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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[シガテラ素 その2] (2014.7.25)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[シガテラ その2] (2014.7.25)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[シガテラ その2]
平成26年7月25日配信 
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前回(7月17日配信)のe-マガジン【読み物版】では、主に熱帯や亜熱帯の魚によって起こっている
食中毒であるシガテラの原因、中毒症状と対策をお届けしました。
今号では、国内や外国のシガテラの発生状況と、食品安全委員会微生物・ウイルス専門調査会の岡部
座長の随想をお送りします。

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1.国内や海外のシガテラの発生状況
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■国内
1989 年から2010 年までに78 件のシガテラの届出がありました。原因魚はバラハタが16 件と最も
多く、次いでイッテンフエダイ12 件、バラフエダイ11 件でした。
発生都道府県は、沖縄県が最も多いものの、近年は、九州及び関東沿岸で採捕されたイシガキダイ等
による発生例もみられます。
季節は、5~9月は他の月よりも発生が多くなる傾向があります。また、原因施設は家庭が78%を占
めます。厚生労働省は、オニカマスの販売を禁止し、さらに、シガテラの原因となる可能性が高い魚
類の日本への輸入に際しては、魚種を指定するなどして個別の判断で輸入を規制しています。また、
国内の自治体でも指定された魚種の卸売市場での販売自粛を定めているところがあります。

■海外
南太平洋の島しょ国で多くのシガテラが発生しています。報告されているのはごく一部と考えられて
います。米国やオーストラリアや欧州連合(EU)などはガイドラインをもうけ、シガテラの発生を防止
するためのリスク管理を行っています。

ファクトシート(科学的知見に基づく概要書)シガテラ[PDF]
http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/factsheets_ciguatera_131216.pdf

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2.「専門調査会委員の随想」(微生物・ウイルス専門調査会座長 岡部信彦)
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「給食の牛乳の味がおかしい」― 今年の4月下旬、川崎市内の小中学校で給食用牛乳を飲んだ児童・
生徒から異味・異臭の訴えが相次ぎ、神奈川県内や東京都内でも同様の訴えがあり、「すわ広域の食
中毒か、毒物などの混入か」とはっとした。

飲食店や給食、あるいは家庭などで食中毒が発生したとき、その原因を突き止める検査をしているの
が全国にある地方衛生研究所(地衛研)で、私の勤務先(川崎市健康安全研究所)もその一つだからだ。
牛乳製造会社において自主検査が行われたが、我々の研究所にも訴えのあった牛乳と訴えのなかった
牛乳が搬入され、微生物検査および最新の分析機器などを使用した理化学検査を並行して行った。
検査結果にはいずれにも異常は見られず、提供された牛乳は特段の問題のあるものではないと結論づ
けられた。官能検査(味などについて実際に口に入れてみる、いわば毒見)として私を含めた職員数人
が味見をしたところ、青臭いという人もいたが、私にはむしろ牧場で飲む牛乳のようにおいしく感じ
た。その後の同製造会社の調査では、加工前の生乳を運ぶためのタンクローリー車1台から豆臭を確
認、同社はこれが原因の可能性が高いとしている。

1988年に和歌山県で毒物カレー事件という事例があった。当初保健所は食中毒によるものと判断し
たが、県警は吐瀉物を検査し、青酸の反応が出たことから青酸中毒によるものと判断。しかし症状が
青酸中毒と合致しないという指摘を受け、警察庁科学警察研究所が改めて調査して亜ヒ酸の混入が判
明した、とされている。

今回の事例は種々の検査結果から消費された牛乳は異常なものではないと判断されたが、1988年当
時と比較し検査技術・機器類の精度は向上し、結果を得るまでの時間もかなり短縮ができるようにな
ってきている。また、これらの検査は、微生物・理化学両面の検査が地域にある同一の研究所内にお
いて同時に走ることができるようになっており、自治体における健康危機管理体制は向上してきてい
るといえる。しかし、「危機管理のため」という説明は一瞬人を納得させやすいが、一方ではまれな
危機にあらかじめ備えて管理体制を実際に整えるということには多大な費用と時間がかかり、またそ
れにかかわる熟練した人が必要となるところから、眼の前に危機が見えなくなると経費節減とたちま
ちにして人・物・予算が整理の対象になりやすい。多くの地衛研、あるいは国の研究所でさえこの面
では喘いでいる状態であるとさえいえる。
しかし、今回のような事例、あるいは最近の農薬混入事件などは現代では残念ながらごく稀におこる
ようなものではなく、「誰もが、安全で、おいしく、安く入手できる食べ物」を確保するために、科
学的にこれらを検証できるきちんとした整備体制を継続的に行っていく必要がある。これらの検査検
討は、突然できるものではなく、日常の検査技術の維持と向上・新たなものへの研究とチャレンジが
あってこそ、まれな事例に対してもはじめて迅速に、正確に、あわてることなく動き出せるものであ
る。

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(お知らせ)
平成26年度食品安全確保総合調査の実施について(入札公告中)

食品安全委員会では、リスク評価を迅速かつ的確に行うために必要な食品に係る様々な危害要因に関
するデータの収集・整理・解析等を行う調査事業を実施しています。
今般、以下の2課題について、平成26年7月23日(水)に入札公告を行いましたのでお知らせします。
なお、本調査事業の請負事業者については、原則として、一般競争入札(総合評価落札方式)により決
定します。

・調査課題名: (1)動物用抗菌性物質の微生物学的影響についての調査
(2)食品健康影響評価に関する研究者・研究内容等の調査

・入札説明会:
日時:平成26年7月30日(水) 11:00
場所:食品安全委員会会議室(東京都港区赤坂5-2-20 赤坂パークビル22階)

・技術等提案書締切:
平成26年8月15日(金) 12:00

詳細はこちらをご覧ください。
内閣府食品安全委員会「食品安全確保総合調査について」
http://www.fsc.go.jp/senmon/anzenchousa/index.html
政府電子調達「調達情報(一般競争入札の入札公示(WTO対象外)」
http://www.chotatujoho.go.jp/csjs/pr005/ProInfoSearchJpnInitAction.do?pctKind=10

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