【読み物版】生活の中の食品安全 -ノロウイルスによる食中毒について- その2 2019年11月29日配信

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
[生活の中の食品安全 −ノロウイルスによる食中毒について− その2]
2019年11月29日 配信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今号のe-マガジン【読み物版】は、前号に引き続き、ノロウイルスによる食中毒についてです。
前号では、ウイルスの特徴、食中毒の発生状況や予防策などをお伝えしました。今号では、さまざまな取組を行っているにも関わらず依然として減少しないノロウイルス食中毒への対策について、食品安全委員会によるリスクプロファイルの中から、現状の問題点と今後の課題をご紹介します。

※リスクプロファイル(2018年11月)も併せてご覧ください。
http://www.fsc.go.jp/risk_profile/index.data/181120NorovirusRiskprofile.pdf[PDF]PDFファイルを別ウインドウで開きます
http://www.fsc.go.jp/risk_profile/index.data/181120NorovirusRiskprofile_betten.pdf[PDF]PDFファイルを別ウインドウで開きます(別添資料)

━━━━━━━━━━━
1.現状の問題点の抽出
━━━━━━━━━━━
ノロウイルスを原因とする食中毒は、事件数・患者数ともに国内の食中毒発生数の上位を占めています。しばしば大規模食中毒を引き起こすなど1事件あたりの患者数が多い傾向があり、年間の患者数も病因物質の中で突出しています(食中毒統計調査によると、2018年の食中毒患者数の約半数はノロウイルスによるものです)。さまざまな環境で長期間生存できる、少量でも感染する、症状が出ない感染(不顕性感染)を生じさせることがあるといった特徴に加え、(不顕性感染の場合も含め)症状がおさまった後もウイルスを長期間排出することがあるとの報告もあり、このようなことが、ノロウイルスによる食中毒への対策の徹底を難しくしています。

食中毒の原因については、近年は、従来から知られている二枚貝を原因とするケースより、調理又は配膳過程において、食品製造者や調理従事者のような食品取扱者を介して汚染されたと考えられる食品に起因する事例が多く報告されています。

ノロウイルス食中毒の発生を防止するためには、様々な関係者がそれぞれの視点から、このような状況を踏まえた適切な対策を講じることが重要です。そのため、リスクプロファイルでは、ノロウイルス食中毒を減らしていくために必要な知見や研究に関する現状の問題点を以下のとおり抽出し、整理しました。

<現状の問題点>
■全体
・実用可能な培養法が未確立
(そのため、ヒトへの感染が成立するウイルス量(用量反応)に関する知見や、加熱、消毒薬等によるノロウイルスの不活化効果に関する知見等が不十分)
・国内のノロウイルス感染症の実態把握が不十分
(そのため、全体のノロウイルス患者数に占める食品媒介感染の割合についても、正確な推計ができていない)

■カキを中心とした二枚貝に起因する食中毒
・養殖海域の効果的な管理方法が不足
(このために重要な効果的かつ適当な代替指標及び検出法が見つかっていない、感染性ウイルスの検出感度が不十分であり養殖海域の効果的なモニタリングができない)
・加工・流通段階の効果的なリスク管理措置が不足

■調理従事者に起因する食中毒
・食中毒対策の実施状況及びその結果の分析に関する知見が不十分
・不顕性感染者のウイルス排出状況に関する知見が不十分

━━━━━━━━━━━
2.今後の課題
━━━━━━━━━━━
上記1.の問題点を踏まえ、リスクプロファイルではさらに、ノロウイルス対策を実効性のあるものとして改善するために幅広い関係者(国、自治体、事業者等)が中長期的に取り組んでいくことが望まれる課題を、以下のとおり整理しました。

<今後の課題>
■全体への対策
・実用可能な培養法の確立及びノロウイルスの用量反応、不活化条件等の知見の収集
・ノロウイルス感染症の全体像の把握及び全体に占める食品媒介の割合の推計

■カキを中心とした二枚貝対策
・ノロウイルスの代替指標の設定及びその検出法の開発、養殖海域のモニタリングシステムの検討
・カキを中心とした二枚貝のリスク低減措置の研究・開発

■調理従事者対策
・衛生管理について、調理従事者由来のリスクを低減する上での効果に関する知見及び不顕性感染者に関する知見の収集・解析
・食中毒発生施設と非発生施設における施設・設備の状況、調理従事者の健康状態及び手洗い等の具体的衛生管理の実態と食中毒との関連を比較分析した知見の収集・解析

━━━━━━━━━━━
3.おわりに
━━━━━━━━━━━
今回ご紹介した現状の問題点と今後の課題は行政や事業者を中心としたものですが、ノロウイルスによる食中毒を防止するには、消費者も含め、関係する全ての人が徹底した対策をとることが大切です。そのためには、必要な情報を得てそれを共有するとともに、互いに意見を交わし合うことが欠かせません。
食品安全委員会は、ホームページ・SNS等による情報発信、各種講座や意見交換会の開催などを通じ、このようなリスクコミュニケーションを積極的に推進しています。ノロウイルスによる食中毒の防止のため、これらのツールや機会をぜひご活用ください。

※食品安全委員会では、タイムリーな情報をFacebookやブログで配信しております。
ぜひご覧ください。
http://www.fsc.go.jp/sonota/sns/facebook.html
http://www.fsc.go.jp/official_blog.html
==================================================
※このメールはシステムが自動発行しておりますので、返信メールは受け付けておりません。
■食品安全委員会e-マガジンバックナンバー
http://www.fsc.go.jp/mailmagazine_back_number.html
■配信登録はこちら
[ウイークリー版+読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao013/subscribe.php別ウインドウで開きます(外部サイト)
[読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao014/subscribe.php別ウインドウで開きます(外部サイト)
[新着メール]
https://www.fsc.go.jp/newsreader/create
■配信解除はこちら
[ウイークリー版+読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao013/unsubscribe.php別ウインドウで開きます(外部サイト)
[読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao014/unsubscribe.php別ウインドウで開きます(外部サイト)
[新着メール]
https://www.fsc.go.jp/newsreader/cancel
==================================================
[食品安全委員会e-マガジン]
編集:食品安全委員会e-マガジン編集会議
発行:内閣府食品安全委員会事務局情報・勧告広報課
〒107-6122 東京都港区赤坂5-2-20
赤坂パークビル22階