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【読み物版】[食肉の生食 その2] 平成27年6月26日配信(2015.06.26)


食品安全委員会e-マガジン読み物版】[食肉の生食 その2] 平成27年6月26日配信(2015.06.26)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[食肉の生食 その2]
平成27年6月26日配信
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前回(6月18日配信)のe-マガジン【読み物版】では、豚肉の生食のリスクなどについてご紹介しました。
今号では、食肉の生食のリスクに関するQ&A及び微生物・ウイルス専門調査会座長の随想をお送り
します。

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1.食肉の生食のリスクに関するQ&A
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Q1 なぜ、豚肉や豚レバーを生で食べてはいけないのですか?
A1 豚の食肉(内臓を含む。以下「豚肉」といいます。)には、E型肝炎ウイルス、細菌(サルモネラ
属菌、カンピロバクター)、寄生虫(トキソプラズマ、旋毛虫、有鉤条虫)といった多くの危害要因が
内部まで存在するものと推定されます。これらは十分な加熱によってはじめて死滅したり不活化した
りしますので、豚肉は、内部まで十分に加熱することが必要です。また、生の豚肉が他の食品や調理
器具などに触れて交差汚染が起こらないように、注意が必要です。

※厚生労働省は、食品衛生法の新たな規格基準を公表し、2015年6月12日から、豚の生肉や生レバー
を飲食店などで提供することが禁止されました。

Q2 牛肉は生で食べても大丈夫なのでしょうか?
A2 牛肉(内臓を除く。)については、食品安全委員会の評価を踏まえ、厚生労働省が生食用食肉(ユ
ッケ)の規格基準を定めて、牛肉の表面の適切な加熱処理(肉塊の表面から1cm以上の深さを60℃で2
分間以上加熱等)などを指導しており、食中毒のリスクを十分に低減していますが、小さなお子さんや
お年寄りは、食中毒により死亡したり重い症状になったりすることがあるので、周りの方も含めて注
意することが必要です。なお、牛レバー(内臓)については、食品衛生法で、生食用としての販売・提
供が禁止されています。牛レバーについては、牛肉(内臓を除く。)とは異なり、内部から食中毒菌で
ある腸管出血性大腸菌が検出されていることから、安全に生で食べるための方法がないからです。
牛レバーは十分加熱して食べましょう。

Q3 猪肉や鹿肉などのジビエを、生で食べることは危険なのでしょうか?
A3 猪、鹿などの野生鳥獣の食肉(ジビエ)についても、E型肝炎ウイルス、細菌、寄生虫などの危
害要因が存在し、豚以上に、生食のリスクが高いと推定されますので、内部まで十分な加熱が必要で
す。

Q4 鶏肉や馬肉の生食は良いのでしょうか?
A4 鶏肉の生食に関しては、カンピロバクターなどの細菌が危害要因として存在するため、食品安
全委員会では表面を加熱して食べるよう注意喚起しています。また、馬肉には、サルコシスティス・
フェアリー(寄生虫)という危害要因が存在しますが、適切に凍結処理をすることで感染性が失われる
ので、厚生労働省が流通段階での凍結処理を指導しています。

(参考)・豚の食肉の生食に係る食品健康影響評価
http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20140910231
・食品安全委員会季刊誌「食品安全」第42号p2
http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/42gou/42gou_2.pdf
・厚生労働省ホームページ(食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について)http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/150602hp_1.pdf

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2. 「専門調査会委員の随想」(微生物・ウイルス専門調査会座長 岡部信彦) 
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 私が子供の頃、梅雨から夏にかけては食中毒到来のシーズンで「生ものは避けるように、食べ物を
いつまでもとっておかないように、カビが生えているものは避けるように」などの注意書きをあちこ
ちで目にしたものです。その頃、食べ物の安全性を確認するのは「よく見る、臭いをかぐ、場合によ
ってはちょっとなめてみる」ことで、なんといっても人の感覚の鋭さが武器でした。私の父は小児科
医でしたが、子どもの私は、父と一緒に食べ物を嗅いだりちょっとなめたりして食べても大丈夫かど
うかをよく試されました。野菜も基本的には火を通したものや漬物など、肉類は赤みを避け、駄菓子
屋のアイスキャンデイーなどはご法度でした。そのくせ父の大好物は刺身で、魚屋と寿司屋は大の仲
良し、などということもありました。
 今は食材の保存方法が進み、またその安全性も消費者にわたるまで何重ものチェックが置かれるよ
うになりましたが、一方食材として店に並んだものあるいは食べ物として提供されたものは大丈夫と
いう安心感が行き過ぎ、人の感覚による安全性の確認という本来生きていくために必要な力は惨めな
まで低下しているように感じます。「旨いもの」というだけで時には死に至る危険があるということ
を知らずに食べる消費者が増加するのであれば止むを得ず規制するということになったものが、最近
のユッケ(牛生肉)や牛レバーの禁止で、これをかいくぐるようにして出てきた豚レバーや豚生肉への
嗜好のシフト、そしてその結果が今回の豚の生肉内蔵の提供の禁止です。
 死に至るあるいは重症になることがある食べ方や食べ物は今後も規制の対象になる可能性がありま
すが、比較的軽症で済むものについては、消費者の感覚の向上、そして「自身の責任での食べ方
(0wn responsibility)」の考えも必要ではないでしょうか。もちろんそのためのリスクに関する情報
の提供は、ますます重要になると思います。


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