食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06380451535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、母体の食事に含有されるシトリニンに起因する潜在的リスクに関するディスカッション・ペーパーを公表 (後半2/2)
資料日付 2024年10月14日
分類1 -
分類2 -
概要(記事) (前半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06380450535)

2. 紅麹
 CITは、アジア料理にて着色料や風味増強剤として使用される紅麹(red yeast rice (RYR)、あるいは、red mould rice(RMR))等のモナスカス属菌種の発酵製品に含有される望ましくない汚染物質である。RYRにはモナコリン類が含有されており、モナコリンKはコレステロール降下剤であるロバスタチンと構造的に同一である。そのため、RYRは血漿中トリグリセリド値及びコレステロール値を低下させるとされる食品サプリメントとしても使用されている。
 2019年、RYR製剤中のCITの最大基準値(ML)は、2000 μg/kg(欧州委員会規則(EC) No 1881/2006)から100 μg/kg(欧州委員会規則(EU) 2019/1901)に引き下げられた。FSAの政策担当者は、紅麹(Monascus purpureus由来)は中国において食品着色料として伝統的に使用されてきたが、規則(EU) 1333/2008の下では、サプリメントを含め、食品着色料/添加物として認可されていないことを確認している。
 2017年、EFSAは、検査したRYR食品サプリメント92検体(EU域内にて入手)の内、37検体(40%)がCIT陽性であり、3検体は当時のEUのML値2,000 μg/kgを超過していたと報告している。EFSAの結果に基づき、本稿では検査された92検体の内10検体が改正後のML値100 μg/kgを超過していると算出する。
 大部分のRYRサプリメントの包装には、当該製品は、「a)子供及び妊婦及び授乳婦には適さない」、「b)当該集団は摂取前に一般開業医(GP)に相談することを推奨する」の内、何れかが記載されている。包装に警告が記載されていることから、RYRサプリメントは本評価では検討されていない。
《リスクの判定》
 入手可能なデータによると、CITは腎毒性を有し、腎臓を腫脹させ、最終的には壊死の原因となる。CITは肝機能にも影響を及ぼすが、その程度は低い。CITへのばく露は、生殖毒性、催奇形性、胚毒性とも関連している。
 2012年EFSAは、ヒトの食事性ばく露データが存在しないこと、遺伝毒性に関するデータが入手可能であること、データベースの不確実性から、CITに対する健康影響に基づく指標値(Health-Based Guidance Value(HBGV))の導出及びMOEアプローチの適用を適切とは判断せず、CITのリスクを判定し、ヒトの腎毒性に対して懸念となる濃度を0.2 μg/kg体重/日と設定した。
 EFSAは、腎毒性に対し懸念とならない濃度では、遺伝毒性及び発がん性の懸念は排除されないと結論している。EFSAの評価以降、遺伝毒性及び発がん性に関し公表されたデータは限定的であるが、in vitroデータは潜在的遺伝毒性に関するEFSAの懸念を証拠立てる。新たなin vivoデータから遺伝毒性のエビデンスは得られていないが、一部のデータでは、CITは40 mg/kg体重にて、ラットの細胞周期の進行を促進する効果が示唆されている。
 CITの平均及び97.5パーセンタイルの推定総ばく露量は、0- 17及び0 - 43 ng/kg体重であり、EFSAが設定した腎毒性の懸念がない濃度を下回っている。よって、推定ばく露量は腎毒性については毒性学的懸念とはならないが、発がん性及び遺伝毒性は排除されない。
 EFSAは、生殖あるいは発達への作用について懸念のない濃度を導出していない。データから生殖毒性のエビデンスが提示されているが、腎毒性等の母体毒性を示す量(1 - 35 mg/kg体重)において、CITの催奇形性及び胚毒性作用も報告されている。よって、生殖及び発達への作用は、母体毒性に起因する二次的作用である可能性がある。別の研究では、胎盤を通過するCITの定量に失敗しており、胎児においてCITの代謝物は検出されていない。入手可能な生殖・発達試験にて投与された用量は、腎毒性の懸念がないとされる濃度を超過していた。
 EFSAの評価以降に公表された研究でも、発育・生殖毒性に関するEFSA結論は支持されており、1 mg/kg体重(飼料中)の用量にて腎毒性等の毒性作用が子孫や雌親に報告されている。0.19 - 4.5mg/kg体重(飲料水中)を投与した雌ラットでは、腎臓、肝臓、雌性生殖臓器/生殖系への毒性に対し、2.25 mg/kg体重にて有害作用(最小毒性量(LOAEL))を示した(当該試験は妊娠ラットを対象としていない点に留意されたい)。
 本評価にて算出されたCITへの推定ばく露量も、発生・生殖毒性に関する動物試験にて適用された全ての用量を下回っている。
 今回の評価は、母体/出産可能年齢の女性に対するNational Diet and Nutrition Survey(NDNS)由来の摂取データに基づいており、母体の食事を代表していない可能性がある。さらに、英国国民保健サービス(National Health Service(NHS))は、妊娠中又は妊娠を予定している人は飲酒しないよう推奨している。そのため、ワイン、ビール、アルコポップ、カクテルにおける上限値(upper bound(UB))を評価に含めると、妊婦を考慮する場合、ばく露の過大評価につながる可能性がある。
《結論》
 CITに関する2011年のトータルダイエットスタディ(TDS)の発生データ、及び、NDNSの出産適齢期女性の摂取データを利用すると、推定される平均ばく露量及び97.5パーセンタイルばく露量は全て、2012年にEFSAが設定した腎毒性の懸念がない濃度を下回っている。よって、推定ばく露量は腎毒性に対する毒性学的懸念とはならない。くわえて、如何なる食品群からも定量限界を超過するCITは検出されず、CITへのばく露が低いことを証拠立てる。
 生殖及び発達への作用に対する安全濃度は設定されていないが、利用可能な研究では、腎毒性に関する懸念がない濃度を超過する用量にて作用が報告されている。CITへの推定ばく露量は、腎毒性に対する懸念のない濃度を超過しない。
 データベースの限界により、遺伝毒性及び発がん性のリスクは除外されない。
《COTに検討を要請する質問》
 I. COTは、CITの有害影響に関するEFSAの検討事項及び結論に影響を及ぼす新たなデータが存在すると判断するか。
 II. COTは、母体の食事においてCITに起因するリスクが存在すると判断するか。
 III. COTは、腎毒性に対するHBGVが母体及び発育/生殖への作用への予防となると判断するか。
 IV. その他にコメントがあるか。
 (注) 本文書はディスカッションを目的とする。COTの見解を示すものではなく、引用されるべきではない。
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/%20Introduction%20and%20Background%20-%20Citrinin

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