食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06380500149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、食品及び飼料のリスク評価の文脈における新たなタンパク質の毒性予測に向けたin silico手法の開発に関する外部機関による科学的報告書を公表 (前半1/2)
資料日付 2024年10月16日
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概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は10月16日、食品及び飼料のリスク評価の文脈における新たなタンパク質の毒性予測に向けたin silico手法の開発に関する外部機関による科学的報告書を公表した(10月8日承認、PDF版99ページ、https://doi.org/10.2903/sp.efsa.2024.EN-9063)。概要は以下のとおり。
 本報告書は、(新たな)タンパク質の毒性を予測するin silico戦略の開発を目的とするEFSAの調達の成果である。
《背景》
 欧州連合(EU)では、遺伝子組換え生物(GMO)や新食品に含有される新たなタンパク質から、植物保護製品分野の微生物農薬により産生されるタンパク質まで、食品・飼料のリスク評価の多様な分野においてタンパク質の安全性が評価されている。タンパク質はヒトや動物への有害影響と関連する可能性があり、その毒性評価には専用のツールや方法論が活用されている。それらは化学物質のリスク評価から継承・適応されたものであり、in vivo毒性学的試験や毒素の類似性検索等のin silico調査が含まれる。近年、タンパク質に関する高品質な情報が一般公開されるようになっており、これらの情報を活用すれば、レギュラトリー・サイエンスのトレンドを新たなアプローチ方法論(New Approach Methodologies(NAMs))に取り入れ、タンパク質の安全性評価を進化させ、近代化し、強化するための基盤を構築することができる。
 以前のEFSAの調達(NP/EFSA/GMO/2018/01)では、毒性タンパク質に関する文献検索及びデータベース検索に向けた統合的パイプラインが開発されている。
《委託事項》
 ・ リスク評価の文脈において、新たなタンパク質の毒性を予測する方法論(群)を探求する。それらは、既知の毒性タンパク質に対して、評価対象となるタンパク質の構造的・機能的な相同性、及び、評価対象タンパク質に内在する「毒性分子シグネチャ(毒性発揮に至る分子開始イベントと関連する構造的/機能的特性)」を検索するものでなければならない。検討すべき方法論的アプローチは、「伝統的な」配列類似性解析(BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)等)から、機械学習やディープ・ラーニングのような人工知能に及ぶと推測される。本目的は、上述の先行研究を基盤とし、包括的文献検索によりさらに拡張される必要がある。文献検索は、EFSAの「意思決定を支援するための食品/飼料安全性評価に向けたシステマティック・レビュー方法論の適用に関するガイダンス」の記載を原則とする。
 ・ GMOにおいて新たに発現するタンパク質(殺虫性タンパク質、除草剤耐性を付与する酵素、植物の代謝経路に介入するするタンパク質)の領域を考慮し、今後の実施を念頭においた方法論(群)の候補を特定する。
 ・ 特定された方法論(群)を詳述する具体的なプロトコルを提案する。閾値基準を特定し、特定されたプロトコルの適用例を提示する。
 ・ 提案した方法論(群)の長所・限界・ギャップを特定し、報告する。ツール更新の必要性・頻度・手法についても概説する。
 提案される方法論(群)は、パイプライン(既存のツールの連結)となる可能性がある。すなわち、「デノボ(de novo)」でコード化された新たな個々のツールや既存のツールの更新版、又はその2種の組み合わせである。提案される解決策は、EFSA特有のニーズ(食品及び飼料のリスク評価)、例えば、特異性よりも感度を優先させる可能性がある点や、閾値を最重要視する点を考慮すべきであり、実行可能な選択肢の一つであるだけでなく、実行可能な最良の選択肢でなければならない。同定された方法論(群)は、将来的なパイプライン、アーキテクチャ、ソフトウェアの開発に向け、準備作業となりうる。
《プロジェクト立案》
 委任事項及びその解釈に則り、以下の内容を含めた。
1. プロトコル(文献、タンパク質データセット)の収集に関する定義
2. データベースの設定
 ・ タンパク質の毒性を予測するツール・方法論を特定するための文献検索及び文献データベースの設定
 ・ タンパク質データセットの設定
3. ツール・方法論の評価及びパイプラインの定義
 ・ タンパク質の毒性を予測するツール・方法論の提示
 ・ 調査を継続する価値のあるツール・方法論に関する議論及び決定
 ・ タンパク質データセットに対するツールのテスト
 ・ バイオインフォマティクス方法論のテスト
 ・ コンセンサスモデル及びパイプラインの創出
《結論》
 現在、タンパク質毒性のin silico予測は、EUの多様な規制の枠組みの下で行われている。一般的には、タンパク質の一次配列に基づき毒素データベース(多くの場合、ローカルかつ専用用途)に対するブラスティング戦略により実行されている。タンパク質毒性のin silico予測の強化は、目的に合わせたin vitro/in vivo試験を特定する等、リスク評価への適切な情報提供に向けて極めて必要性が高い。このような背景から本プロジェクトでは、市販の毒素予測ツールやその他のバイオインフォマティクス方法論を活用し、(新たな)タンパク質の毒性を予測するための予備的な統合的in silicoパイプラインを開発した。
1. タンパク質毒性のin silico予測用市販ツールの検討
 タンパク質毒性のin silico予測用として市販されているツールのホライズン・スキャニングを実施し、精選したベンチマーク・データセットを用いて、最新版の予測精度を綿密にテストした。このデータセットは、UniProt参照データベース(訳注)から取得した注釈付きの毒素/非毒素の均衡のとれたセットを含むよう特化して設計されており、密接に関連する配列又は同一配列がベンチマーク データセットから確実に削除されるよう、冗長性を慎重に検討している。注目すべきは、本プロジェクトにて特定された全てのツールが、予測に対する基礎入力としてタンパク質の一次構造に依存し、二次構造、三次構造、四次構造等の高次構造要素を考慮していないことである。一次構造のみに基づき動作するこれらのツールは、通常、毒性関連の特定の配列モチーフ・パターン・物理化学的特性を解析するよう設計されたアルゴリズムを利用する。選抜されたツールは、タンパク質毒性予測に向けた自動パイプラインの構築を前提とした有用性、すなわち、スタンドアロン・アプリケーション又はウェブベースの自動プログラムインターフェース(API)を介して、プログラムコードによる相互作用を実現する機能に関しても評価された。ToxinPred2及びToxifyは、タンパク質毒性予測精度及び自動化パイプラインの開発に向けた有用性の点において、トップスコアを獲得したツールである。

(後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06380501149)
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-9063
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
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