薬剤耐性菌に関する用語集

用語

抗生物質 Antibiotics

 ペニシリンのように真菌等の微生物により生産され、細菌等の微生物の代謝又は増殖機構に選択的に作用し、その発育・増殖を阻止する物質である。なお、同様の作用を有するもので、サルファ剤のように化学的に合成された物質を合成抗菌剤という。

抗菌性物質 Antimicrobial

 細菌を始めとする微生物に対して抗菌活性(殺菌作用、静菌作用等)を示す化学物質で、抗生物質及び合成抗菌剤をいう。

薬剤耐性: Antimicrobial Resistance (AMR)

 細菌等による感染症に対し、抗菌剤が無効になる、又は、製剤による効果が減弱する事象を指す。

薬剤耐性菌:

 薬剤耐性を示す細菌を指す。

薬剤耐性遺伝子: Antimicrobial-resistant genes (ARGs)

 薬剤耐性菌において、薬剤耐性を惹起する染色体上又はプラスミド(核外環状DNA)上の遺伝子及び遺伝子群を指す。

ワンヘルス・アプローチ: One Health Approach

 ヒト、動物、環境等の複雑な相互作用によって生じる感染症の対策に、公衆衛生部門、動物衛生部門、環境衛生(保全)部門等の関係者が連携し、一体となって対応しようとする概念を指す。薬剤耐性対策においては、抗菌薬等の抗微生物薬は、医療、介護、獣医療、畜水産、農業などの現場で使用され、それらの使用により選択された薬剤耐性微生物や薬剤耐性の原因となる遺伝子が、食品や環境などを介してヒトへ伝播することが指摘されており、こうした分野で一体となり取り組みを進める必要性が指摘されている。

動向調査(サーベイランス): Surveillance

 問題の実態を把握するために定期的に調査を行い、動向を把握したり変化を検出すること。

監視(モニタリング): Monitoring

 矯正的措置をとる必要があるかどうかを決定するために、定期的に調査を行うこと。

動物由来薬剤耐性菌モニタリング(JVARM)

 農林水産省による畜水産における薬剤耐性及び動物用抗菌剤の販売量のモニタリング体制。各都道府県、独立行政法人農林水産消費安全技術センター及び水産試験場等と連携協力し、動物医薬品検査所が基幹ラボとして実施。サーベイランス/モニタリング結果について日本語で毎年、英語で数年毎に報告書が一般公開されている。

 動物由来薬剤耐性菌モニタリング(JVARM)(外部サイト)別ウインドウで開きます(外部サイト)

動物用医薬品 Veterinary Medicinal Product

 家畜や養殖魚等の病気の治療や予防のために使用される医薬品のことで、作用別に、抗生物質、合成抗菌剤、寄生虫駆除剤、ホルモン剤、ワクチン等に分けられる。畜水産食料の生産に重要な役割を果たしている。食品安全委員会はリスク評価において、ヒトの健康を損なうおそれのない量(一日許容摂取量(ADI)等)を設定し、リスク管理機関である厚生労働省が食品中の残留基準を設定する。残留基準を超えた動物用医薬品が検出された食品は、販売等が禁止される。また、農林水産省が残留基準を担保するための出荷前の動物用医薬品の使用禁止期間等を定めている。

飼料添加物 Feed Additive

 家畜や養殖魚用飼料の安全性確保と品質維持のため、1)飼料の品質低下を防止する(防かび剤、抗酸化剤、乳化剤等)、2)飼料の栄養成分や有効成分を補給する(ビタミン、ミネラル、アミノ酸等)、3)飼料に含まれる栄養成分の家畜への有効利用を促進する(抗生物質、合成抗菌剤、酵素、生菌剤等)ことを目的として用いられる物質。農林水産大臣により156品目が指定されている(平成26年2月現在)。畜水産食料の生産に重要な役割を果たしており、ヒトの健康を損なうおそれのないよう食品安全委員会でリスク評価が実施されている。また、農林水産省はヒトに有害な畜産物が生産されることを防止するため、飼料添加物について、製造、使用、保存方法、表示の基準や成分規格を定めており、これに適合しないものは飼料に添加できない。

食の安全性に関する用語集

食品安全全般に関して、行政、消費者、食品産業関係者、研究者等の皆さんが、これらの情報を理解する際に役立つよう、基本的な用語について説明しています。

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薬剤耐性(AMR)アクションプラン

68ページの参考資料に、薬剤耐性に関する用語の解説があります。

 薬剤耐性(AMR)アクションプラン(本体)(外部サイト)[PDF:1,320KB]別ウインドウで外部サイトが開きます