Q&A詳細

評価案件ID mob20120300008
タイトル 肉の生食と食中毒予防について
公表日 2012年11月1日
問い合わせ・意見 食肉の生食に食中毒のリスクがあることは、腸管出血性大腸菌による食中毒の発生で一般消費者にも知られるようになったが、加熱用の肉も家庭での調理上の扱い方次第で生食と同じようなリスクを伴うことなど注意喚起が必要。
問い合わせ・意見分類 食品安全委員会活動一般関係
コメント元 食品安全委員会
コメント 食品安全委員会では、昨年7月8日に厚生労働大臣からの評価要請を受け、微生物・ウイルス専門調査会において「生食用食肉(牛肉)における腸管出血性大腸菌及びサルモネラ属菌」に関する評価(案)をとりまとめた後、国民の皆様からの御意見・情報の募集を経て、同年8月25日に食品安全委員会において評価書をとりまとめ、厚生労働省に評価結果を通知いたしました。

評価の内容は、

・ 腸管出血性大腸菌又はサルモネラ属菌としての「摂食時安全目標値」(FSO)は、我が国の既知の食中毒の最小発症菌数から推測すると、0.04 cfu/gよりも小さな値であることが必要であるが、厚生労働省から提案された「摂食時安全目標値」(FSO)の0.014 cfu/gは、0.04 cfu/gとした場合より3倍程度安全側に立ったものであること

(注:「cfu」(colony forming unit)/菌数の測定単位で、培地上で培養された菌がつくるコロニー(集まり)の数を数えたもの)

・ 加工時の「達成目標値」(PO)について「摂食時安全目標値」(FSO)の1/10とすることは、流通・調理時の適正な衛生管理下では相当の安全性を見込んだものであること

・ 生食部分は、直接は加熱処理されない部分であり、「加工基準」はリスク低減効果はあるものの、それのみでは加工時の「達成目標値」(PO)の担保はできず、微生物検査を組み合わせる(※)ことが必要であること

・ 加熱方法の決定等の加工工程システムの設定の際は、こうした検査等により、あらかじめ食品衛生管理の妥当性の確認(バリデーション)が不可欠であることに留意する必要があること

等としています。

※ 25検体(1検体当たり25g)以上が陰性であれば、高い確率(97.7%の製品につき95%の確率)で、「達成目標値(PO)」(0.0014cfu/g)の達成が確認できると評価

なお、評価書の作成に際しては、海外の文献を含め、多数の文献を活用して検討が進められました。

一方、食品安全委員会としては、従来から、肉の生食等に関して注意喚起を行ってきたところですが、特に子どもや高齢者をはじめとした抵抗力の弱い方は、引き続き、生や加熱不十分な食肉や内臓肉を食べないよう、周りの方も含めて注意することが必要と考えています。

また、生肉を扱ったトングや箸などの取扱いについても、注意喚起を行ってきたところであり、食中毒全般につきましても、食中毒予防のポイントとして情報提供を行ってきたところです。御意見も参考としながら、今後とも、普及啓発を進めていきたいと考えております。

〔参考〕
○腸管出血性大腸菌による食中毒に関する情報
http://www.fsc.go.jp/sonota/tyoukan-shokuchu.html

○腸管出血性大腸菌による食中毒の防止について
http://www.fsc.go.jp/sonota/risk_profile/risk_profile.pdf

○食肉の生食について
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/namaniku_hyoka.html

○食中毒予防のポイント
http://www.fsc.go.jp/sonota/shokutyudoku.html
コメント元 厚生労働省
コメント 腸管出血性大腸菌は、2~9個の菌の摂取で食中毒が発生した事例が報告されています。溶血性尿毒症症候群や脳症などの重篤な疾患を併発し、死に至ることもあるとされています。

生食用食肉の規格基準は、腸管出血性大腸菌により、死亡者や多くの重症者が報告されたことを受けて設定されたものです。それを踏まえて、厚生労働省は都道府県等に対して、規格基準の遵守について関係業者への監視指導の徹底や夜間営業の飲食店についても営業時間内の監視・指導を実施することをお願いしています。

牛肝臓については、その内部に腸管出血性大腸菌が存在することが認められ、現時点では牛肝臓を安全に生食するための有効な予防対策は見出せていないことから、事業者が衛生管理を適切に行っていても、食中毒が発生するおそれがあります。このため、厚生労働省では国民の健康保護の観点から、牛肝臓を安全に生食するための有効な殺菌方法等の予防対策について新たな知見が得られるまでの当面の間、食品衛生法に基づく規格基準を設定し、牛肝臓の生食を禁止する方向で手続きを進めています。

また、食肉の生食については、厚生労働省ホームページや政府広報等を通じて、その危険性を周知するとともに、重症事例の発生を防止する観点から、若齢者、高齢者のほか、抵抗力が弱い方に食べさせないよう、事業者、消費者等に注意喚起を行うよう都道府県等に依頼しています。

〔参考〕
○政府広報オンライン「ご注意下さい!お肉の生食・加熱不足による食中毒」
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201005/4.html

○政府広報「食中毒の発生しやすい季節です。ご注意を!」
http://www.gov-online.go.jp/pr/media/paper/tsukidashi/1097.html

○厚生労働省ホームページ 動画「食中毒予防 お肉はよく焼いて食べよう」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/syouhisya/index.html

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