【読み物版】生活の中の食品安全−加熱してもなぜ食中毒が起こるのでしょうか?(食品安全委員会委員 石井 克枝)−その2 平成29年8月25日配信

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
[生活の中の食品安全−加熱してもなぜ食中毒が起こるのでしょうか?−
(食品安全委員会委員 石井 克枝)  その2]
平成29年8月25日 配信
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今号のe-マガジン【読み物版】は、前号に引き続き、加熱調理と食中毒について当委員会の石井克枝委員からの解説とQ&Aをお送りします。

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1.ハンバーグやメンチカツに注意が必要な理由
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ハンバーグやメンチカツはひき肉を使っています。
スライスした肉は、加工のとき、表面に様々な細菌・ウイルスなどが付着します。ひき肉も塊の中まで細菌・ウイルスなどが多く付着しますので、中心部までの加熱が重要になります。
ハンバーグをフライパンで焼く際には、1cm程度の厚さに成型してふたをして焼くと、熱が上部からも伝わることで中心まで伝わりやすく、約7〜8分で菌が死滅し安全なものになります。電子レンジ加熱でもふたをすることで中心まで早く加熱できます。

肉の種類や内臓等の部位によっては、細菌・ウイルス・寄生虫が存在する可能性があります。
特に豚肉については、肉の内部にウイルスや寄生虫が存在する可能性があることから、中心部まで加熱を要します。
牛肉(内臓を除く。)の内部は無菌と言われていますが、表面は細菌などに汚染されている可能性があるので、ハンバーグやサイコロステーキなどで小さな肉を結着させたもの(成形肉)では注意が必要です。
また、カンピロバクターによる食中毒を防ぐためにも、鶏肉を生、半生で食べることは避け、十分に加熱してください。
ジビエといわれる野生のシカ肉やイノシシ肉には、E型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌または寄生虫が存在する可能性があります。中心部まで火が通るよう、十分に加熱してください。
特に、子どもや高齢の方、抵抗力の弱い方は中までしっかり焼いてから食べましょう。

【注】本稿は、食品安全委員会季刊誌「食品安全」50号(平成29年3月号)の「委員の視点 加熱してもなぜ食中毒が起こるのでしょうか?(石井克枝委員)」を、e-マガジン【読み物版】として加筆修正して発信しています。
◆食品安全委員会季刊誌「食品安全」50号も、ぜひ、ご覧ください。◆
http://www.fsc.go.jp/visual/kikanshi/k_index.data/anzen50_P08.pdf

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2.Q&A
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Q1 食品を加熱しても食中毒になった場合があると聞きました。加熱調理をしても安全ではないのですか?
Q2 加熱調理に電子レンジを使うのですが、注意点はありますか?
Q3 冷凍した食品は、もし加熱が不十分でも冷凍により細菌が死んでいるので安全ですか?

Q1  食品を加熱しても食中毒になった場合があると聞きました。加熱調理をしても安全ではないのですか?
A1  ポンイトは「中心温度」です。加熱調理では、熱が食品の周辺から中心に向かい、中心まで伝わるのに時間がかかります。
例えば、炒めものは、120〜200℃という高温ですが、短時間で食品を動かしながら加熱するため、肉や魚を野菜と一緒に炒めると、肉や魚の温度が上がらないこともあります。他の材料とは別に、最初に肉や魚をよく炒めておくか、別に炒めるなどしてください。
カレーなど粘性のある食品は対流が起こりにくく、均一に加熱しにくいので、十分にかき混ぜながら加熱してください。
また、ハンバーグをフライパンで焼く際には、1cm程度の厚さに成型してふたをして焼くと、熱が上部からも伝わることで中心まで伝わりやすく、約7〜8分で細菌などが死滅し安全なものになります。

Q2 加熱調理に電子レンジを使うのですが、注意点はありますか?
A2 電子レンジは、マイクロ波を照射して食品内部の水分を発熱させ、その熱が周辺に伝導していくことから、不均一に熱が伝わります。また、調理方法や加熱されるものの形によって熱の伝わり方が変わります。電子レンジでは細菌などを減らすことはできますが、加熱むらが起こる可能性があり、注意が必要です。

Q3 冷凍した食品は、もし加熱が不十分でも冷凍により細菌などが死んでいるので安全ですか?
A3 細菌などは冷凍してもほとんど死滅することはありません。2016年には冷凍メンチカツによる食中毒が起こりました。家庭で冷凍メンチカツを揚げるコツとして、直前に電子レンジで半解凍することと、170℃くらいの油で中に火が通るよう急がずじっくりと揚げることが挙げられます。
なお、上記食中毒を端緒に、油量や加熱温度、加熱時間など条件の異なる調理検証も行われました。詳細は以下をご覧ください。
・平成28年食中毒発生状況(概要版)(P16〜P23)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000155505_1.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

≪参考≫
・内閣府食品安全委員会〜会議資料詳細「加熱調理と食中毒」
http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20170112ik1&fileId=250
・内閣府食品安全委員会〜平成28年度 食品安全モニター会議「冷蔵庫に入れれば大丈夫?食品の保存を理解する
http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20160616ik1&fileId=030

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