食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06160071535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、母親の食生活におけるヒ素による潜在的リスクに関する声明書(第一稿)(TOX/2023/55)を公表 (2/3)
資料日付 2023年10月12日
分類1 -
分類2 -
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(前ページの内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06160070535)

 附属書A
 序論(略)
 背景(抜粋)
 ヒ素は、自然および人為的な活動の結果として、様々な形態で環境中に存在する半金属(metalloid)である。環境中に存在するiAsは、主に三価または五価の酸化状態で存在する。これらの種は主に、ジメチルアルシン酸(DMA)のような錯体、または亜ヒ酸塩(As(III))およびヒ酸塩(As(V))のオキソアニオンからなる。食品検体で、iAsは食品自体のペプチドやタンパク質に結合している可能性が高いにもかかわらず、As(III)やAs(V)として、あるいはこれらの合計をtAsとして報告されることが多い。
 iAs化合物は、魚介類やその他の海洋生物に通常含まれる有機As化合物(アルセノベタイン(AB)、ヒ素糖、ヒ素脂質)よりも毒性が高いことが一般的に認められている。
 2015年、欧州委員会(EC)は米および米を主原料とする製品におけるiAsの最大基準値(ML)を設定した。2021年にEFSAがばく露評価を更新したことを受け、ECは、Asばく露に寄与する商品について新たなMLを設定し、含有量データに基づいて、現実的な場合には既存のレベルを引き下げた(2006年12月5日付の欧州委員会指令2006/125/EC)。ECは、米および米を主原料とする製品におけるiAsの分析は信頼できることから、MLはこれらの食品専用に設定されたと述べている(欧州委員会規則(EU)2023/465)。
 これまでの評価
 食品中のAsへのばく露の専門家の意見は、EFSAの「フードチェーンにおける汚染物質に関する科学パネル」(CONTAMパネル)により2009年に発表され、最近では2023年に意見書案が発表された。そして、2023年の意見書案については、9月の会議および関連する議事でCOTによって検討およびコメントされた(TOX/2023/46)。EFSAの意見書案からの情報の一部は本声明書に含まれているが、それらについては、EFSAが最終意見書として公表するまで、さらなる検討は行わない。国連食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、Asに関するモノグラフを1983年と2011年に発表している。WHOはまた、「飲料水の水質に関するガイドライン」(2022年)の作成の一環として、飲料水を介したAsへのばく露についても検討した。国際がん研究機関(IARC)は、2018年にAsおよびAs化合物の発がん性の評価を発表し、COTは1999年のトータルダイエットスタディに対応したAsに関する声明書(2003年)と、乳幼児の食生活におけるAsに関する声明書(2016年)を発表した。
 COTは、入手可能なデータに基づき、有機Asへの食事ばく露が健康へのリスクとなる可能性は低いが、iAsは遺伝毒性があり、ヒトに対する既知の発がん性物質であるため、食事ばく露は合理的に実行可能な限り低くすべきであると結論した。
 乳幼児の食生活におけるAsの評価では、COTは、2011年にJECFAが設定したベンチマーク用量下限値(BMDL)(BMDの95%信頼区間下限値)をiAsばく露による潜在的リスクの解析に用いるべきであると結論した。したがって、ばく露はBMDL0.5の3.0 μg/kg体重/日(バックグラウンドより肺がんの発生率が0.5%増える用量として特定された値)と比較されるべきである。JECFAの評価は、2009年のEFSAの評価よりも強固で最新のエビデンスに基づいている。COTは、英国食品基準庁(FSA)による幼児および小児(1~4.5歳)へのアドバイス「母乳、乳児用調整乳、牛乳の代用品として穀物飲料を与えるべきではない」に同意し、食品と飲料水におけるiAsのレベルを低減する努力を継続すべきであるという以前の結論を繰り返した。
 食品中のヒ素に関する最新のレビューは、iAsの毒性作用を詳述する新しい研究、健康への悪影響に関する新しい情報、および追加の含有量データ/推定ばく露量が利用可能になったことから、EFSAによる食品中のiAsによる公衆衛生へのリスクの再評価(TOX/2023/46)を受けて、COTによって完了した。
 この分析から、EFSAは、条件付き不確実性分析と2つの皮膚がん研究を考慮し、BMDを超える平均ばく露の確率は、可能性が低い~可能性が高い(約0.17~約0.86)であると決定した。さらにEFSAは、入手可能なデータに基づき、ばく露マージン(MOE)が1であることは皮膚がんの発生率が5%増大する可能性のあるばく露レベルであるということを示しており、算出されたMOEは皮膚がんの発生に対する懸念を提起すると結論した。また、小児で算出されたMOEはより大きいが、これは必ずしもリスクが高いことを示すものではなく、小児はEFSAによるリスク解析の対象となっていると結論した。しかし、EFSAは、疫学調査における感受性の高い集団の代表性は十分ではないため、それらの人々のばく露は大いに懸念されることに留意した。
 EFSAは、リスク評価のためのヒトのデータの使用、特にBMDLモデリングとヒトのデータに基づく遺伝毒性の発がん性物質の評価に関するガイダンスが必要であるということを決定した。また、エピジェネティックな変化、AsとDNAの相互作用様式、ゲノム不安定性に関連するメカニズム、出生前および周産期におけるばく露の影響、幼少期(early life)におけるばく露が成人期の疾患進行に与える影響、個人差が感受性に与える影響に関するエビデンスの必要性に関して、いくつかの推奨事項も示された。
 委員会は、Asと皮膚病変の関係は十分に確立されているが、そのメカニズムは不明であり、この領域ではさらなる情報が必要であることを認めた。また委員会は、EFSAによるBMDモデリングの結果はEFSAの科学委員会の勧告に準拠していないため、適切ではない可能性があると述べた。
 委員会は、iAsには遺伝毒性および発がん性はあるが、必ずしも遺伝毒性の発がん性物質であるとは限らないことに留意した。COTは、動物実験データに基づき、MOEが10,000以上であれば遺伝毒性の発がん性物質としての懸念は低いが、この場合はメカニズム的に不適切である可能性があるとし、以前に決めたように、10未満のMOEが適切な懸念レベルであるとの見解を維持した。委員会は、ヒトの疫学データを用いた前例がないため、低懸念のMOEを特定できないというEFSAの見解は受け入れないことを決定した。
 中略

(次ページの内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06160072535)
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/First%20Draft%20Statement%20on%20the%20Potential%20Risks%20from%20Arsenic%20in%20the%20Maternal%20Diet
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