FSCViews

食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[農薬その1] (2013.8.22)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[農薬その1] (2013.8.22)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[農薬その1] 平成25年8月22 日配信 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今月のe-マガジン【読み物版】では、農薬についてお送りします。
今回は、食品安全モニター(広く国民のみなさんから、食品安全委員会の運営に関する提案等をいた
だき、国民の声を活かした委員会の運営を図るため、食品安全委員会が依頼)の方々からのアンケート
回答から関心が高いように思われる農薬についてお届けします。
また、次号では、農薬に関するQ&A及び委員の随想を予定しています。

[食品安全モニター課題報告]
「食品の安全性に関する意識等について」(平成24年7月実施)の結果(要約)
http://www.fsc.go.jp/monitor/2407moni-kadai-kekka-yoyaku.pdf

━━━━━━━━━━
1.農薬登録のしくみ
━━━━━━━━━━
農薬は、原則として国(農林水産省)に登録されたものでなければ、製造、輸入、販売及び使用するこ
とができません。また、農薬は、登録される際に、使用基準(どのような作物に、いつ、どれだけ使
えるか、等)が定められ、登録を受けていない農薬を使ったり、使用基準に違反して農薬を使ったりす
ることはできません。
農薬を登録するには、製造者や輸入者は、その農薬の品質や安全性に関する様々な試験成績を整え、
農林水産大臣に申請します。厚生労働省や農林水産省は、登録申請された農薬の残留基準を設定する
にあたり、食品安全委員会に、食品健康影響評価(リスク評価)を要請します。食品安全委員会は、提
出された農薬の試験成績に基づいてリスク評価を行います。
リスク評価においてADI(一日摂取許容量)が設定されると、厚生労働省や農林水産省において作物等
への残留農薬基準が、農林水産省において農薬の使用基準が設定されます。
このような仕組みは、アメリカ、EU、オーストラリアなど各国で一般的に採られています。


━━━━━━━━━━━━━━━
2.リスク評価に必要な試験データ
━━━━━━━━━━━━━━━
農薬は、農作物という食品になりうるものに使用されます。また、農薬は、環境中に意図的に放出さ
れることから、土壌、水、大気などにも影響を及ぼす可能性があります。このため、農薬のリスク評
価では、様々な科学的データを審議し、総合的に判断する必要があります。
食品安全委員会が食品健康影響評価に用いる試験成績には、大きく分けて以下の2つがあります。
全ての試験は、農林水産省が定めるテストガイドライン(試験のやり方を定めたもの)に従って行わな
ければなりません。

(1)代謝及び残留に関する試験
農薬が動物や植物の体内でどのように吸収、排泄されるか、どのような代謝物が生成するか、体内で
どこに分布するのかを調べます。
また土壌や水中でどのように分解されるか、どのような分解物が生成するかなども、植物での動態を
把握するために必要な試験成績です。
また、実際に私たちがどれくらいの農薬を摂取する可能性があるのかを知るため、実際の作物に農薬
を使用してどれくらい残留するかを分析する作物残留試験なども行われます。

(2)毒性に関する試験
実験動物(マウス、ラット、イヌ等)を使用し、どのような毒性がどれくらいの用量で生ずるのか、用
量(摂取量)と反応(生体影響)の関係を求め、人への影響を予測します。毒性試験には、1回投与(急性
毒性)、1~3ヶ月投与(亜急性毒性)、1~2年投与(慢性毒性)による試験に加え、発がん性、遺伝子や
染色体への影響をみるもの、催奇形性試験、繁殖毒性試験などがあります。更に、これらの毒性試験
で認められた症状がなぜ起こったのかを解明するためのメカニズム試験も必要に応じて行われます。

これらの試験結果全てを審議し、評価結果を「評価書」としてまとめます。提出された試験成績から
十分な評価書をまとめることができない場合は更にリスク管理機関に追加の資料を要求することもあ
ります。
評価書には、検討の経緯やそれぞれの試験成績の概要、無毒性量、ADIなどが記載してあります。ま
とめられた評価書は、国民からの意見・情報の募集を経て最終的にはリスク管理機関へ通知します。
評価書や議事録は、食品安全委員会のホームページで公開されます。

《評価書の例と読み方…農薬評価書のポイントはこう読みます》
http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/4gou/4gou_3.pdf


━━━━━━━━━━━━━━
3.ADI(一日摂取許容量)とは
━━━━━━━━━━━━━━
ADI(Acceptable Daily Intake:一日摂取許容量)とは、ヒトがある物質を毎日一生涯にわたって摂取
し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量のことです。食品の生産過程で
意図的に使用するもの(農薬、添加物など)に使われます。通常、体重1 kg当たりの物質量として
「mg/kg 体重/日」として表します。


━━━━━━━━━━━
4.残留農薬について
━━━━━━━━━━━
農薬は、人の健康に悪影響を及ぼすことがないように、使用基準、残留基準値が設定されています。
万が一基準値を超えて農薬が残留した農作物が見つかった場合、当該農産物の出荷停止や回収の措置
が取られ、市場へ出回ることはありません。

基準値は、様々な食品を食べた時に口にする有効成分の量がADIを超えることのないようにそれぞれ
の食品について決められます。従って、まれに、基準値を超えた1つの食品を1回普通の量食べるの
であれば、口にする有効成分の量がADIを超える可能性は低く、健康に影響が生じるおそれは極めて
低いと考えられます。


====================================================================================
※このメールはシステムが自動発行しておりますので、返信メールは受け付けておりません。
■食品安全委員会e-マガジンバックナンバー
http://www.fsc.go.jp/sonota/e-mailmagazine/back_number.html
■配信登録はこちら
[ウイークリー版+読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao/entry/subscribers/insert?mag_id=35cca0985045a2091e101134e3a26be7
[読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao/entry/subscribers/insert?mag_id=e564c936d33a9581ec261adebd17991b
[新着メール]
https://www.fsc.go.jp/newsreader/create
■配信中止・配信先変更はこちら
[ウイークリー版+読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao/cancel/subscribers/cancel?mag_id=35cca0985045a2091e101134e3a26be7
[読物版]
https://nmg.cao.go.jp/cao/cancel/subscribers/cancel?mag_id=e564c936d33a9581ec261adebd17991b
[新着メール]
https://www.fsc.go.jp/newsreader/cancel
■食品安全委員会からのご案内
http://www.fsc.go.jp/sonota/e-mailmagazine/e_oshirase_info.html
===================================================================================
[食品安全委員会e-マガジン]
編集:食品安全委員会e-マガジン編集会議
発行:内閣府食品安全委員会事務局情報・勧告広報課
〒107-6122 東京都港区赤坂5-2-20
赤坂パークビル22階
http://www.fsc.go.jp/