食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06060051535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、欧州食品安全機関(EFSA) 2023年度版「食品中のビスフェノールA(BPA)による公衆衛生へのリスクに関する再評価書」についての議論のための背景報告書を公表 (2/4)
資料日付 2023年5月22日
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(前ページの内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06060050535)

 EFSAは、ハザード評価に対する不確実性の影響を特定し、定量化するために、専門家による知識の抽出(expert knowledge elicitation (EKE))を利用して、構造化された不確実性分析(UA)を実施した(専門家の判断による)。不確実性の主な原因の一つは、非標準的な試験やエンドポイントの数が多く、エンドポイントの中には、RPよりも低い無毒性量(NOAEL)や最少影響量(LOAEL)があり、それ故により敏感である可能性があった。しかし、EFSAはこれらのエンドポイントについてBMDLを算出することができなかった。総合的な不確実性は、ヒトに関連する、または有害な影響を及ぼす、動物における影響の推定最低BMDが任意の用量を下回る確率で表された。感度分析の結果、低用量の確率は、主にアレルギー性肺炎、次いでTh17細胞の割合が増大する細胞性免疫に起因することが明らかになった。BfRへの回答で、EFSAは、低TDIへの主な影響は、利用可能な新しいエビデンスとその結果としてのRPであると指摘し、UAは、すべてのエビデンスと不確実性を考慮すると、この範囲のRPが妥当であることを確認したとしている。
 動物におけるエンドポイントのうち、ヒトに関連するエンドポイントの最低BMD(HED)がRP 8.2 ng/kgbw/日を下回る確率を専門家の間で平均化した値は57~73%であり、個々の専門家が示した全体的な確率の範囲はさらに広く(44~98%)、最低確率は27~43%である。ハザード評価には十分な不確実性があったため、EFSAは、RPに影響する不確実性と他のエンドポイントがより敏感である可能性を考慮し、TDIを設定する際にUF を追加することが正当化されると考えた。この追加UFは、最低推定BMDの中央値をカバーするのに十分な大きさである必要があり、最低推定BMDが高くても低くても同じ確率(50%)であるようにされた。
 Th17細胞数の増加は中間エンドポイントとみなされ、リスク評価で考慮されるためには、有害な結果との因果関係が必要である。EFSAは、このエンドポイントには関連する定量的な有害転帰経路(AOP)が確立されていないが、レビューされた情報では、Th17細胞の割合とそのサイトカインIL-17の増大が炎症に関連していることが示されたと指摘した。したがって、これはEFSAと世界保健機関(WHO)が設定した有害性(adversity)の定義に合致する。EFSAは、中間的なエンドポイントとみなされるRPに基づくリスク評価に関する関連する定量的なデータや特定のガイダンスがないため、最終的(apical)ではなく中間的なエンドポイントの使用を説明するために追加のUFを適用する必要はないと考えた。
 RPに全体的な不確実性を考慮したUF 50を適用し、EFSAは0.2 ng/kgbw/日のTDIを設定した。
 新たに導出されたTDIと2015年版意見書のばく露推定値を比較すると,全年齢層で平均および95パーセンタイルの食事ばく露量は2~3倍超過するという結果となった。2015年版意見書のばく露評価は、現在の食事によるばく露を正確に表していない可能性があるが、不確実性を考慮しても、TDIを超えたことから、EFSAはすべての年齢層でBPAへの食事ばく露による健康懸念があると結論した。
 EMAとEFSAの見解の相違
 EMAは、リスク評価に対する両機関の科学的アプローチとリスクを定量化する方法論、すなわち、有害影響の定義、中間エンドポイントと最終エンドポイント、研究の検討方法、動物実験で得られた知見をヒトに使用して臨床的に関連付けること/外挿することを含むリスク評価の方法が異なるため、EFSAの修正TDI(0.2 ng/kgbw/日)に同意しなかった。
 動物における中間エンドポイントがヒトにおける有害な影響と因果関係があることを示すのに十分な科学的エビデンスとみなされるものについて、両機関の見解は異なっている。さらに、リスクを定量化し、ヒトにおいて安全と考えられるばく露レベルを設定する方法についても、両機関の意見は一致していない。
 有害事象の定義および中間エンドポイントvs最終エンドポイント
 EMAは、マウスにおけるTh17細胞数の増加と卵巣卵胞数の減少の観察結果には異論はなかったが、EMAであれば、実施した研究のデザインと範囲内で、生物学的意義と妥当性に基づいて臓器障害の病因、作用機序、臨床病理組織を検討する。したがって、これらの観察結果がヒトへのばく露に与える影響については、因果関係のエビデンスが必要であると考える。EMAによれば、マウスにおけるTh17細胞数の増加が、ヒトにおけるIgE(訳注 アレルギーの原因物質(アレルゲン)に対して作用し、身体を守る機能をもつ抗体)を介した免疫障害のリスクの増大につながるというEFSAの主張を裏付けるエビデンスは不十分である。さらに、EMAは、単一の研究において卵巣卵胞数が減少したという孤立した観察結果を、ヒトにおける生殖能力の障害を意味するものとは考えていない。したがって、EMAとEFSAは、中間エンドポイントと最終エンドポイントの間の「明確な因果関係」、つまり有害影響を構成する要素について合意していない。
 EMAは、EFSAが組み入れた研究では、観察されたTh17細胞数の増加が何らかの有害転帰(AO)をもたらすというエビデンスはないと考えている。また、米国国家毒性プログラム(NTP)のCLARITY-BPAプログラムでは、BPAの毒性に関する研究を含め、低用量での免疫毒性に関するエビデンスは得られなかった。したがって、現在の科学的理解では、Th17細胞とIgEを介したアレルギーの因果関係は、特に動物やヒトの試験で実証されていないため、支持されない。EMAの見解では、動物におけるいくつかの効果はヒトでは認められず、このことは、動物における中間エンドポイントの知見をヒトの健康影響に変換することに影響を与える。動物からヒトへの外挿を裏付ける定量的なデータがない場合、ヒトへの関連性に関する結論は、データによって立証されない限り、困難である。

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地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/sites/default/files/2023-05/TOX-2023-25%20BPA%20Acc%20V.pdf

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