胎児をハイリスクグループとし、妊娠している方もしくは妊娠している可能性がある方を対象に、メチル水銀の耐容週間摂取量を、体重1kg当たり、水銀に換算して2.0μg(マイクログラム:1μg=百万分の1g)と評価しました。
この評価結果を受け、厚生労働省は、妊婦に向けて魚介類の摂食についての注意喚起を行いました。乳児については、母乳中のメチル水銀が低濃度であること、小児については成人と同様にメチル水銀を体内から排出できることから、平均的な食生活をしている限り心配は要りません。男性や妊娠していない女性についても同様です。
魚介類は、良質なたんぱく質、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、カルシウムなどを豊富に含み、健康的な食生活を営む上で重要な食材です。一方で、概して、大型の肉食性の魚類やクジラ類は、比較的高濃度のメチル水銀を含んでいます。そこで、キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロなどは、1回に食べる量を80gとし、1週間に1回までを目安とする等、妊婦が注意すべき魚の種類と摂取量の目安を示しています。一般に、魚食のメリットを活かしつつ、バランスの良い食生活を送ることが必要です。

・食品安全委員会:「実は食べている? 〜自然界のメチル水銀」
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20131127ik1
・厚生労働省「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/100601-1.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

【アクリルアミドについて】
Q11  じゃがいもの調理品に、アクリルアミドという発がん物質が含まれていると聞きました。アクリルアミドについて教えてください。
A11  アクリルアミドは、炭水化物を多く含む食材を高温で焼いたり揚げたりする際に、食品中に含まれるアスパラギン(アミノ酸の一種)と還元糖(ブドウ糖・果糖など)が化学反応を起こすことにより生成されます。アクリルアミドは、動物実験の結果から、国際がん研究機関(IARC)では、「ヒトに対しておそらく発がん性がある物質」に分類しています。
現在、食品安全委員会では、加熱時に生じるアクリルアミドのリスク評価(食品健康影響評価)を進めている最中です。
炭水化物を多く含む食材については、必要以上に長時間・高温で加熱せず、揚げ物などの過剰な摂取を控え、様々な食品を偏りなく食べることが大切です。揚げ物を毎日食べれば、油分の摂取過多も問題となります。
なお、一部の食品関連事業者は、アクリルアミドの低減対策を積極的に進めています。

・食品安全委員会:ファクトシート「加工食品中のアクリルアミド」
http://www.fsc.go.jp/sonota/acrylamide-food170620.pdf
・食品安全委員会:「アクリルアミドに関するファクトシートの概要について」
http://www.fsc.go.jp/sonota/14gou_3.pdf
・農林水産省:「食品に含まれているアクリルアミド」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_kiso/syokuhin.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

【妊娠中のビタミンAの摂取について】
Q12  妊娠中はビタミンA を過剰摂取しないようにと言われますが、どのように注意すれば良いのでしょうか。
A12  ビタミンAは、「過剰な」摂取に注意が必要です。特に、妊娠中の過剰摂取は、胎児に奇形を起こす可能性が高まります。
通常の食生活ではビタミンが不足することはありません。サプリメントとしてビタミンAを摂ることや、妊娠中は、ビタミンAを多く含むレバーのような食品を過剰に摂ることは避けましょう。
また、妊娠中の栄養摂取について心配なことがあれば、かかりつけの医療機関の医師や栄養士などにご相談下さい。
なお、喫煙者などが、体内でビタミンAに変換するβ-カロテンのサプリメントを摂取することにより、肺がん発生リスクがかえって高まるといった研究報告がありますので、留意が必要です。

・食品安全委員会:「ビタミンAの過剰摂取による影響」
https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-vitamin-a.pdf
・独立行政法人国立健康栄養研究所「妊娠中の食事とサプリメントについて」
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail1550.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

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「食の安全ダイヤル」について
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「食の安全ダイヤル」:(電話番号) 03-6234-1177
■受付時間:月曜〜金曜の10:00〜17:00 (祝祭日・年末年始を除く)
・電子メールでも受け付けています
https://form.cao.go.jp/shokuhin/opinion-0001.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

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他省庁等の参考になる情報
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食品安全委員会の「食の安全ダイヤル」では、委員会が行ったリスク評価の内容を始め、食の安全全般についてお答えしていますが、表示や輸入食品の検査体制についてなどのお問い合わせについては、リスク管理機関である厚生労働省や農林水産省の相談窓口などをご紹介することもあります。
他省庁等にも、食の安全に関する情報や相談窓口がありますので、以下のリンク先も必要に応じてご参照下さい。
・厚生労働省「食品の安全性確保を通じた国民の健康のために」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省QA「食品の安全に関するQ&A」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/qa/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・農林水産省「消費者の部屋」
http://www.maff.go.jp/j/heya/別ウインドウで開きます(外部サイト)
・農林水産省「消費者の部屋」消費者相談
http://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・独立行政法人 国民生活センター(商品テスト・回収情報、消費生活相談窓口)
http://www.kokusen.go.jp/別ウインドウで開きます(外部サイト)
・国立医薬品食品衛生研究所「食品の安全性に関する情報」
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・独立行政法人 国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報
https://hfnet.nih.go.jp/別ウインドウで開きます(外部サイト)
・独立行政法人 農林水産消費安全技術センター(JAS規格、食品表示、肥料・土壌改良資材等に関するご相談・お問い合わせ)
http://www.famic.go.jp/docs/reference/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

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