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食品安全委員会e-マガジン 【読み物版】


食品安全委員会e-マガジン 【読み物版】


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 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】平成24年7月号
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 (今号の総文字数:約4,450字)

梅雨が明け、キャンプやバーベキューなど野外で活動する機会が増
えます。野外での料理は楽しいものですが気を付けないと食中毒を
起こす場合があります。
今月のe-マガジン【読み物版】では野外料理での食中毒の予防や食
べ物の安全な加熱についてまとめてみました。
また、食品安全委員会の行っているリスク評価について簡単に紹介
します。

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【 目 次 】

1. 野外料理でも食中毒に用心を

2. 食べ物の安全な加熱方法を知ろう

3. リスク評価とは

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1. 野外料理でも食中毒に用心を
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野外料理でも、食中毒に用心を!
夏はキャンプの季節、みんなで作る野外料理も楽しみですね!
でも、7月から9月は、食中毒が起こりやすい季節で、キャンプ場
で食中毒事故が起きることもあります。
そのようなことがないように、特に注意したいポイントを覚えて、
楽しい夏をすごしましょう!

★料理・食材選びは時間が決め手!

・簡単に、短時間で調理できる料理と食材を選びましょう。
 時間と手間のかかる料理は、そのぶん、菌が増えやすくなります。

★買い物はなるべく現地で!

・お肉や魚、野菜などはキャンプ場の近くで新鮮なものを買いまし
 ょう。
 買った材料は保冷のできるクーラーボックスなどで保存しましょ
 う。
 調理の前に、見た目や臭いを確かめるのを忘れないようにしまし
 ょう。

★手と調理器具はよく洗う!

・包丁やまな板、鍋や食器は必ず洗剤でよく洗い、次に使うまでし
 っかり乾かしておきましょう。
 もちろん、調理する人はよく手を洗いましょう。 

★生肉、生焼けに要注意!

・肉や魚を「生」や「生焼け」で食べるのは危険です。
 しっかり加熱しましょう。
 調理の時は、生肉と野菜のお皿を別々にしましょう。

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2.食べ物の安全な加熱方法を知ろう!
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夏から秋の暑い時期は、特に食中毒が多い季節。
でも、食中毒の原因になるほとんどの細菌やウイルスは熱に弱いの
で、食べ物をきちんと加熱することで食中毒の多くは防げます。
安全な加熱方法を知って、家やキャンプでの食事をおいしく楽しみ
ましょう。

★目安は75℃、1分以上!

食中毒を防ぐには、細菌やウイルスをやっつけることが大切。
特に肉、魚、卵、貝などは中までしっかり火が通るように加熱しま
しょう。
目安は75℃以上で1分以上です。

子どもやお年寄りほど、食中毒になりやすいから気をつけましょう。

暑さや風邪などで体が弱っている時には、特に注意しましょう。

★作り置きのカレーやシチューには注意!

作り置きのカレーやシチューなどは必ずポコポコと沸とうするまで
加熱してから食べましょう。
なるべく残さずに熱いうちに食べきりましょう。

★肉は中が茶色くなるまで!

焼肉やハンバーグは、表面がこげていても中がまだ赤かったら注意
しましょう。
中が茶色くなるまでしっかり焼きましょう。

http://www.fsc.go.jp/sonota/kids-box/kids17.pdf
http://www.fsc.go.jp/sonota/kids-box/kids23.pdf

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3. リスク評価とは
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食品の安全性を科学的に判断する。それがリスク評価です。

食品のリスク分析の第一の要素であり、国民の健康を守るための施
策の最も重要な基盤となるリスク評価(食品健康影響評価)を厚生労
働省や農林水産省、消費者庁等のリスク管理機関から独立して、食
品安全委員会が科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に実施し
ています。
ここでは、食品安全委員会がこのリスク評価をどのように行ってい
るのかを皆様に知っていただけるよう、身近な「食品添加物」でご
紹介します。

★ハザードとリスク、その違いとは?

・最初に知っておいていただきたいのはハザードとリスクの違いで
 す。ハザードとは人の健康に悪影響をもたらす可能性のある食品
 中の物質や、食品の状態のことです。リスクは、それが体に摂取
 された結果、悪影響が生じる確率とその程度、と言い換えること
 ができます。

・たとえば食塩。摂りすぎれば体に悪い、ということは皆さんもご
 存じの通りです。
 つまり食塩もハザードのひとつです。ただ、そのリスクとなると、
 摂る量によって高くなったり、低くなったりします。

・食塩などは摂りすぎたら悪影響が出る一方、不足しても低ナトリ
 ウム血症などの悪影響が出るため、ハザードだからといって食塩
 を私たちの食生活から取り除くわけにはいきません。だからこそ
 「どれほどの量を摂ればどの程度健康に悪影響を及ぼすのか」を
 科学的に判断し、悪影響を及ぼさない量を決定するリスク評価が
 重要となるのです。

★一日摂取許容量(ADI)は無毒性量の100分の1以下で設定

・では、人に悪影響を及ぼさない量をどのように見つけるのでしょ
 うか?
 どんなものでも、摂取量が多くなれば人体への影響は大きくなり、
 過剰に摂取した場合、死に至ることもあります。
 一方、人の体はよくできており、一定の量までならば、摂取して
 も代謝などにより、人体に悪影響を与えないこともあります。
 食品に含まれるハザードの場合、人に悪影響のない量を見つける
 ため、主に動物試験のデータを使用します。動物でいろいろな生
 体影響の試験を行い、それぞれの試験結果で毒性を示さない用量
 を求め、このうちで最も厳しい(低い)値[無毒性量]を求めます。
 さらに動物試験により算定された無毒性量を人に反映させるため
 や、個人差などを考慮して、通常、無毒性量の100分の1の用量
 を一日摂取許容量(ADI)とします。ADIは、人が一生にわたって毎
 日摂取し続けても健康への悪影響が無いとされる量で体重1kg当
 たりの値として「mg/kg体重/日」と表します。
 実際の食品に含まれるハザードの摂取量は、リスク管理機関が法
 律に従って定める使用基準によって、ADIをさらに下回るように
 制御されています。
 
★食品添加物の使用とリスク評価

・食品に含まれるハザードの一例として食品添加物が考えられます。
 食品添加物は、食品衛生法において「人の健康を損なうおそれの
 ない場合」として厚生労働大臣が定める(指定する)もの以外は原
 則として使用が認められません。食品添加物が使用できるように
 なるには法的な手続きにのっとって厚生労働省から食品安全委員
 会への食品健康影響評価の要請、食品安全委員会から評価結果の
 通知、厚生労働省で食品添加物の指定及び規格基準の設定が行わ
 れます。
 食品安全委員会が行うリスク評価が食品添加物の指定に対して重
 要な役割を担っていることがおわかりいただけると思います。こ
 うして食品に使用されるようになった食品添加物は、原則として
 食品への表示が義務づけられています。この表示により、消費者
 は確認や選択ができるようになっています。

●安心のために、安全の考え方の共有を

・リスク評価は、あくまでも科学的な知見に基づき客観的、公正な
 立場で行われます。

・今、私たちの食べるものは実に多種多様な食品や化学物質から成
 り立っています。そんな現実の中でリスク評価のあり方を考える
 時、大切なのは、リスクをやみくもに怖がることでもなく、かと
 いって甘く見過ぎない、という姿勢です。
 食品安全委員会では、リスクを正しく理解するという姿勢を皆様
 にも共有していただくことが、食の安全と安心について、一緒に
 考えていただくうえで、とても重要だと考えています。

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(参考)食品添加物とは
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食品添加物は、食品の製造過程において着色、保存等の目的で食品
に加えられるものであり、原則として、「ヒトの健康を損なうおそ
れのない場合」として厚生労働大臣が指定するもの以外は使用が認
められていません。

★食品添加物は、用途別で次のように分けることができます。

1.食品の品質を保つもの(保存料、殺菌料、酸化防止剤など)。

2.食品の色(着色料、漂白剤など)や、味(甘味料、酸味料など)、
 香り(香料)などの向上を目的としたもの。

3.食品を製造又は加工するときに必要なもの(豆腐の凝固剤、乳
化剤、抽出のための溶剤など)。

4.食品の栄養成分を補うために必要なもの(ビタミン、ミネラル、
 アミノ酸)。

・新しく指定される食品添加物については、食品安全委員会が一日
 摂取許容量(ADI)を設定するなどのリスク評価を行い、その結果
 に基づいて厚生労働省が食品添加物を指定し、規格基準※を設定
 しています。

・また、現在使われている食品添加物には、このような厚生労働大
 臣により指定されたもののほかに、長年の食経験などから判断し
 て認められているもの(既存添加物)もありますが、これらについ
 ては、厚生労働省において規格基準の設定や安全性試験が継続し
 て行われています。

 ※食品の安全性を確保するため、食品添加物の成分規格、製造基
準、使用基準、保存基準及び表示基準を設定しています。

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