【読み物版】生活の中の食品安全 -ノロウイルスについて- その1 平成30年11月16日配信

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
[生活の中の食品安全 −ノロウイルスについて− その1]
平成30年11月16日 配信
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今月のe-マガジン【読み物版】は、ノロウイルスについてです。
ノロウイルスは、我が国の食中毒原因の上位をしめるウイルスです。ノロウイルスによる食中毒は一年を通して発生していますが、特に冬季に流行します。これからの季節、ノロウイルスについての正しい知識をもって、しっかりと食中毒予防に努めて下さい。

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1.ノロウイルスとは?  
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ノロウイルスはヒトの腸管で増殖するウイルスです。ノロウイルスによる食中毒は1年中見られますが、11月くらいから発生件数が増加しはじめ、12月〜翌年1月が発生のピークになる傾向があります。最近では、ノロウイルスに感染したヒトの手指等で食品が汚染され、それを食べたヒトが感染した事例が多く認められています。また、ノロウイルスは、とても感染力が強く、少量のウイルス量(100個以下)でも感染すると考えられており、保育園や高齢者施設等の集団生活の場では、感染が広がり集団発生を引き起こすことがしばしばあります。なお、食品中に含まれるウイルスは検出することが難しく、食中毒の原因究明や感染経路の特定を難しくしています。

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2.どんな症状が出るの?
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ノロウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は、一般に24〜48時間程度です。
主な症状は、下痢、おう吐、吐き気、発熱及び腹痛です。発熱は軽度なことが多いですが、おう吐は、突然、急激に強く起こることがあります。また、感染しても発症しないケースもあります。通常は、これらの症状が1〜2日程度続いた後に自然治癒し、後遺症はほとんどありません。しかし、乳幼児や高齢者等、抵抗力の弱いヒトでは重症化することもあるので、注意が必要です。なお、現在、このウイルスによる感染症に対して直接効果のある薬剤はなく、治療は対症療法が中心となります。また、症状が治まった後や、症状が出ない感染者でも、通常では1週間程度、長いときには1ヶ月程の間はウイルスを排出することがあるといわれていますので、この点にも留意が必要です。

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3.どうやって感染するの?(感染経路と原因食品)
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◇感染経路◇
ノロウイルスの感染経路は特定が難しいですが、次のような感染様式があると考えられています。
(1)ヒトを介して汚染された食品を摂食して感染
・ノロウイルスに感染した食品取扱者(食品の製造等従事者、飲食店における調理従事者、家庭で調理を行う方等)の手指等を介して汚染された食品を食べて感染

(2)汚染された食品を摂食して感染
・汚染された二枚貝(カキ等)を、生あるいは十分に加熱調理せずに食べて感染
※二枚貝は、プランクトン等を食べるために大量の海水を取り込みますが、この海水がノロウイルスを含む下水処理水等で汚染されていた場合、ノロウイルスが一緒に取り込まれ、体内に蓄積・濃縮されると考えられています。

(3)ヒトからヒトへの感染
・ノロウイルスが大量に含まれる患者のふん便やおう吐物から、ヒトの手等を介して感染
・家庭や共同生活施設のようなヒト同士の接触する機会が多いところで、ヒトからヒトへの飛沫感染や接触感染
 
◇食中毒の原因食品◇
食品から直接ノロウイルスを検出することは難しく、食中毒事例のうちでも約7割は原因食品が特定できていません。特定できた原因食品の例としては、カキ等の二枚貝、惣菜や菓子等があります。 

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4.家庭でできるノロウイルス食中毒の予防法
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家庭でできるノロウイルス食中毒の予防対策のポイントは、「加熱」「手洗い」「消毒」の3点です。
ノロウイルスはヒトを介して感染することが多くなっています。家庭で調理を行う方だけではなく、飲食店や学校給食施設等で食品の調理に携わる方はもちろん、私たち一人一人が、日常生活の中でしっかりと食中毒予防に努めることが大切です。

◇食品の加熱◇
加熱が必要な食品は、中心部までしっかりと「加熱」してください。ノロウイルスの活性を失わせるために必要な加熱条件については、コーデックス委員会のガイドラインでは、中心温度85〜90℃で90秒間以上とされています。

◇手洗いの励行◇
「手洗い」をしっかりと行ってください。手洗いは、手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法です。特に、調理前後、食事前、トイレの後、下痢等の汚物処理やおむつ交換の後は、必ず手を洗ってください。石けんをしっかりと泡立てて手首までよく洗浄し、流水で十分にすすいで下さい。石けん自体にはノロウイルスを直接失活させる効果はありませんが、手の脂肪等を落とすことにより、ウイルスを手からはがれやすくする効果があります。また、2回繰り返すと、より効果的です。

◇煮沸や塩素による調理器具の消毒◇
調理器具や調理台は「消毒」して、いつも清潔にして下さい。まな板、包丁、食器、ふきん等は使用後すぐに十分に洗浄してください。
ノロウイルスを完全に失活させる方法としては、煮沸消毒(85℃〜90℃以上で90秒間以上)や次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)(※)が効果的です。

※次亜塩素酸ナトリウム消毒液(塩素濃度200ppm)の作り方
市販の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤(塩素濃度約5%)を250倍希釈して作ることができます(例:5Lの水に漂白剤を20ml入れる)。塩素系漂白剤を使用する際は、「使用上の注意」をよく確認してください。

≪参考≫
・食品安全委員会「食中毒予防のポイント ノロウイルスによる食中毒にご注意ください」(平成28年12月14日一部更新)
http://www.fsc.go.jp/sonota/e1_norovirus.html
・食品安全委員会「食品健康影響評価のためのリスクプロファイル及び今後の課題〜 食品中のノロウイルス 〜」2010年4月
http://www.fsc.go.jp/sonota/risk_profile/risk_norovirus.pdf
・厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省「食中毒の原因(細菌以外) ノロウイルス」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/03.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

●次号(平成30年11月30日配信予定)では、ノロウイルス食中毒に関するQ&Aをお届けします。

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