アレルゲンを含む食品(卵)に係るQ&A

令和3(2021)年6月8日作成

Q&A掲載内容の一覧

※ 本Q&Aでは、食物アレルギー表示制度における特定原材料の卵を「卵」と記載しています(詳しくはQ4をご覧ください。)。

Q1なぜ食品安全委員会は「アレルゲンを含む食品」のリスク評価をしたのですか。

Q2リスク評価で検証する「食物アレルギー表示制度」とはどのようなものですか。

Q3食物アレルギー表示制度の妥当性を「科学的に検証する」とは、具体的にどのようなことですか。

Q4今回の評価対象食品は、なぜ「卵」なのですか。また、鶏卵以外の「卵」も評価対象ですか。

Q5今後「卵」以外の評価は行われますか。

Q6「卵」のリスク評価の対象はどのような人ですか。国民全体を対象とするのですか。

Q7国内で「卵」アレルギーをもつ人の割合はどれくらいですか。

Q8「卵」アレルギーの症状に特徴はありますか。

Q9鶏卵でアレルギー症状を起こすのは、卵白と卵黄のどちらですか。

Q10ゆで卵や卵焼きなど鶏卵を加熱調理したものは、アレルギー症状を引き起こしにくいのですか。冷凍はどうですか。

Q11鶏卵アレルギーの人は、うずらの卵やあひるの卵など、その他の卵でもアレルギーを発症するのですか。魚卵はどうですか。

Q12鶏卵アレルギーの人が発症しやすい「卵」以外の食物アレルギーはありますか。

Q13鶏卵アレルギー患者は、「卵」をどれくらい食べるとアレルギー症状が出現するのですか。

Q14「卵」表示のない加工食品を選んで食べている「卵」アレルギー患者でも、知らないうちに「卵」を含んだ加工食品を食べてアレルギー症状が出ることはありますか。

Q15鶏卵アレルギーがある子どもをもつ母親です。「卵」の表示がない加工食品やお菓子なら、子どもに食べさせても大丈夫でしょうか。

Q16今回の「卵」のリスク評価では、現在の食物アレルギー表示制度は、どのように判断されたのですか。

Q17評価結果は、「卵」について、「現在の食物アレルギー表示制度は、おおむね妥当」ということですが、「おおむね」とはどういう意味ですか。妥当でない部分はどこですか。

リンク

 一般的な食物アレルギーに関する情報や食物アレルギー表示制度については、以下をご覧ください。

・アレルギーポータルサイト

アレルギーについて 食物アレルギー別ウインドウで開きます(外部サイト)
(厚生労働省の補助事業として一般社団法人日本アレルギー学会が運営するサイト。一般的な食物アレルギーに関する情報の検索や対策方法、医療機関の情報などを提供)

・消費者庁

食物アレルギー表示に関する情報別ウインドウで開きます(外部サイト)
(食物アレルギー表示制度について)

Q&A

Q1:なぜ食品安全委員会は「アレルゲンを含む食品」のリスク評価をしたのですか。

A1:平成27年にアレルギー疾患対策基本法(平成26年法律第98号)が施行され、第15条で国が生活環境の改善を図るための措置を講ずることが定められました。これを踏まえて、食品安全委員会は、食物アレルギー疾患を有する者に係る食品安全の確保のため、「アレルゲンを含む食品」に関する食品の表示等について、科学的な検証を行うこととし、第600回食品安全委員会(平成28年3月29日開催)において自ら評価の対象として決定しました。

  • 食品安全委員会は、食品の安全性を確保するため、科学的見地から、食品に含まれる可能性のある様々な物質や微生物などの危害要因を摂取することが人の健康に与える影響についてのリスク評価(食品健康影響評価)を行っています。食品安全委員会が行うリスク評価には、新たな食品添加物や農薬を登録する場合などに厚生労働省、農林水産省などのリスク管理機関からの要請により行う評価のほか、リスク評価の対象案件を自ら選定して行う評価(自ら評価)があります。

 

Q2:リスク評価で検証する「食物アレルギー表示制度」とはどのようなものですか。

A2:「食物アレルギー表示制度」は、特定原材料を含む加工食品、特定原材料由来の添加物を含む生鮮食品の一部及び特定原材料に由来する添加物について表示を求める制度です。

  • 食物アレルギーの重篤度・症例数の多い7品目については、食品表示基準で表示を義務付けし、過去に一定の頻度で健康危害が見られた21品目については通知※1 により表示を推奨しています。
  • この制度は、食品表示法(平成25年法律第70号)に基づく食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)によって規定されています。

※1 消費者庁通知「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号)

特定原材料 7品目
(表示義務があるもの)
えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
特定原材料に準ずるもの 21品目
(表示が推奨されるもの)
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
2021年6月現在
消費者庁ウェブサイト「食物アレルギー表示に関する情報」より作成

 

Q3:食物アレルギー表示制度の妥当性を「科学的に検証する」とは、具体的にどのようなことですか。

A3:検証する対象食品を「卵」とし、食品安全委員会が実施する食品安全確保総合調査等において、食用鳥卵全般によるアレルギーに関する国内外の科学的な研究論文、諸外国機関等の評価書等を収集しました。これらの知見を活用し、鶏卵アレルギーの有病割合、自然経過及び誘発症状、アレルゲン性、摂取量等に関する情報を整理し、鶏卵アレルギーの実態を把握した上で、食品健康影響評価を実施しました。

  • 「卵」のリスク評価に関する調査審議は、平成29年10月に設置されたアレルゲンを含む食品に関するワーキンググループにおいて行われました。

 

Q4:今回の評価対象食品は、なぜ「卵」なのですか。また、鶏卵以外の「卵」も評価対象ですか。

A4:表示対象となっている複数の品目(Q2参照)の中でも、科学的知見の量や質が品目によって異なることから、国内における患者数が多く、検討当初、科学的知見が豊富であると思われた「卵」を対象としました。本評価では鶏卵以外の「卵」も評価対象としています。

  • 食品表示基準において定められている特定原材料の「卵」の範囲は、食用鳥卵全般(食用鳥卵(鶏卵、あひるの卵、うずらの卵、その他の食用鳥卵)、鶏卵の加工製品、その他の加工卵製品)とされています。一方、本評価に当たって収集された食用鳥卵によるアレルギーの科学的知見のほとんどが鶏卵に関するものであり、また、我が国で消費される食用鳥卵のほとんどが鶏卵でした。そこで、特定原材料としての表示の対象は「卵」ですが、入手した科学的知見に基づき鶏卵によるアレルギーに関する知見を整理し、必要に応じて鶏卵以外の食用鳥卵に係る知見も踏まえて、「卵」の食品健康影響評価を実施しました。
  • 詳しくは、評価書「アレルゲンを含む食品 卵[PDF形式:3,310KB]別ウインドウで開きます」の「II.評価対象の範囲」の「1.評価対象物質」を参照してください。

 

Q5:今後「卵」以外の評価は行われますか。

A5:「卵」以外の品目については、これまでに収集した情報を取りまとめて公表することを予定しています 。

  • アレルゲンを含む食品に関する評価では、アレルゲンのうち、国内における患者数が多く、検討当初、科学的知見が豊富であると思われた「卵」を評価の対象としました。しかしながら、「卵」においても、現段階では科学的な評価を行うために十分な科学的知見が整った状況ではないことが明らかになりました。
  • 「卵」以外の品目についても情報収集を行いましたが、精緻な食品健康影響評価をするための科学的知見がまだ十分ではないと考えられました。
  • 今後も、科学的知見の集積に努め、食品健康影響評価を行うために必要な新たな科学的知見が得られた場合には、食品健康影響評価実施の必要性について検討いたします。

 

Q6:「卵」のリスク評価の対象はどのような人ですか。国民全体を対象とするのですか。

A6:今回の「卵」のリスク評価における対象は、食品表示法における表示対象食品の選定の考え方(Q2参照)に鑑み、国民全体ではなく、「卵」に対するアレルギー症状を発症したことのある患者集団になります。

 

Q7:国内で「卵」アレルギーをもつ人の割合はどれくらいですか。

A7:真の鶏卵アレルギーの有病割合を把握することは困難でした。現時点における科学的知見を踏まえると、我が国の鶏卵アレルギー有病割合は、乳幼児で最大10 %弱、学齢期でおよそ0.3〜2 %、成人では子どもより低い値であるといえます。

  • 食物アレルギーの有病割合に関する調査は、全国規模の調査が少なく、また、調査の目的に応じて調査対象集団や調査項目、判断基準等が異なっているため、調査結果に差が生じます。
  • 詳しくは、評価書「アレルゲンを含む食品 卵[PDF形式:3,310KB]別ウインドウで開きます」の「IV.食品健康影響評価」の「2.有病割合及び自然経過」を参照してください。

 

Q8:「卵」アレルギーの症状に特徴はありますか。

A8:「卵」アレルギー患者では、皮膚症状及び消化器症状が高頻度で認められました。
また、食物アレルギーの特殊型として知られている食物依存性運動誘発アナフィラキシーについては、鶏卵での報告数は少なく、鶏卵では起こりにくいことが示唆されています。

  • 鶏卵を用いた食物経口負荷試験による誘発症状と、即時型症状で受診した食物アレルギー患者を対象とした調査で報告されている「卵」による誘発症状の傾向はやや異なります。
  • 詳しくは、評価書「アレルゲンを含む食品 卵[PDF形式:3,310KB]別ウインドウで開きます」の「IV.食品健康影響評価」の「3.誘発症状」を参照してください。

 

Q9:鶏卵でアレルギー症状を起こすのは、卵白と卵黄のどちらですか。

A9:アレルギー症状を起こすのは主に卵白であるといえますが、卵黄によりアレルギー症状が誘発される方もいます。

  • 国際機関WHO/International Union of Immunological Societies(IUIS)のデータベースには、鶏卵に含まれるアレルゲン性(アレルギー症状を誘発する能力)を有するタンパク質(アレルゲンコンポーネント)として、6種類が登録されています。主要なアレルゲンコンポーネントとしては、卵白ではオボムコイド、オボアルブミン、リゾチームが、卵黄ではα-リベチンが知られています。
  • 鶏卵アレルギー患者では、卵白タンパク質と結合している免疫グロブリンE(IgE)が検出され、卵白に含まれるタンパク質によりアレルギー反応が誘発されていることが示されています。また、卵黄によりアレルギー反応が誘発されることも報告されていますが、卵白と卵黄の明確な分離が困難であることから、卵黄摂取で症状が誘発された症例のほとんどは混入した卵白によるものとしている報告もあります。
  • 詳しくは、評価書「アレルゲンを含む食品 卵[PDF形式:3,310KB]別ウインドウで開きます」の「IV.食品健康影響評価」の「4.鶏卵のアレルゲン性」を参照してください。

 

Q10:ゆで卵や卵焼きなど鶏卵を加熱調理したものは、アレルギー症状を引き起こしにくいのですか。冷凍はどうですか。

A10:鶏卵は加熱処理によってアレルゲン性は低下するといえますが、その低下の程度は加熱条件で異なります。また、加熱した場合に無症状で摂取できるかどうかは、鶏卵アレルギー患者側の要因もあります。
冷凍による鶏卵のアレルゲン性の変化に関する報告は、今回の評価の際に収集した情報には含まれていませんでしたが、食物経口負荷試験においては、凍結乾燥卵白を生卵白として使用しており、凍結乾燥によるアレルゲン性の低下はないと推測されます。

  • 卵白の主要アレルゲンコンポーネントのうちオボムコイドは熱安定性が高いですが、オボアルブミンやリゾチームなどのオボムコイド以外の成分はオボムコイドに比べて熱安定性は低いとされています。
  • オボムコイド特異的IgE抗体価が高値の患者は、加熱鶏卵でもアレルギー症状が出現する可能性が高い傾向にありますが、オボムコイド特異的IgE抗体価が低値の患者は、鶏卵を加熱することによりアレルギー症状を呈しにくくなります。
  • 詳しくは、評価書「アレルゲンを含む食品 卵[PDF形式:3,310KB]別ウインドウで開きます」の「IV.食品健康影響評価」の「4.鶏卵のアレルゲン性」を参照してください。

 

Q11:鶏卵アレルギーの人は、うずらの卵やあひるの卵など、その他の卵でもアレルギーを発症するのですか。魚卵はどうですか。

A11:臨床事例では、鶏卵アレルギー患者が他の鳥類卵の摂取でアレルギー反応が誘発されたとする報告は、うずらの卵の摂取によるアナフィラキシーが報告されているのみでした。一方で、鶏卵アレルギーがなくても、うずら、あひる、かもの卵白アレルギーを示す症例も報告されています。
また、魚卵については、いくらと鶏卵の両方にアレルギー症状を示す患者が報告されていますが、これは交差反応(鶏卵に結合する抗体が魚卵に結合すること)ではなく、いくらと鶏卵それぞれに対するアレルギーがあった結果であると考えられています。

  • ニワトリ卵白に結合する抗体は、実験では七面鳥、がちょう、あひる、かも及びかもめの卵白とも結合することがあります(これを、交差反応といいます)。
  • 食物アレルギーの症状の誘発は個人差が大きいため、鶏卵アレルギーに限らず、食物アレルギーをもつ方は、食べてよいもの/食べてはいけないものなどについて、必ず医師の指示に従ってください。
  • 詳しくは、評価書「アレルゲンを含む食品 卵[PDF形式:3,310KB]別ウインドウで開きます」の「IV.食品健康影響評価」の「4.鶏卵のアレルゲン性」を参照してください。

 

Q12:鶏卵アレルギーの人が発症しやすい「卵」以外の食物アレルギーはありますか。

A12:鶏卵と牛乳等の複数の食品に対するアレルギーをもつ事例が報告されています。しかし、今回の評価において確認した限りにおいては、鶏卵アレルギーの人が発症しやすい「卵」以外の食品が存在するという報告として明らかなものはありませんでした。

  • 食物アレルギーの症状の誘発は個人差が大きいため、鶏卵アレルギーに限らず、食物アレルギーをもつ方は、食べてよいもの/食べてはいけないものなどについて、必ず医師の指示に従ってください。
  • 詳しくは、評価書「アレルゲンを含む食品 卵[PDF形式:3,310KB]別ウインドウで開きます」の別添「食品健康影響評価に当たり参照した知見」の「II.鶏卵アレルギーに関する知見の概要」の「5.アレルゲン性」の「(3)交差反応性」を参照してください。

 

Q13:鶏卵アレルギー患者は、「卵」をどれくらい食べるとアレルギー症状が出現するのですか。

A13:鶏卵によりアレルギー症状が誘発される摂取量は幅広く分布しており、アレルギー症状が誘発される鶏卵タンパク質の量は、鶏卵アレルギー患者によって大きく異なっています。また、症状が誘発される摂取量は、アレルギー患者の体調によっても変わることが分かっています。

  • 我が国の鶏卵アレルギー患者では、食物経口負荷試験により鶏卵タンパク質量として数gを超えた量を摂取して初めてアレルギー症状が誘発される患者が認められている一方、数μgでアレルギー症状が誘発される方がいることが確認されています。この鶏卵タンパク質量を鶏卵の個数として表すと、鶏卵タンパク質量として数gは2/3〜1個程度になり、鶏卵タンパク質量として数μgは100万分の1個程度になります。
  • 詳しくは、評価書「アレルゲンを含む食品 卵[PDF形式:3,310KB]別ウインドウで開きます」の「IV.食品健康影響評価」の「7.アレルギー症状誘発量の推定」を参照してください。

 

Q14:「卵」表示のない加工食品を選んで食べている「卵」アレルギー患者でも、知らないうちに「卵」を含んだ加工食品を食べてアレルギー症状が出ることはありますか。

A14:アレルギー症状の誘発量は、アレルギー患者の体調によっても変わることが分かっています。そのため、「卵」表示のない加工食品を選んで食べている「卵」アレルギー患者でも、体調次第では、通常食べられる加工食品を食べてアレルギー症状が出る可能性があります。
鶏卵アレルギーに限らず、食物アレルギーをもつ方は、食べてよいもの/食べてはいけないものなどについて、必ず医師の指示に従ってください。

 

Q15:鶏卵アレルギーがある子どもをもつ母親です。「卵」の表示がない加工食品やお菓子なら、子どもに食べさせても大丈夫でしょうか。

A15:アレルギー症状が誘発される「卵」タンパク質量には個人差があり、体調によっても、症状を誘発する摂取量は変わります。そのため、鶏卵アレルギーに限らず、食物アレルギーをもつ方は、食べてよいもの/食べてはいけないものなどについて、必ず医師の指示に従ってください。

  • 今回の評価では、流通する「卵」の表示がない加工食品の「卵」タンパク質含有量は、低いレベルに抑えられていることが示唆されました。ただし、最終製品における個々の特定原材料等の総タンパク質量が数μg/g含有レベルに満たない場合は、アレルギー症状を誘発する可能性が極めて低いため、表示が免除されています。そのため、「卵」の表示のない加工食品によっては、ごく微量の「卵」タンパク質が含まれている可能性があります。
  • 詳しくは、評価書「アレルゲンを含む食品 卵[PDF形式:3,310KB]別ウインドウで開きます」の「IV.食品健康影響評価」の「8.まとめ及び今後の課題」を参照してください。

 

Q16:今回の「卵」のリスク評価では、現在の食物アレルギー表示制度は、どのように判断されたのですか。

A16:現在の食物アレルギー表示制度があることにより、おおむね鶏卵アレルギー患者において、表示義務対象の加工食品ではアレルギー症状が誘発されないと判断されました。
したがって、現在の食物アレルギー表示制度は、「卵」についてはおおむね妥当であると判断しています。

  • アレルギー症状の誘発には個人差があり、個人レベルでみると数μgという微量の鶏卵タンパク質によりアレルギー症状が誘発されることもあります。そのため、鶏卵アレルギーに限らず食物アレルギー患者は医師の指示の下に加工食品を摂取する必要があります。
  • 詳しくは、評価書「アレルゲンを含む食品 卵[PDF形式:3,310KB]別ウインドウで開きます」の「IV.食品健康影響評価」の「8.まとめ及び今後の課題」を参照してください。

 

Q17:評価結果は、「卵」について、「現在の食物アレルギー表示制度は、おおむね妥当」ということですが、「おおむね」とはどういう意味ですか。妥当でない部分はどこですか。

A17:評価結果では、定性的な表現になりますが、表示制度があることにより、おおむねの、つまり、大半の「卵」アレルギー患者において、義務表示対象の加工食品では「卵」によるアレルギー症状が誘発されないという点で、制度としては「おおむね妥当」と判断しました。
一方で、極めて微量の「卵」でアレルギー症状が誘発されるアレルギー患者がいることや、アレルギー症状の誘発量がアレルギー患者の体調によっても変わることが分かっています。そのため、「卵」表示のない加工食品を選んで食べている「卵」アレルギー患者でも、体調次第では、通常食べられる加工食品を食べてアレルギー症状が出る可能性があります。このような患者がいることから、「妥当」とはしていません。

  • 今回の評価では、以下の2点を根拠に、評価結果を判断しています。
    1)臨床上、「卵」アレルギー患者はアレルギー表示を見たうえで加工食品を摂取するよう医師から指導されており、実際にほとんどのアレルギー患者は食物アレルギー表示を確認したうえで加工食品を摂取しているという報告があった。また、今回の評価で確認した限りにおいては、日常診療で、「卵」の表示が求められない微量の「卵」タンパク質量でアレルギー症状を誘発されたという事例として明らかなものはなかった。
    2)流通している「卵」の表示のない加工食品では卵タンパク質濃度が低いレベルで抑えられていることが示唆される。
  • 詳しくは、評価書「アレルゲンを含む食品 卵[PDF形式:3,310KB]別ウインドウで開きます」の「IV.食品健康影響評価」の「8.まとめ及び今後の課題」を参照してください。