【読み物版】 】ノロウイルス その1   平成27年11月26日配信

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】

[ノロウイルス その1] 平成27年11月26日配信
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今月のe-マガジン【読み物版】は、流行傾向にあるノロウイルスについてお送りします。
ノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎(おう吐、下痢を主症状とする感染症)は、既に各地で報告されています。ノロウイルスは、二枚貝などの食品からの感染と、人から人への感染があり、おう吐、吐き気、下痢、腹痛などを起こします。子どもやお年寄りは、感染した場合に重篤化しやすいので、特に注意が必要です。
今号では、ノロウイルスの基本情報をご紹介します。次号では、ノロウイルスに関するQ&Aを予定しています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.ノロウイルスとはどんなウイルス?
━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ノロウイルス(Norovirus)とは
ノロウイルスは、ウイルスの中でも特に小さく、直径30〜40nm(※)前後の球形をしています。少量のノロウイルスが口に入っただけでも、人の腸管内で増殖して、消化器症状を起こすなど感染力が強いことが特徴です。また、一度感染した人でも、繰り返し感染することがあります。ノロウイルスは、人の腸管でしか増殖しないため、人工的に培養することができません。特に食品からノロウイルスを検出することが難しく、食中毒時の感染経路など未だに不明な点が多いウイルスです。

※1nm(ナノメートル)は、1m(メートル)の10億分の1。大腸菌(2〜4μm)に比べ、100分の1程度(1μm
(マイクロメートル)は、1mの100万分の1)。

■潜伏期間と症状
ノロウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は24〜48時間程度です。おう吐、吐き気、下痢、腹痛、発熱(一般的に37〜38℃程度)などが主な症状です。おう吐は、突然、抑えることができないほど急激に強く起こるのが特徴的です。これらの症状は、1〜2日程度継続してから治癒するとされています。後遺症は残りませんが、乳児、高齢者、免疫不全など免疫力の弱い方では、脱水等が起こり重症となることがあります。また、吐物が気管に入るなどの二次的な影響での死亡例も報告されており、注意が必要です。なお、症状が改善された後でも、1週間から1か月程度ウイルスをふん便中に排出する場合があります。また、感染しても、発症しない人もいることから、手洗いを励行してください。

■感染経路
主な感染経路としては次のようなものがあります。

(1)食品からの感染(食中毒)
・感染した食品取扱者の手洗い不足等により、手指についたウイルスによって食品が汚染され、その食品を食べて感染する
・感染した人に由来するウイルスが蓄積した二枚貝などを、加熱不十分なまま食べて感染する

(2)人から人への感染
・患者のふん便やおう吐物に触れ、手指などについたウイルスが口から入って感染する
・家庭や施設内などで、ノロウイルスを含んだ飛沫などが口から入って感染する

■原因食品
原因食品が特定された事例では、貝類(カキなどの二枚貝)の他に、弁当、刺身、寿司、サラダ、もち、菓子、サンドイッチ、パンなどがあります。
最近は、食品取扱者によって汚染された食品が原因となる事例が増えています。
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2.ノロウイルスによる食中毒を防ぐには
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■しっかり加熱!
加熱が必要な食品は、中心部までしっかり加熱すること。中心温度85〜90℃で90秒間以上加熱することが必要です。

■調理器具などを清潔に!
調理器具や調理台は、いつも清潔にしましょう。まな板、包丁、食器、ふきんなどは使用後すぐに洗浄すること。ときどき、煮沸消毒をする、あるいは次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度200ppm)で浸すように拭いて消毒すると、より効果的です。

※次亜塩素酸ナトリウム消毒液(塩素濃度200ppm)の作り方
市販の塩素系漂白剤(塩素濃度約5%)を250倍希釈して作ることができます(例:5Lの水に漂白剤を20ml入れる。)。なお、塩素系の漂白剤でなければ効果的な消毒はできません。ノロウイルスには、アルコールや市販の酸素系の漂白剤は効果が期待できません。
塩素系漂白剤を使用する際は、「使用上の注意」をよく確認して、塩素系のものと酸素系のものを混ぜてはいけません。また、熱湯を使ってはいけません。

■手洗いをしっかり!
特に、食事前とトイレの後、調理前後は必ず手を洗いましょう。手洗いは、石けんで手首まで(30秒程度)よく洗浄し、すすぎは流水で十分にすること。2回繰り返すとより効果的です。
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3.食中毒の発生状況
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■発生状況(2014年)
ノロウイルスによる食中毒の発生件数は、例年、事件数、患者数とも高い値で推移し、2014年は、事件数(293件)、患者数(10,506人)とも食中毒原因の中で第1位です。1件あたりの平均患者数が35名でした。

※2014年の食中毒事件数、患者数
・食中毒全体;事件数 976件 うちノロウイルス事件数 293件(33.3%)
・患者数;19,355人 うちノロウイルス患者数 10,506人(54.3%)

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
4.まとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ノロウイルスは、国内の原因別の食中毒患者数では第1位となっており、また、人から人へうつる感染性胃腸炎の原因でもあります。冬季に発生が多いことから、これから特に注意が必要なウイルスです。
今年は昨年までのノロウイルスの主要流行株とは異なる遺伝子型のノロウイルスが検出され、国内外で流行を引き起こしていたことが確認されており、現段階ではその遺伝子型に対する免疫を持たない人が多いことが予測されるため、国立感染症研究所等から、大流行する可能性が指摘されています。 
ノロウイルス感染の予防のためには、食中毒や感染症予防の基本である手洗いの徹底をはじめ、食品の加熱、調理器具消毒などをしっかり行うことが大切です。

参考
・食品安全委員会;食中毒予防のポイント ノロウイルスによる食中毒にご注意ください
https://www.fsc.go.jp/sonota/e1_norovirus.html
・厚生労働省;感染性胃腸炎(特にノロウイルス)について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/norovirus/別ウインドウで開きます(外部サイト)
・国立感染症研究所;新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17の流行
http://www.nih.go.jp/niid/ja/id/778-disease-based/na/norovirus/idsc/iasr-news/5903-pr4273.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
 

=========================================================================

※このメールはシステムが自動発行しておりますので、返信メールは受け付けておりません。
■食品安全委員会e-マガジンバックナンバー
www.fsc.go.jp/mailmagazine_back_number.html

■配信登録はこちら
[ウイークリー版+読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao/entry/subscribers/insert?mag_id=35cca0985045a2091e101134e3a26be7別ウインドウで開きます(外部サイト)
[読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao/entry/subscribers/insert?mag_id=e564c936d33a9581ec261adebd17991b別ウインドウで開きます(外部サイト)

[新着メール]
https://www.fsc.go.jp/newsreader/create

■配信中止・配信先変更はこちら
[ウイークリー版+読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao/cancel/subscribers/cancel?mag_id=35cca0985045a2091e101134e3a26be7別ウインドウで開きます(外部サイト)

[読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao/cancel/subscribers/cancel?mag_id=e564c936d33a9581ec261adebd17991b別ウインドウで開きます(外部サイト)

[新着メール]
https://www.fsc.go.jp/newsreader/cancel

■食品安全委員会からのご案内
http://www.fsc.go.jp/sonota/e-mailmagazine/e_oshirase_info.html

=========================================================================
[食品安全委員会e-マガジン]
編集:食品安全委員会e-マガジン編集会議
発行:内閣府食品安全委員会事務局情報・勧告広報課
〒107-6122 東京都港区赤坂5-2-20
赤坂パークビル22階
http://www.fsc.go.jp/