食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06370411149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、ビューベリシンの遺伝毒性に関する科学的意見書を公表 (後半2/2)
資料日付 2024年10月9日
分類1 -
分類2 -
概要(記事) (前半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06370410149)

《前回のEFSAの評価》
 EFSAのCONTAMパネルの2014年の評価では、関連する毒性データが得られず、構造的に関連している両化合物の何れに対してもリスク評価は不可能であった。BEAは、そのイオノフォア特性が関与する多様な生物学的活性を有する。BEAとENNは共に、細胞膜を介して一価(K+)及び二価(Ca2+)の陽イオンを輸送する活性があり、その結果として、輸送されたイオンの細胞内不均衡をもたらし、細胞恒常性に影響を及ぼす。BEA及びENNは、複数の酵素を阻害し、酸化ストレスを誘発する抗菌性化合物である。さらに、多種の細胞に対して細胞毒性活性も発揮し、低マイクロモル領域にてアポトーシスを誘導する。
 BEA急性毒性のLD50は、マウスに経口投与した場合、100 mg/kg体重であった。BEAの亜慢性毒性、慢性毒性、生殖毒性、発生毒性、神経毒性、発がん性に関するin vivo試験は存在しなかった。In vitro遺伝毒性データは不確実であり、潜在的遺伝毒性作用を示唆する研究も存在した。in vivo遺伝毒性データは入手不可能であった。
 In vitro試験では、BEAの免疫毒性及び血液毒性/骨髄毒性が示されていた。CONTAMパネルは、BEAに対する耐容1日摂取量(TDI)、又は/及び、急性参照用量(ARfD)を設定するためにはデータが不十分であると結論した。
 BEAへのばく露に起因するヒトの健康への潜在的懸念に関し何等かの洞察を得るため、CONTAMパネルは、ヒトにおける推定急性食事性ばく露量、及び、報告されたLD50値との間のマージンを算出した。
 マージンは、平均食事性ばく露に対しては約10×10の6乗から2×10の6乗の範囲であり、95パーセンタイル食事性ばく露に対しては約5×10の6乗から1×10の6乗の範囲であった。
 COMTAMパネルは、医薬品フサファンギン(ENN類似体(fusafungine))の治療用量から推定される最小毒性量(LOAEL)に基づき、ENNの総計に対し、また、反復ばく露に関する毒性データがないため構造的に関連するBEAに対しても、ヒトにおける推定慢性食事ばく露量と当該LOAELとの間のマージンを算出した。
 BEAに対して算出されたばく露マージンは、平均食事性ばく露において約57,000から1800、95パーセンタイル食事性ばく露において約17,000から1000の範囲であった。CONTAMパネルは、BEAへの急性ばく露に対して算出された高いマージンは、ヒトの健康への懸念を提起しないと結論した。慢性ばく露に関しては何らかの懸念があるかもしれないが、確固たる結論は導出できなかった。
 CONTAMパネルは、ヒトへのリスクを評価するためには、BEAに関するin vivo毒性データが必要であることに留意する。すなわち、神経系・免疫系・内分泌系への影響や、生殖・発育への潜在的影響のスクリーニング等、反復ばく露に起因する可能性のある潜在的健康影響を調査する試験(90日間試験)が必要である。さらに、in vitro及びin vivoの遺伝毒性データも必要である。
《評価結果》
1. 遺伝毒性に関する概要
 不確かな陽性反応が数件認められたが、細菌における遺伝子変異、哺乳類細胞におけるDNA切断及び染色体損傷を調査したin vitro研究では、BEAばく露と関連する遺伝毒性は実証されていない。これらの研究では、濃度依存性効果、あるいは、関連する細胞毒性に由来する潜在的干渉は観察されていない。くわえて、γ-H2AX分析により測定されるDNA二重鎖切断の形成は、高い細胞毒性を示すBEA濃度へのばく露後にのみ観察されている。
 マウスへの経口投与では、骨髄及び結腸における小核の増加は観察されていない。同様に、マウスへの反復経口投与においても、BEAはin vivo遺伝毒性のエビデンスを提示しておらず、コメットアッセイ、Pig-aアッセイ、小核試験は陰性であった。CONTAMパネルは、骨髄へのばく露に関するエビデンスは限定的である点に留意する。第一接触組織(十二指腸)では、コメットアッセイにより測定されるDNA損傷は観察されず、肝臓におけるBEAの生体内活性化のエビデンスは得られていない。
 複数の研究機関にて種々の(定量的)構造活性相関((Q)SAR)予測モデルが適用されたが、潜在的な変異原性/遺伝毒性の兆候は示されていない。
2. 遺伝毒性試験の解釈に影響を与える作用機序に関する概要
 BEAが酸化ストレス、細胞情報伝達への干渉、ミトコンドリア損傷を誘発し、細胞周期の停止及びアポトーシスを誘導するというエビデンスは存在する。これらの作用は、in vitro細胞毒性を示す濃度にて観察されるDNA鎖切断の形成に間接的役割を果たしている可能性がある。in vitro及びin vivoの研究では、炎症作用は示唆されておらず、むしろ抗炎症作用が示唆されている。
《結論》
 総括すると、利用可能なデータは、BEAには潜在的遺伝毒性はないことを示している。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/9031
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