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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】 動物用の薬 その2 (2013.3.29)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】動物用の薬 その2 (2013.3.29)

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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[動物用の薬 その2] 平成25年3月29日配信 
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前回(3月21日配信)のe-マガジン【読み物版】では、動物用の薬についてお届けしました。
今号では、動物用医薬品や飼料などに関するQ&A及び動物用医薬品専門調査会 山手座長の随想を
お送りします。

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1. 動物用医薬品及び飼料などのQ&A
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(Q1)
家畜が食べる飼料についてもリスク評価が行われているのですか。

(A1)
食品安全委員会では、家畜などに与える動物用医薬品、飼料や飼料添加物に含まれている成分が残留
した食肉、牛乳・乳製品などを通じて人の健康に影響を与えるリスクを評価しています。動物用医薬
品、飼料添加物は農林水産省によって承認や指定が行われていますが、新たな承認、指定や規格の設
定・改正・廃止などを行う際、あるいは食品衛生法に基づく残留基準を設定する際などには、リスク
評価を行うことになっています。

評価は動物実験に基づく毒性学的データや家畜の飼養試験の結果などをもとに行います。評価の内容
は物質の性質などによって異なりますが、基本的には一日摂取許容量(ADI)を設定します。
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(Q2)
外国産の養殖魚などに与える飼料についても評価しているのですか。

(A2)
養殖の魚介類の飼料に添加して用いられる飼料添加物や動物用医薬品は、国内だけでなく、海外で使
用される物質についても、食品中の残留基準の設定を行うために厚生労働省からの要請を受けてリス
ク評価を行っています。

評価は国内で使用される動物用医薬品などと同様に、毒性学的データをもとにしています。その結果
をもとに残留基準が定められます。これを超えるような動物用医薬品などが残留している水産食品な
どは、販売禁止などの措置がとられます。
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(Q3)
一日摂取許容量(ADI)とは、どういうものですか。

(A3)
人が一生にわたって毎日摂取し続けても健康に影響がでないと考えられる量です。
通常、無毒性量(NOAEL(動物実験などで毒性が認められなかった量で最も小さい値))の100分の1と
されており、体重1kg当たりの一日摂取量として「○○mg/kg体重/日」などで表します。


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2.「専門調査会委員の随想 」(動物用医薬品専門調査会座長山手丈至)
[大阪府立大学生命環境科学研究科獣医病理学教室]
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-「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて 寝かす仕合せ」河野裕子第5歌
集「紅」(ながらみ書房1991年)-

 動物由来のたんぱく質(肉や卵など)は、私たちの日々の健康を支え、ひいては人類の生命活動・
維持に貢献しているといえます。優れた栄養源として、安全で、安定した動物由来たんぱく質を供
給することは国の施策として当然重要になります。
動物用医薬品とは、「専ら動物のために使用されることが目的とされている医薬品」と定義されて
います。すなわち、家畜(牛、馬、豚、鶏など)や養殖魚などの病気の治療や予防、健康維持のため
に使用される医薬品のことで、動物由来たんぱく質の生産性を高める上では重要なものといえます。
作用別に、抗生物質、寄生虫用駆除剤、ホルモン剤、ワクチン等があります。このような動物用医
薬品に含まれる化学物質は、食品中に含まれた場合、ヒトの健康に危害を与える要因となる可能性
があります。
「動物用医薬品専門調査会」では、動物用医薬品に含まれる化学物質について食品を介してヒトが
どの程度の量を摂取すると、どのくらいの確率でどのくらい深刻に健康への悪影響が起こるか、
つまり、動物用医薬品の食品を介したヒトへの「健康影響」(安全性の担保)を科学的見地から評価
しています。この「ヒトへの健康影響評価」は、食品(食肉)流通のグローバリゼーション化に伴う、
いわゆる国際的ハーモナイゼーションを進める上でも重要と思います。
昨年の8月から「動物用医薬品専門調査会」の座長を拝命しました。文頭に記載しました短歌にあ
るように、「親としては、子には安全な食品を満足するほど食べさせたい」、広い意味では「国を
司るものは、食を通じて、子である国民の健康に責任を負うべきである」。座長としての使命と責
任を痛感しているところです。


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