【読み物版】 毒キノコによる食中毒 その1 平成27年9月15日配信

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 内閣府食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
 [毒キノコによる食中毒についてその1] 平成27年9月15日配信 
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 今月のe-マガジン【読み物版】は、毒キノコについてお送りします。
 実りの秋を迎え、キノコを食べる機会も多くなっています。また、実際に山野でキノコを採取することもあるでしょう。今号では注意が必要な毒キノコについての情報をお届けし、次号ではQ&Aを予定しています。
 

【キノコによる食中毒の発生状況】
 秋の行楽シーズンを迎えています。この時期は野生キノコの本格的な発生時期でもあります。そして、毒キノコによる食中毒は、ほぼ9割が毎年9月から11月に集中しています。秋の行楽で山に出かけ、毒キノコと知らずに採取して食べてしまい、家族そろって入院してしまう事件が、毎年、何件も起きています。
 

キノコによる食中毒は、最近では2010年が91件と多く、昨年(2014年)は24件でした。ただ、キノコの生育は気象条件に左右され、キノコが豊作の年は毒キノコの発生も多く、食中毒も多発する傾向にあります。2010年は、キノコの当たり年(豊作年)だったのです。
 

食中毒の発生場所はほとんどが家庭であり、食用キノコと外見がよく似た毒キノコを間違って採って食べてしまったことが主な原因と考えられます。キノコの種類は、シイタケやヒラタケとよく似た形状のツキヨタケによるものが最も多く、過去10年間(2004年〜2013年)では、4割近くを占めています。昨年は、24件の中で17件がツキヨタケによるものでした。
 
ツキヨタケは、食べた後、30分から3時間で、おう吐、腹痛、下痢などの典型的な胃腸系の症状が起きます。ほかにも、様々な毒キノコがあります。食べられるキノコであると確実に判断できないキノコは、採取したり食べたりしないようにしてください。
 

【キノコは菌類】
 キノコは、倒木や切り株などによく発生していることから、木の子どものようだということでキノコ(「木の子」)と呼ぶようになったと言われています。生物学的には植物ですが、自分で光合成によってエネルギーを生産できない従属栄養植物に分類される「菌類」であり、胞子で繁殖します。樹木や落ち葉などを栄養源とし、菌糸を張りめぐらします。菌糸が集まった「子実体(しじつたい)」がキノコです。
 

【キノコ毒の作用と中毒症状について】
 キノコ毒の作用と中毒症状は三つに分類されます。
 

一番目は、消化器系に作用し、吐き気、おう吐、下痢などの症状を起こすものです。ツキヨタケ等で起こります。
 これらに含まれる有毒成分には、加熱や塩蔵(塩漬け)によっても分解しないものがあります。小児や老人は、少量でも症状が重くなることがあり、注意が必要です。ツキヨタケの毒性は、我が国では古くから知られており、平安時代末期の今昔(こんじゃく)物語集には、ワタリ(ツキヨタケ)の汁ものを毒殺に用いるお坊さんの話が出てきます(巻第二十八)。
 

二番目は、神経系に作用し、幻視、幻聴、知覚麻痺、激しい頭痛、めまいなどを起こすものです。テングタケ、シビレタケ、オオワライタケ、 ドクササコ、ホテイシメジ、ヒトヨタケ等で起こります。重症になると、呼吸困難、精神錯乱、意識不明や、激痛が1カ月以上も続く場合があります。食べてから、10分で発症することもあります。これらの中には、アルデヒド(二日酔いの原因物質です。)の分解を遅らせる物質のもととなる「コプリン」を含むものがあり、これらのキノコを食べる前後にアルコールを飲むと、二日酔いの症状が強く出ますので、注意が必要です。ツキヨタケに次いで食中毒が多いクサウラベニタケは、一番目と二番目の両方の中毒症状を引き起こします。
 

三番目は、様々な臓器や細胞に作用し、腹痛、おう吐、下痢から始まり、肝不全、腎不全、循環器不全の併発といった全身症状を呈して、死に至る場合もある、致死率が高いものです。カエンタケ、ニセクロハツ、ドクツルタケ等で起こります。食べてから発症までの時間は10分〜10時間以上と幅があります。過去10年間のキノコの食中毒による死亡者9人のうち、4人がニセクロハツによるもので、2人がドクツルタケによるものでした。

この他、かつて食用キノコと考えられていたスギヒラタケは、腎機能障害を持つ人が食べると急性脳症を起こし、死に至ることがあることが2004年に分かりました。腎臓の機能が低下していない人でも発症する場合があるため、スギヒラタケは食べないようにしてください。
 

【難しい毒キノコの見分け方、そして根拠のない言い伝え】
 食中毒を起こす毒キノコは、食用のキノコと外見がよく似ており、見分けるのはとても難しいです。図鑑の図や写真は、その種のキノコの「例示」であり、参考と考えましょう。一般の方が、図鑑などから、毒キノコかどうかを見分けることは、避けるべきです。
 また、「地味な色なら食べられる」、「柄が縦に割けるものは食べられる」、「虫が食っているものなら大丈夫」、「傘の裏がスポンジ状のものには毒はない」、といったいろいろな言い伝えがありますが、これらは「迷信」です。調理や取り合わせによって毒消しができるという言い伝えにも根拠はありません。
 

【もしキノコを食べて体調に異常を感じたら】
 野生のキノコやキノコ料理を食べて体調に異常を感じたら、直ちに医療機関を受診し、食べたキノコの種類、量、食べてからの時間、症状を医師に伝えてください。食べたキノコが残っている場合は一緒に持っていって下さい。
 

【参照】
 食品安全委員会「食中毒予防のポイント 毒キノコによる食中毒にご注意ください」
 http://www.fsc.go.jp/sonota/kinoko_tyudoku.html 
 スギヒラタケのハザード概要シート
 http://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/kinoko_13.pdf
 クサウラベニタケの概要について
 http://www.fsc.go.jp/sonota/haz_kusaura.pdf
 ツキヨタケの概要について
 http://www.fsc.go.jp/sonota/haz_tukiyo.pdf
 厚生労働省「毒キノコに注意しましょう」
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kinoko/別ウインドウで開きます(外部サイト)
 厚生労働省食中毒統計資料
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
 林野庁「きのこ」のはなし
 http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/kinoko/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

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