当委員会は、JECFAと同様に、フェロー諸島とセイシェル共和国における研究を基に評価していますが、安全を見越した毛髪水銀濃度と判断した数値及び
不確実係数の取り方の違いによって、JECFAとは異なる耐容週間摂取量を設定しています。
不確実係数については、通常、動物実験データを用いて人への毒性を推定する場合、動物と人との種差として「10倍」、さらに人と人との個体差として「10倍」、全体として「10×10=100」を用いる場合が多いのですが、今回の評価では、使用するデータが動物実験ではなく、人のデータであることなどから、以下の通りとしています。
毛髪水銀濃度と血中水銀濃度の比について、調査データの変動幅から、その幅を2とし(JECFAと同じ)、またメチル水銀が排泄される時の代謝の変動データから、その変動幅を2(JECFAは3.2)としました。その結果、不確実係数は、4を採用しています。
これは、JECFAが耐容週間摂取量の評価を行った際、不確実係数の数値を小さくする余地が残っていると指摘していることを考慮して検討を行ったものです。
以上の点から、JECFAの耐容週間摂取量(1.6μg/kg体重/週)とは異なる数値として2.0μg/kg体重/週を算出しました。