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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[大豆イソフラボン その2] (2014.3.27)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[大豆イソフラボン その2] (2014.3.27)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[大豆イソフラボン その2]
平成26年3月27日配信 
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前回(3月20日配信)のe-マガジン【読み物版】では、大豆イソフラボンに関する基本的な情報をお
届けしました。
今号では、大豆イソフラボンに関するQ&Aと、食品安全委員会新開発食品専門調査会座長の随想を
お送りします。

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1.大豆イソフラボンに関するQ&A
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Q1 大豆イソフラボンは健康によいのですか?
A1 大豆イソフラボンは骨粗しょう症や乳がん、前立腺がんなどの予防効果が期待される一方、乳が
んの発症や再発などのリスクを高める可能性も考えられ、今も多くの研究が行われている段階にあり
ます。
また、大豆イソフラボンだけを濃縮・強化した食品の場合、豆腐や納豆などの伝統的な大豆食品とは
異なり、長い食経験があるとはいえません。

健康のためには、特定の成分だけを摂取するよりも、バランスのよい食事をとることが重要です。大
豆イソフラボンのみをサプリメントとして摂取するよりも、大豆食品を摂取したほうがより理想的な
食生活に近づくといえます。

食品安全委員会のリスク評価では、特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂
取量の上限値を30mg/日としています。特定保健用食品以外の個別の健康食品についても、この上限
値を参考に、過剰摂取とならないようご注意ください。


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Q2 大豆食品は控えたほうがよいのですか?
A2 食品安全委員会では、大豆イソフラボンを含む特定保健用食品のリスク評価を行いましたが、こ
れまで日本人が長年にわたり摂取してきた大豆食品については、特に安全性の問題が提起されたこと
はありません。

食品安全委員会では、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値を1日当たり70~75mg/日
としていますが、大豆食品からの摂取量がこの上限値を超えることは、あまり考えられませんが、万
が一超えても、ただちに健康被害に結びつくというものではありません。

大豆食品は健康的な食物です。上手に食事にとりいれて、バランスのよい食生活を心がけましょう。


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Q3 大豆イソフラボンはどんな食品にどれだけ入っていますか?
A3 主要な大豆食品中の大豆イソフラボン含有量は、調査研究の結果、次のとおりとなっています。
豆腐半丁(150~200g) 約31~41mg
油揚げ1枚(20~40g) 約8~16mg
納豆1パック(40~50g)約30~37mg
みそ大さじ1杯(18g)約9mg
豆乳(200ml) 約52mg (※豆乳には、イソフラボンを強化したものもあります)
(厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに関する調査研究(1998)のデータ
より試算した参考値)。
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Q4 妊婦の方や子どもは大豆イソフラボンを強化した食品をとらないほうがいいですか?
A4 食品安全委員会では、妊婦の方(胎児)、乳幼児、小児については、大豆イソフラボンを特定保健
用食品として、日常生活に上乗せして摂取することは推奨していません。

子どもについてはどのくらいの大豆イソフラボンの摂取であれば心配がないのか、妊婦についてはど
のくらいの大豆イソフラボンの摂取であれば胎児に影響がないのか、現時点では科学的に判断できま
せん。

そのため、子どもや妊婦が、日常の食生活で食べている「伝統的な大豆食品」に加えて、特定保健用
食品などにより、日常的な食生活に上乗せして大豆イソフラボンを摂取することは、推奨されていま
せん。

豆腐、納豆、煮豆、みそなどの「伝統的な大豆食品」については、大人と同様に、日常の食生活の中
で他の食品とともにバランスよく食べることに気をつければ、心配する必要はありません。

なお、乳幼児及び小児については、15歳未満の方が該当します。

また、フランスは健康に影響を及ぼさない量として、イソフラボンアグリコン1mg/kg体重/日が示
されており、3才以下の子供、妊婦等には勧められないとしていますので参考までにお知らせいたし
ます。

食品安全委員会ホームページ 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
http://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html
大豆イソフラボンを含む特定保健用食品(3品目)の食品健康影響評価のポイント
http://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html


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2.「特定保健用食品の安全性評価の難しさ」(新開発食品専門調査会座長 清水 誠)
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物理学の世界にハイゼンベルクの不確定性原理というのがある。正確ではないが「何かを精密に測定
しようとすると、測定するという行為自体が必ず結果に何らかの影響を及ぼすので、正確な解を得る
ことは本質的に不可能だ」というようなことだったと思う。

私の所属する新開発食品専門調査会は、特定保健用食品のような健康増進機能を持つ食品の安全性を
評価する場であるが、ここで作業していると、この不確定性原理のことを思い出すことがある。ヒト
試験では、プラセボ食品を摂取させる対照群でも指標値が変化してくるということが起こる。試験に
参加するというだけで、被験者の気分や生活パターンが微妙に変化してしまうのであろう。
重金属や農薬などと違って、現実にはほとんど健康に影響を及ぼすことがないと推定される食品由来
成分でも、安全性を評価するために過剰量を摂取させると、そのもの自体の毒性ではなくただ「過剰
である」というだけで生体が何らかの応答をして異常値が出るということがある。そんな中での食品
の健康影響評価は難しい。

食品研究者としての私は「母乳成分を除くすべての食品成分は、極論すれば我々にとって環境異物で
あり、食品成分と生体の間には必ず何らかの相互作用が生じる」と考えている。
その結果、食べることは必然的に様々な生体応答を引き起こす。そのような日常的な変動幅の中で、
弱い有害因子を評価しなければならないのはかなりつらいなあ、と思う毎日である。

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