【読み物版】生活の中の食品安全 -食中毒に気をつけよう- その1 2019年9月20日配信

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
[生活の中の食品安全 −食中毒に気をつけよう− その1]
2019年9月20日 配信
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今号のe-マガジン【読み物版】は、「食中毒に気をつけよう」です。以前、当委員会が行った食品のリスク認知等に関する調査では、調査対象である専門家・消費者・行政担当者のいずれにおいても、食中毒に対し高い関心を持っているとの結果が出ています。(※)
そこで今号と次号では、食中毒について、その予防策も含めてお伝えします。
※「平成29年度食品安全委員会運営計画の実施状況の中間報告について」補足資料P.7
http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20171129ki1&fileId=220[PDF:1,418KB]別ウインドウで開きます

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1.食中毒とは
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食中毒は、食品に起因する中毒症の総称です。症状の多くは、胃腸炎(腹痛・下痢・おう吐など)ですが、発熱や神経障害といった他の症状を伴うものもあります。原因によっては命にかかわることもあるので、十分な注意が必要です。

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2.食中毒の原因
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食中毒の原因は、細菌、ウイルス、寄生虫、自然毒(動物性・植物性)、化学物質等さまざまです。そのうち、患者数が多いものは細菌とウイルスで、平成30年を例にとると、この2つで患者数全体の実に9割近くに上ります。

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3.食中毒の発生状況
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厚生労働省が平成31年3月に公表した「平成30年食中毒統計調査」によると、食中毒は一年を通して発生しているものの、大まかな傾向として、夏場には細菌によるものが、冬場にはウイルスによるものが多くなっています。

年間の事件数は、第1位アニサキス(寄生虫)、第2位カンピロバクター(細菌)、第3位ノロウイルス(ウイルス)です。事件総数1,330件のうち、それぞれ468件、319件、256件であり、この3つで全体の約8割を占めています。

一方、患者数に目を向けると、第1位ノロウイルス(ウイルス)、第2位ウエルシュ菌(細菌)、第3位カンピロバクター(細菌)となっています。患者総数17,282人のうち、それぞれ8,475人、2,319人、1,995人で、ノロウイルスの多さが目立ちます。患者総数の約半分に達し、事件数における割合が2割程度であることを考えると、1件あたりの患者数が多いことが分かります。なお、年齢層としては20〜29歳が最も多く、患者数全体の約2割を占めています。

【食中毒発生状況】
厚生労働省「食中毒統計調査」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

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4.食中毒予防の原則
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患者数の多い細菌及びウイルスによる食中毒について、予防の原則と家庭での対策をご紹介します。

■細菌の場合■
食中毒予防の3原則『つけない、ふやさない、やっつける』

細菌による食中毒は、原因となる細菌に汚染された食品を人が食べることで起こります。細菌は、温度・水分・栄養などの条件が揃うと増殖します。予防には、細菌を食品に「つけない」、食品の中で「ふやさない」、ついているかもしれない場合は「やっつける」ことが重要です。

『つけない』
細菌で食品を汚染させないために、
・調理や食事の前、調理中に生の肉や魚介類にふれたとき、トイレに行った後には、手をよく洗う。
・生の肉や魚介類が、生食するものや調理済みの食品に触れないようにする。(購入時や保存時は分けて包む、まな板や包丁を使い分ける等)
・生で食べる野菜、一尾ものの魚は清潔な流水で洗う。(生の肉は洗わない。表面にいる細菌が水と一緒に周囲に飛び散ることがあります。)
・食器や調理器具等は洗剤でよく洗い、熱湯や台所用殺菌剤等を用いて消毒する。

『ふやさない』
細菌を増やさないために、
・購入した肉や魚などの生鮮品、総菜、その他冷蔵保存に適したものは、できるだけ早く冷蔵庫に入れる。
・作った料理は放置せず、すぐに食べる。大鍋料理(例:カレー、シチュー)などですぐに食べない分は、素早く温度を下げて冷蔵庫に入れる。

『やっつける』
細菌を死滅させるために、
・食品は中心まで火が通るようにしっかりと加熱する。
・特に食肉は、中心部75 ℃以上で1分間以上加熱する(目安)。豚肉や鶏肉であれば、切ったときに肉色の赤味がなくなっていることを確かめる。

■ウイルスの場合■
食中毒予防の4原則『持ち込まない、ひろげない、つけない、やっつける』

ウイルスによる食中毒は、原因となるウイルスに汚染された食品を人が食べることで起こります。ウイルスは食品中では増殖しないため(生きた細胞の中で増殖します)、細菌の3原則の一つである「ふやさない」はあてはまりませんが、ウイルスを食品に「つけない」、ついているかもしれないウイルスは「やっつける」という点は細菌と同じです。また、ウイルスによる食中毒の大部分を占めるノロウイルスは、感染が拡大しやすい傾向があることから、「持ち込まない」、「ひろげない」ことも重要になります。

『持ち込まない』
ウイルスで台所(調理場)を汚染させないために、
・調理をする人は、ウイルスに感染しないよう日頃から健康に気を配る。
・おう吐や下痢など感染が疑われる場合は調理場に入らない、調理を控える。

『ひろげない』
万が一、台所にウイルスが持ち込まれた場合でも調理器具等にひろげないために、
・調理中はこまめに手を洗う。
・まな板・包丁などの調理器具はよく洗い、定期的に熱湯・台所用殺菌剤などを用いて消毒する。

繰り返しになりますが、食中毒は一年を通して発生します。暑い季節のものというイメージがあるかもしれませんが、決してそうではありません。また、今回は細菌とウイルスによる食中毒の予防策をお伝えしましたが、寄生虫や自然毒など注意すべきものは他にもたくさんあります。以下に、食中毒に関する資料をいくつかご紹介します。ご自身が日頃されている食中毒対策の確認や点検などにも、ぜひご活用ください。
【参考資料】
・政府広報オンライン「食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント」
https://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省「食中毒 2.食中毒の原因と対応」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・農林水産省「食中毒をおこす細菌・ウイルス・寄生虫図鑑」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・米国農務省(USDA)「Washing Raw Poultry: Our Science, Your Choice」(英語)
https://www.usda.gov/media/press-releases/2019/08/20/washing-raw-poultry-our-science-your-choice別ウインドウで開きます(外部サイト)

●次号(2019年9月27日配信予定)では、例年多くの患者を出す「カンピロバクター」と「ノロウイルス」について詳しくお伝えします。

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