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【読み物版】[食べたものの行方 その2] 平成27年4月24日配信(2015.04.24)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[食べたものの行方 その2] 平成27年4月24日配信(2015.04.24)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[食べたものの行方 その2]
平成27年4月24日配信  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

前回(4月13日配信)のe-マガジン【読み物版】では、私たちの食べたものがからだの中でどのよう
に処理されているのかなどについて情報をお届けしました。
今号では、からだの代謝機能に関するQ&Aと、食品安全委員会 山添委員の随想をお送りします。

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1.からだの代謝機能に関するQ&A
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Q1 私たちが食べたものは、からだの中でどのように処理されているのですか?
A1 私たちが食べたものは、胃や腸などの消化器官で分解されて、主に小腸で吸収され、摂り込ん
だ栄養は、専用のシステムでエネルギーを取り出したり、からだに必要な物質に生まれ変わります。
人のからだにとって必要でない異物は、水溶性の物質はそのまま排出され、油に溶けやすい物質は、
肝臓の酵素群によって分解され、便や尿として排出されます。

Q2 異物を処理する能力に個人差はあるのですか?
A2 顔つきが個人によって違うように、人によって、一つ一つの酵素の働きは数十倍の違いがあり
ます。しかし、ある物質の処理は一つの酵素ではなくいくつもの酵素がそれぞれに行っているので、
全体としては、ほとんどが10倍以内に収まります。また、状態によって処理能力が変化する場合が
あります。例えばアルコールを摂取すると、その処理能力がある程度、向上することが知られています。
(ただし、飲みすぎに注意しましょう。)

Q3 グレープフルーツジュースと一緒に飲むと相性の良くない薬があるのですか?
A3 グレープフルーツに含まれるある成分は、フェロジピン(高血圧を下げるなどの目的で使用され
る)などを分解する酵素にくっついてその働きを阻害してしまい、その結果、多くの薬成分が摂り込ま
れて血圧が下がりすぎる場合があります。個人によって程度に差があるのですが、薬によっては一緒
に食べてはいけない食品があります。(薬剤師からの説明や注意書きがあります。)

※食品を科学する−リスクアナリシス(分析)連続講座
からだの外に出ていくもの〜食べたものの行方〜
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20141204ik1


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2.「異物と解毒」(食品安全委員会委員 山添委員) 
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物質の代謝(体内での分解)や動態(体内での動き)を研究する領域では、栄養素等の生体活動に必要な
物質と区別するため、くすりや合成化学物質などを“異物”と呼んでいます。この言葉は内因性物質
を意味するEndobioticに対して1965年にXenobioticが用いられたことに由来しています。Xeno-は
ギリシャ語でforeign(異)あるいはstranger(奇異)を意味し、これと生物作用を意味するbioticが
結合してできた言葉です。現在、Xenobiotics(異物)を生体内で作用する外来性物質の総称として用
いています。
食事とともに消化管で吸収された異物は、門脈(腸管と肝臓を結ぶ血管)で肝臓に運ばれ、ここで薬物
代謝酵素系と呼ぶ酵素群によって分解されます。つまり肝臓は、生体に取って不要な物質が全身を巡
る血流に入らないように処理しています。肝臓には胆管がつながっており、余分のコレステロール、
リン脂質や胆汁酸とともに、異物は胆汁を介して腸管に排泄されます。胆管に送り込むには水溶性の
代謝物に変換されている必要があるので、肝臓の薬物代謝酵素系は異物を酸化そして糖、硫酸あるい
はグルタチオン抱合によって水溶性の物質に変えています。ステロイドの生合成のような生体の必須
機能に関わる酵素反応と違って、肝臓で異物の代謝作業を担当する酵素系は器用で、別の言い方では
いいかげんで、構造の違う物質を処理することができます。また多くの作業に複数のメンバーからな
るチーム(酵素分子種群)として当ります。このような肝臓のシステムのおかげで、様々な食事をして
も、私達はその中に含まれる異物を体内の貯蔵することなく処理しています。
たくさんのお酒を飲んでも、余分に肝臓が笑ってくれることはありません。毎日こんなに一所懸命に
働いている肝臓を大事にいたわってあげてください。


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