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食品安全委員会e-マガジン 【読み物版】


食品安全委員会e-マガジン 【読み物版】


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 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】平成24年4月号
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               (今号の総文字数:約4,320字)
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┃はじめに ┃
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みなさまから寄せられたe-マガジンへのアンケート結果からご要望
の多かった実生活に役立つ情報、安全性の解説、Q&Aなど、月末
(最終金曜日)に読み物を主にしたe-マガジン【読み物版】として
を新たに配信します。

昨年4月から5月にかけて起こった「食肉の生食」に由来する食中毒
事件のあとも、牛生レバー等、食肉の生食に関係すると思われる食
中毒が発生しています。
今月には、厚生労働省からの「牛肝臓に係る規格基準の設定につい
て」リスク評価の依頼が、4月12日の委員会において「人の健康に
及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるとき」に該当するもの
として、あらためて評価は行わないとされたことはe-マガジン第
278号でお伝えしたとおりです。

今回のe-マガジンで【読み物版】は、食中毒の季節をひかえ、注目
を集めている食肉の生食のリスクに関するものを集めてみました。

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【 目 次 】

1. 牛肝臓に関する委員長発言(食品安全はインフォームドチョイ
スで)
2. お肉は生で食べないで
3. 腸管出血性大腸菌Q&A

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1. 食品安全はインフォームドチョイスで
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■第427回食品安全委員会(平成24年4月12日)における小泉委員長
発言

これまで食品安全委員会は、厚生労働省、農林水産省とともに、
「食品にはゼロリスクはない」という普及啓発を進めてきました。
やっとこの意味が国民に浸透し始めてきたと感じており、今回の生
レバーについても、「リスクはゼロでない」という認識を持って注
意して食していた消費者も多くおられたと思います。しかし、残念
ながら、様々な食品において、食中毒菌による食中毒は現在も度々
発生しており、患者が発生することが殆どない汚染化学物質や農薬
等と比較して、国民の健康保護の観点から考えれば、現実に起こっ
ている健康被害を食い止めるには、さらなる情報提供等の対応が必
要と思います。

そのために、「informed choice」という言葉を今までも色々なと
ころでご紹介してきたのですが、この機会に改めてご紹介したいと
思います。医療の現場における「informed consent」という言葉も
ありますが、食品については「informed choice」すなわち「納得
した上での選択」が重要です。

「informed」、つまり「納得」のためには、情報提供が重要で、こ
れまでも取り組んできましたが、もっと積極的により有効な方策を
工夫していきたいと思います。一方で、消費者は食品を自らの判断
で安全なものを選び、美味しく食べるという権利を有しています。
この「choice」の能力を高めるために、食育等に力を入れてきまし
たが、今後も消費者庁とも連携して、賢く選ぶことができるように、
今まで以上に丁寧なリスクコミュニケーションに努めたいと思いま
す。

また、食品安全基本法にもあるとおり、国、地方公共団体、事業者、
消費者、それぞれが、食品の安全性確保のための役割を果たしてい
くことが重要と考えています。

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2.お肉は生では、食べないで!(キッズボックス)
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どんな季節でも、焼き肉やバーベキューは楽しいものです。
でも、食中毒を起こしたらたいへん!
お肉を食べるときには、よく注意して、安全に、おいしく食べてく
ださいね!
  
★どうして、生では食べちゃだめ?

動物の生のお肉には、食中毒の原因になる細菌(※)がついている
ことがあるからです。
こうした細菌の多くは、動物の腸の中にいることがあり、このよう
な菌は熱に弱いので、加熱すれば大丈夫ですが、生で食べると食中
毒が起きる可能性があります。
※過去の食中毒で食肉が原因となったものには、腸管出血性大腸菌
(O157、O111)、カンピロバクター、サルモネラなどがあります。

★食中毒になると、どうなるの?

お腹が痛くなる、吐く、下痢をする、熱が出るなどの症状が出ます。
時には命にかかわることもあります。
特に、子どもやお年寄り、病気で体が弱っている人などは、食中毒
の症状が重くなりやすいので、気をつけなければいけません。

★どうすれば、食中毒を防ぐことができるの?

お肉は生ではなく、よく加熱してから食べることがたいせつ。
お肉や内臓(レバーなど)は、焼いたり煮たりするなど、中心部ま
でしっかり加熱して食べましょう。加熱する目安は、75℃以上の熱
で1分以上です。

★ほかに気を付けることは?

生のお肉についているかもしれない細菌が、口に入らないようにす
ることがだいじです。そのために、こんなことに気をつけましょう。
・生のお肉にさわったら、よく手を洗う!
・生のお肉をはさんだおはしやトングは、食べる時には使わない!
・生のお肉を切った包丁やまな板は、しっかり洗う!

http://www.fsc.go.jp/sonota/kids-box/kids27.pdf

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3.腸管出血性大腸菌Q&A
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★腸管出血性大腸菌による食中毒は?

本食中毒は、赤痢菌の毒素と類似の毒素を産生する大腸菌による食
中毒です。腹痛、出血を伴う水様性の下痢などを発症します。重症
化し、死に至ることもあります。
腸管出血性大腸菌は血清型によりさらにいくつかに分類され、本食
中毒の原因となっているものは、血清型O157がほとんどですが、こ
の他にO26、O111、0128及びO145などがあります。

★過去の腸管出血性大腸菌による食中毒の発生は?

腸管出血性大腸菌による食中毒事例については、国内では、焼肉店
などの飲食店や、食肉販売業者が提供した食肉を、生や加熱不足で
食べて感染する事例が多くなっています。
腸管出血性大腸菌に汚染された食品が広域に流通していたために、
複数の自治体で患者が発生する事例もみられます。
海外では、肉類の他、生鮮野菜を食べて感染した事例も発生してい
ます。
米国で発生した生のホウレンソウによる食中毒事例では、複数の州
で患者が発生し、 アメリカ食品医薬品局(FDA)では、感染原因と
なったホウレンソウの回収や生のホウレンソウの摂取を避ける旨の
勧告を行いました。
なお、本事例における ホウレンソウの汚染原因として、菌を持つ
イノシシが農場に入り、農場を汚染したことが推測されています。

★腸管出血性大腸菌による食中毒の発生は何件くらい?

平成16年以降の腸管出血性大腸菌による食中毒の発生状況は次のと
おりです(厚生労働省食中毒統計)
     発生件数 患者数
  16年 18     70
  17年 24    105
  18年 24    179
  19年 25    928
  20年 17    115
  21年 26    181
  22年 27    358
  
★腸管出血性大腸菌の食中毒は発生の時期は?

一般に、気温が高い初夏から初秋にかけて多発します。この時期は、
食中毒菌が増えるのに適した気温であり、これに人の体力の低下や
食品などの不衛生な取扱いなどの条件が重なることにより発生しや
すくなると考えられます。

★家庭で腸管出血性大腸菌食中毒を防ぐためには?

・腸管出血性大腸菌はサルモネラや腸炎ビブリオなどの食中毒菌と
同様、加熱や消毒薬により死滅します。

・通常の食中毒対策を確実に実施することで十分に予防可能です。

・家庭でできる食中毒予防の6つのポイントを確実に実行します。
 (ア)食品の購入(新鮮な物、消費期限を確認して購入する等)
 (イ)家庭での保存(持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に保存
    する等)
 (ウ)下調理(手を洗う、きれいな調理器具を使う等)
 (エ)調理(手を洗う、十分に加熱する(75℃、1分以上)等)
 (オ)食事(手を洗う、室温に長く放置しない等)
 (カ)残った食品(きれいな器具容器で保存する、再加熱する等)

★バーベキューや焼き肉による食中毒を防ぐためには?

・食肉は、購入から調理までの間、細菌が増殖しないよう低温保存
(10℃以下)に努めること

・レバーなどの内臓や食肉などを加熱不十分な状態や生で食べない
 こと

・腸管出血性大腸菌(O157)などの細菌は加熱すると死滅するので、
 食肉や内臓などを調理する際には、中心部まで十分に加熱すること
 (75℃、1分以上)

・食中毒にかかった場合には、特に乳幼児やお年寄りは、死亡した
り重い症状になることがあるので、周りの方も含め注意すること

・生肉にさわったら手をよく洗うこと

・生肉を扱ったトング、箸などは、焼き上がった肉やサラダなどを
 食べるときは使わないこと
 ※食べるときの箸は生肉には使わないこと

<参考資料リンク先>
http://www.fsc.go.jp/sonota/tyoukan-shokuchu.html


【訂正とお詫び】
食品安全委員会e-マガジン第280号(平成24年4月27日)につきまして、
一部、以下のとおり訂正をさせていただきます。
申し訳ありませんでした。

【 目 次 】
★評価結果の通知
(誤)
【遺伝子:GLU-No.5株を利用して生産されたL-グルタミン酸ナト
リウム、除草剤グリホサート誘発性雄性不稔及び除草剤グリホサー
ト耐性トウモロコシMON87427系統、チョウ目害虫抵抗性ワタCOT67B
系統、チョウ目害虫抵抗性ワタCOT102系統】
又は
【遺伝子:GLU-No.5株を利用して生産されたL-グルタミン酸ナトリ
ウム、他3品目】
(正)
【遺伝子:GLU-No.5株を利用して生産されたL-グルタミン酸ナトリ
ウム、他3品目】

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1.食品安全委員会などの開催結果   
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(3)農薬専門調査会における審議結果について
【審議結果の報告と意見・情報の募集】
・「フェンピラザミン」
(誤)
・取りまとめられた評価書(案)について、一部修正の上、意見・
情報の募集手続に入ることが了承された。
(正)
・取りまとめられた評価書(案)について、内容の一部を確認の上、
意見・情報の募集手続に入ることが了承された。

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