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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[遺伝子組換え食品その1] (2013.7.16)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[遺伝子組換え食品その1] (2013.7.16)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[遺伝子組換え食品その1] 平成25年7月16日配信 
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私たちが食べる野菜や果物は、ほとんどすべてが長い年月をかけて品種改良されてきたものです。品
種改良は、従来から交配や自然又は人為的に発生した突然変異の選抜などの方法で行われてきました。
最近では、遺伝子組換えも、品種改良の技術の一つとして利用されています。今号では、遺伝子組換
え食品の安全性についてご説明します。

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1.遺伝子組換え食品とはどんなもの?
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■遺伝子組換え食品とは
遺伝子組換えとは、ある生物から取り出した有用な遺伝子を他の食用となる植物などに組み込むこと
をいいます。遺伝子組換え技術を用いて作られた食品が遺伝子組換え食品です。だいずやとうもろこ
しをはじめとする遺伝子組換え食品ですが、その有用な形質の代表的なものが、除草剤に抵抗性(耐
性)を示す遺伝子を組み入れた「除草剤耐性」や、特定の害虫に対してだけ有害に作用する物質を作
り出す遺伝子を組み入れた「害虫抵抗性」などです。どちらも農薬使用の効率化や労力の軽減、収穫
量の増大などの利点をもっています。

■従来の品種改良との違い
従来の交配による品種改良でも、自然に遺伝子の組換えは起きています。
遺伝子組換え技術が従来の品種改良と異なる点は、人工的に遺伝子を組み換えるため、生物の種類に
関係なくいろいろな生物を品種改良の材料にすることができる点です。これにより、農作物などの改
良の範囲を大幅に拡大できたり、改良の期間が短縮できます。

■遺伝子組換え添加物もある
食品添加物の製造には微生物が用いられることがあります。従来用いてきた微生物に新たな性質を
付け加える遺伝子を組み入れた遺伝子組換え微生物を用いて作られる添加物を、遺伝子組換え添加
物と呼んでいます。遺伝子組換え微生物は、主として、添加物の生産性向上や品質向上の目的で利
用されています。


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2.安全性審査の流れ
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遺伝子組換え農作物の安全性評価については、
[1]生物多様性(環境)への影響
[2]食品としての安全性
[3]飼料としての安全性
について、それぞれ科学的な評価を行い、すべてについて問題のないもののみが栽培、流通される仕
組みとなっています。
このうち、食品安全委員会では、[2]食品としての安全性と[3]飼料としての安全性(のうち畜産物を
通したヒトの健康への影響)についての安全性評価を行っています。
遺伝子組換え食品や遺伝子組換え添加物の食品としての安全性については、日本では厚生労働大臣の
安全性審査が行われていないものの製造、輸入、販売などが禁止されています。遺伝子組換え食品や
遺伝子組換え添加物の安全性審査では、企業等から厚生労働省に申請が提出され、厚生労働大臣が食
品安全委員会に安全性評価を要請します。食品安全委員会では、専門家によって構成される「遺伝子
組換え食品等専門調査会」で科学的な根拠に基づいて調査審議を行います。その後国民の皆様からの
意見や情報の募集を行い、その結果を踏まえて、評価結果をとりまとめて、食品安全委員会から厚生
労働大臣に通知します。安全性に問題がないと判断された食品は、その旨厚生労働省から公表されま
す。

厚生労働省で安全性審査が終了し公表された遺伝子組換え食品としては、
[1]じゃがいも(ばれいしょ)
[2]だいず
[3]てんさい
[4]とうもろこし
[5]なたね
[6]わた
[7]アルファルファ
[8]パパイヤ
の8作物253品種、遺伝子組換え添加物としてはα-アミラーゼ(酵素)、キモシン(酵素)など7種類
16品目があります。

※安全性審査の手続を経た旨の公表がなされた遺伝子組換え食品及び添加物一覧
(厚生労働省医薬食品局食品安全部(平成25年5月2現在))
http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/dl/list.pdf


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3.安全性の評価はどのように行われる?
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■遺伝子組換え食品の評価のポイント
遺伝子組換え食品については、品目ごとに安全性の評価を行うことになっています。主に、遺伝子組
換えによって新たに付け加えられたすべての性質と、遺伝子組換えによって、他に悪影響が生じる可
能性がないかという点について、これまでに食べられてきた食品(非遺伝子組換え食品)と比較し、評
価を行います。
例えば、遺伝子組換えとうもろこしの安全性評価を行う場合は、遺伝子組換えではない、従来品種の
とうもろこしと比較し、同じように食べても問題がないかについて、食品安全委員会が策定した安全
性評価基準に基づき、様々な観点から、安全性を確認しています。
具体的な安全性評価のポイントは、
・組み込まれた遺伝子は安全か
・組み込まれた遺伝子が作り出すタンパク質に有害性はないか
・組み込まれた遺伝子が作り出すタンパク質がアレルギーを誘発する可能性はないか
・組み込まれた遺伝子が間接的に作用し、他の有害物質を作る可能性はないか
・栄養素、栄養阻害物質などの構成成分や量が大きく変化していないか
などです。

■遺伝子組換え添加物の評価は
遺伝子組換え添加物の評価も同様に、食品安全委員会が策定した安全性評価基準に基づいて、遺伝子
組換えによって新たに付け加えられたすべての性質と、遺伝子組換えによって悪影響が生じる可能性
がないかという点について、宿主(遺伝子を組み込む元々の微生物)や従来の添加物と比較して評価を
行います。

添加物は、その性質、用途、製法等が多岐にわたることから、それらを考慮した評価が必要になりま
す。例えば、添加物のうち、酵素などは、食品の製造過程で変性したり失活したりする場合が多く、
最終的には食品から除去されていることも多くあります。このため、必要に応じて、精製度や使用形
態、食品中の残存なども考慮しながら、個別に評価を行っています。製造に用いられた組換え微生物
が残っている添加物については、加えて組換え微生物について詳細な評価を行うこととなります。

■安全性評価基準など
遺伝子組換え食品の安全性評価基準などはこちらをご覧ください。
http://www.fsc.go.jp/senmon/idensi/index.html


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