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【読み物版】 [コーヒーを科学する その1] 平成27年2月13日配信(2015.02.13)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】 [コーヒーを科学する その1] 平成27年2月13日配信 (2015.02.13) 

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[コーヒーを科学する その1]
平成27年2月13日配信 
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今月のe-マガジン【読み物版】は、「食品を科学する-リスクアナリシス(分析)連続講座」の中から、 「カフェインは危ない?~コーヒーを科学する~」(平成26年10月と11月実施)をお送りします。
今号では、コーヒーに含まれるカフェインなどが健康にどのように影響するのかについて、ご紹介します。
また、次号では、Q&Aと委員の随想を予定しています。

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1.コーヒーに含まれているカフェインについて
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仕事や勉強の合間に一息入れるため、コーヒーブレイクする方も多いと思います。コーヒーを飲むと頭がすっきりする、眠気が飛ぶ、心臓がドキドキするなどの効果があるのですが、これは、コーヒーに含まれるカフェインの作用です。

■コーヒーを飲むと興奮する?
なぜこのような効果があるのかというと、カフェインの構造が、体の中にあるアデノシンという生理活性物質(生体の生理活動に何らかの作用をもたらす物質)によく似ているからと考えられています。
アデノシンは受容体に結合すると心拍数を下げるなど体をリラックスさせる作用がありますが、構造が似ているカフェインが受容体に結合すると受容体の本来の働きを妨げ、神経系、循環器系を興奮させて体を活発に動かす方向に持っていきます。

■コーヒー約1杯にはどのぐらいのカフェインが含まれている?
使用するコーヒー豆の種類や使用量、湯の量や抽出方法によって違ってくるので一概には言えませんが、中挽きのコーヒー豆10gを熱湯150mlでドリップ抽出した場合、約60mg程度というデータがあります。
米国などでよく見かけるデカフェコーヒーでも、約2~3mg程度は含まれています。
日本で販売されている缶コーヒーには、1缶あたり約90~160mg程度含まれています。
栄養ドリンクや目覚め効果をうたったドリンクには、1缶当たり約30~180mg程度です。

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2. コーヒーの健康への影響
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■コーヒーに含まれる成分は、体に良い?悪い?
・カフェイン
カフェインのLD50(半数致死量:化学物質の毒性の指標)は、動物実験の結果をヒトに当てはめると約11gとなり、これは、コーヒー1杯のカフェインを60mgとすると、約183杯となります。
普通に飲んでいる限りは全く心配はありません。ただ、アルコールと一緒に摂取するときには、注意が必要です。
アルコールの酔いをカフェインによる興奮作用が覆い隠してしまいます。また、アルコール、カフェインともに利尿作用があり、気づかないうちに脱水状態になってしまいます。アルコールとカフェイン入りのエネルギードリンクを一緒に飲むときには注意が必要です。

※米国では、カフェイン粉末がネットで販売され誰でも手に入れることが出来ます。粉末だとスプーン1杯程度で致死量に達する恐れがあり、米国食品医薬品庁(FDA)は注意を呼び掛けています。

・クロロゲン酸などのポリフェノール類
コーヒーにはカフェイン以外に、クロロゲン酸などのポリフェノール類が豊富に含まれていますが、これらは抗酸化作用があり、体によいとされています。
コーヒーを飲むとこれらの成分も一緒に摂取することになります。

■コーヒーは、体に良い?悪い?
いろいろな成分が含まれているコーヒーがヒトの健康に与える影響について、疫学という方法で多くの研究が行われています。
これらの成果を取りまとめて整理した結果、最近では、心筋梗塞や狭心症、脳卒中、不整脈、心不全などを増やすような悪影響はないとされています。
一方、がんのリスクを下げるのではないか、脳卒中や糖尿病、肝疾患によい影響がある、パーキンソン病に防御的な作用があるとも言われています。

※疫学
人間集団について、病気などの健康に関する様々な問題と、それらに影響を与えている要因(例えば 喫煙や飲酒)を明らかにする学問

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3. まとめ
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適量のカフェインは、眠いときに目を覚まさせてくれるなどの効果があります。
そして、カフェインやクロロゲン酸などのポリフェノール類などを含むコーヒー全体がヒトの健康へ与える影響については、最近では、心臓や動脈への影響はない、むしろ健康によい効果があると言われています。
ここで注意したいのは、例えばカフェインなどの特定の成分を抽出して摂取することと、それらの成分を食品から摂取することとは違うということです。食べ物には多くの成分が含まれており、特定の成分だ けでは、体に良い性質が失われている可能性もありますし、多く摂りすぎることもあるからです。
偏った、そして過剰な摂取をせずに、バランスの良い食事を心がけることが重要です。

※食品を科学する-リスクアナリシス(分析)連続講座
カフェインは危ない?~コーヒーを科学する~
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20141002ik1

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