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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
[生活の中の食品安全−食品中のカフェインについて−その1]
平成30年1月12日配信
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今月のe-マガジン【読み物版】は、カフェインについてお送りします。近年、エナジードリンクやサプリメントなどカフェインを添加した食品が売られ、摂り方によってはカフェインの過剰摂取につながると指摘されています。今号では、カフェインが健康にどのように影響するのかについてご紹介します。
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1.カフェインとは
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■カフェインとは
カフェインは、コーヒー豆や茶葉、カカオ豆、ガラナなどに含まれる天然の食品成分の一つで、これらを原料にして作られたコーヒーやお茶などの飲料に多く含まれています。また、医薬品として処方されるほか、厚生労働省の既存添加物名簿に掲載され、コーラなどの清涼飲料水などに苦味料として使用することが認められています。
■作用は
カフェインには中枢神経を興奮させる作用があるため、たとえば仕事の合間にコーヒーなどを飲むと頭がすっきりしたり、眠気を覚ましたりといった効果が期待できます。
しかし、多量に摂取すると身体への有害な影響が現れます。
カフェインの一般的な急性作用として、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠などが挙げられます。消化管系の刺激により下痢や吐き気をもたらすこともあります。
また、長期的な作用として、ヒトによっては高血圧のリスクが高くなる可能性や、妊婦において、胎児の発育を阻害する可能性が報告されています。
このような作用を引き起こす理由は、カフェインの構造が、体の中にあるアデノシンという生理活性物質(生体の生理活動に何らかの作用をもたらす物質)によく似ているためと考えられています。アデノシンはアデノシン受容体と結合すると、アデノシン受容体が心拍数を下げるなど体をリラックスさせる作用を示します。しかし、構造が似ているカフェインと結合すると、アデノシン受容体は本来の働き(体をリラックスさせる作用)を阻害されてしまい、中枢神経は興奮します。
■どのくらい飲料に含まれている?
使用する原材料の種類や量、抽出方法等によって違ってくるので一概には言えませんが、文部科学省「日本食品標準成分表2015年度版(七訂)」、製造・販売事業者HP等によれば、コーヒーでは、100mlあたり60mg、紅茶や煎茶では100mlあたり20〜30mgのカフェインが含まれているとされています。
また、製品によって異なりますが、カフェインを多く添加した清涼飲料水(エナジードリンク)では、100ml当たり32〜300mg、サプリメントでは1錠あたり200mgのカフェインが含まれているものもあります。
食品名 |
カフェイン濃度 |
抽出方法等 |
コーヒー |
60 mg/100 mL |
コーヒー粉末10 g、熱湯150 mL |
インスタントコーヒー |
57 mg/100mL |
インスタントコーヒー2 g、熱湯140 mL |
紅茶 |
30 mg/100 mL |
茶5 g、熱湯 360 mL、1.5〜4分 |
煎茶 |
20 mg/100 mL |
茶10 g、90℃ 430 mL、1分 |
ほうじ茶 |
20 mg/100 mL |
茶15 g、90℃ 650 mL、0.5分 |
ウーロン茶 |
20 mg/100 mL |
茶15 g、90℃ 650 mL、0.5分 |
玄米茶 |
10 mg/100 mL |
茶15 g、90℃ 650 mL、0.5分 |
カフェインを多く添加した清涼飲料水(エナジードリンク) |
32〜300 mg/100 mL |
製品によって、カフェイン濃度、内容量が異なる |
サプリメント |
200 mg/錠 |
|
眠気防止薬 |
93〜200 mg/1回服用 |
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(七訂)」、食品安全委員会ファクトシート、厚生労働省Q&A、製造・販売業者HP等
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2. 摂取量の目安は?
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■摂取量の目安は
カフェインに対する感受性は個人差が大きいため、健康に及ぼす影響を正確に評価することは難しく、カフェインの一日摂取許容量(ADI)は設定されていません。
ただ、ふだん、コーヒーやお茶を飲むときは、各自が習慣的に適量を飲んでいるものです。この場合、カフェインの過剰摂取で有害な影響が現れることはまずありません。
なお、世界保健機構(WHO)は、一日のカフェイン摂取量が300mgを超える妊婦は、妊娠中、流産や新生児の低体重のリスクを減らすため、カフェインの摂取量を制限することを推奨しています。また、一部の国では、主にリスクが高いとされる妊婦や子どもに対して、以下のとおり一日当たりの健康に悪影響のない最大摂取量の目安を設定しています。
対象 |
一日当たりの健康に |
機関名 |
|
妊婦 |
300mg |
オーストリア保健・食品安全局 |
|
200mg |
英国食品基準庁 |
||
300mg |
カナダ保健省 |
||
子ども |
全体 |
2.5mg/kg体重 |
|
4〜6歳 |
45mg |
||
7〜9歳 |
62.5mg |
||
10〜12歳 |
85mg |
||
健康な成人 |
400mg |
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3. カフェインを含む食品を摂取する際に注意すること
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■自分のカフェイン摂取量を把握
まず、自分がカフェインをどれくらい摂取しているかを把握することが大切です。中学生や高校生等の子どもの場合は、まわりの大人が気を配ることが必要です。自分自身や子どもの摂取量を把握し、過剰摂取にならないように注意してください。
■1日に何本もエナジードリンクを飲まない
市販のエナジードリンクを飲む際には、成分表示を見てカフェイン量を確認してください。その際、表示の多くが100mlあたりの濃度で記載されているので、缶や瓶1本あたりに換算してください。エナジードリンクと合わせて他のカフェイン入り食品(飲料)を摂る場合、カフェインの摂取量は上乗せになることに注意してください。
■錠剤、カプセル等の形態の食品の利用に注意
錠剤、カプセル等の形態の食品は、一度に容易に、多量のカフェインを摂ることができるので注意が必要です。また、これらの食品とカフェインを含む飲料を同時期に摂取する場合も過剰摂取に注意してください。
■アルコールとエナジードリンクを一緒に飲まない
アルコールとカフェイン入りのエナジードリンクを一緒に飲むと、アルコールの酔いをカフェインによる興奮作用が覆い隠してしまい、お酒を飲みすぎる可能性があります。
また、カフェインとアルコールにはどちらにも利尿作用があり、気がつかないうちに脱水状態になってしまう可能性があります。
≪参考≫
・食品安全委員会「食品中のカフェイン(ファクトシート)」
http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/caffeine.pdf
・食品安全委員会「季刊誌食品安全vol.51「食品中のカフェインについて」」
http://www.fsc.go.jp/visual/kikanshi/k_index.data/vol51_P2_3.pdf
・食品安全委員会「みんなのための食品安全勉強会「カフェインの安全性及びコーヒーについて」」
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20171207ik1_210.pdf
・厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A〜カフェインの過剰摂取に注意しましょう〜」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
・農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
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