「新たな時代に対応した評価技術の検討 -化学物質の毒性評価のための(Q)SAR及びRead acrossの利用- 」の取りまとめについて

平成29年7月26日
内閣府食品安全委員会事務局

 

「新たな時代に対応した評価技術の検討 -化学物質の毒性評価のための(Q)SAR及びRead acrossの利用- 」の取りまとめについて

 

  食品安全委員会は、2003年の設立以来、食品分野の化学物質、食中毒原因微生物等について、国際的に合意されたリスクアナリシスの考え方に基づき、人の健康に与える影響を科学的に評価してきました。

  評価対象物質が多様化し、毒性試験をめぐる社会的情勢が変化している中で、より科学的に妥当性の高い食品健康影響評価を行うためには、これまでに活用した評価方法に加えて新しい評価方法についても活用していく必要性が生じています。

  食品安全委員会は、今後の積極的な活用が見込まれる評価方法について現状と課題を整理し、今後の取組の方向性について提言するため、平成28年4月、評価技術企画ワーキンググループを立ち上げました。今般、同ワーキンググループにおいて、コンピュータ上での化学物質の毒性評価方法である(Q)SAR及びRead acrossについて検討し、議論の経過を取りまとめました。
 
   (Q)SAR及びRead acrossは、化学物質の構造などを参考にその物質の毒性等を推定する方法で、活用には毒性試験データを収載した毒性データベースとソフトウェア(評価支援ツール)が必要です。専門家がデータベースの情報や評価支援ツールの出力結果等を参考にすることにより、毒性の判断の精度が向上し、ひいては評価結果の頑健性が一層増すことが期待できます。特に、食品に含まれる微量の化学物質のうち、毒性試験データが乏しい物質の毒性評価等において、今後積極的に活用する意義は大きいと考えます。

  ワーキンググループによる取りまとめでは、(Q)SAR及びRead acrossの試験的な使用を通じて、具体的な活用方法を検討すること等を提言しています。

  食品安全委員会は、ワーキンググループからの提言を受け、これらの取組を実施し、その結果を十分に検証した上で、食品健康影響評価における専門家判断を支援する方法としての活用を検討していきます。

 

【資料】
【参考】

(Q)SARとは
  本報告書では、構造活性相関(Structure-Activity Relationship, SAR)及び定量的構造活性相関(Quantitative Structure-Activity Relationship, QSAR)のことを指す。化学物質の構造に基づく情報と、その生物学的な活性との間に成り立つ関係のことであり、定性的な関係の場合はSAR、定量的な関係の場合はQSARという。これにより構造的に類似した化合物の作用や毒性について推定する。

Read acrossとは
  評価対象物質(ターゲット物質)の毒性エンドポイントを、グループ化した類似の化学物質(ソース物質)の毒性エンドポイント情報から推定する方法。

 

 

【本件連絡先】
  内閣府食品安全委員会事務局
  評価第一課評価技術企画室
  橘、井上、山原
  電話:03-6234-1084、1225、1219