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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[食品中のヒ素 その1] (2014.6.19)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[食品中のヒ素 その1] (2014.6.19)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[食品中のヒ素 その1]
平成26年6月19日配信 
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今月のe-マガジン【読み物版】は、食品中のヒ素についてお送りします。
ヒ素は自然環境中に広く存在し、さまざまな食品や飲料水にごく微量含まれています。
今号では、食品中のヒ素について基本的なことをご紹介します。また、次号では、食品中のヒ素に関するQ&A及び専門委員の随想を予定しています。
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1.環境中に存在するヒ素
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ヒ素(元素記号As)は、金属と非金属の両方の性質をもつことから半金属元素に分類されています。
自然界では地殻中に分布しており、火山活動や鉱物の風化などの様々な自然現象によって環境中に放出されます。このため、土壌や水中に天然由来のヒ素が含まれています。
また、天然由来のもののほかに、火力発電、金属精錬、廃棄物の処理といった産業活動に伴って環境中に放出されるヒ素もあります。
この結果、飲料水や食品中には、ごく微量のヒ素が含まれることとなります。

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2.人の健康への影響について
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環境中に存在するヒ素には、単体のものと炭素や酸素と結びついたヒ素化合物があります。ヒ素化合物のうち、炭素を含むものを「有機ヒ素」、炭素を含まないものを「無機ヒ素」と呼んでいます。
ヒトが食品を食べたり飲んだりして、ヒ素が体内に入ったときの影響は、ヒ素化合物の種類や量によって異なります。
有機ヒ素については、人の体内に入ったときにどのような影響があるのか、現在のところよく分かっていません。欧州食品安全機関(EFSA)や米国食品医薬品庁(FDA)の評価によると、一般的に有機ヒ素は、 無機ヒ素に比べるとヒトの健康への影響の程度は小さいと言われています。
一方、無機ヒ素については、一度に、または短い期間に大量に人の体の中に入った場合は、発熱、下痢、嘔吐、興奮、脱毛などの症状があらわれると報告されています。また、無機ヒ素が長期間にわたって、継続的かつ大量に体の中に入った場合には、皮膚病変やがんの発生などの影響があると報告されています。

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3.食品中に含まれるヒ素
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海水に溶け込んだ無機ヒ素が、藻類やプランクトンに取り込まれ、それを魚類が食べるという食物連鎖により、海藻や魚介類には、より多くのヒ素が含まれています。魚介類では無機ヒ素は代謝され、主として有機ヒ素として存在しています。海藻類では、有機ヒ素のほか、ひじきのように無機ヒ素を含むものもあります。
ヒ素を含む海洋生物の摂取や土壌からの移行により、動物や植物など陸上生物にもヒ素が含まれますが、その濃度は海洋生物に比べて低いことがわかっています。

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4.食品安全委員会による評価結果
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食品安全委員会は、食品に含まれる無機ヒ素が人の健康に与える影響を中心に、各種試験成績や疫学調査結果等を用いて評価しました。
海外では、インド、バングラデシュなど、地下水に高濃度のヒ素が含まれている地域があり、人の健康への悪影響がみられたデータがありましたが、調査対象地域の住民が飲料水だけでなく食品全体を通じて摂取する量を正確に推定することが難しかったこと、調査地域と日本では生活環境が大きく異なること(日本では水道が整備されているため、飲料水からのヒ素の摂取がほとんどない等)、発がん 性に関するメカニズムの知見が不足していることなどから、日本では、どのくらいの量の無機ヒ素が体の中に入った場合に、健康への影響が生じるかを評価することは、現時点においては困難であると判断しました。

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5.バランスのよい食生活を
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我が国では伝統的に海藻類や魚介類を摂取する食習慣があります。海産物中には多くのヒ素化合物が含まれています。また、農産物の中では、米からの摂取が比較的多い傾向にあります。
しかし、通常の食生活における摂取で健康に悪影響が生じたことを明らかに示すデータは現在確認されておらず、現状の食生活におけるヒ素の摂取に問題があるとは考えていません。
ただ、一部の日本人で無機ヒ素の摂取量が多い可能性があるため、特定の食品に偏らず、さまざまな食品をバランスよく食べることが重要です。

食品安全委員会ホームページ 食品中のヒ素の評価結果・Q&A
http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya2009031900k

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