食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06370132535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、食品添加物としての二酸化チタン(E171)の安全性に関する声明(最終版)を公表 (3/3)
資料日付 2024年10月2日
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(前ページの内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06370131535)


3.5. COM による二酸化チタンの遺伝毒性のレビュー
 COM は、TiO2 の遺伝毒性を評価するために多くの研究をレビューした。EFSAがレビューした論文に加え、「遺伝毒性」と「二酸化チタン」について発表された論文を探すために文献検索が行われた。特定されたほとんどの論文は、ナノサイズの二酸化チタン画分を使用しており、マイクロサイズの二酸化チタンや特定のE171の形態は使用していなかった。論文は専門家によって評価され、物理化学的特性の両方をスクリーニングし、質の高い遺伝毒性試験のみが含まれるようにするため、段階的アプローチを用いて採点された。そのため、ナノ及びマイクロサイズのTiO2に関する論文をレビューし、特にE171形態に注目した。COM は、食品グレードの二酸化チタン(E171)そのものの安全性を確定的に評価することは、 E171に含まれるナノ粒子画分の試験デザインの検討と特性を適切に組み込んだ OECD準拠の質の高い試験がない以上、困難であると述べた。また、どのような形態の化合物についても OECDに準拠した質の高いデータセットが不足しており、このため TiO2 のリスク評価には相反するデータと不確実性があることが指摘された(COM, 2024年)。COMの見解では、TiO2のマイクロ又はナノサイズの粒子がin vitro又はin vivoで遺伝毒性を示すというエビデンスは、入手可能な数少ないよく実施された研究のデータからはほとんど得られない。また、異なる研究室で同じナノ粒子を使用した研究結果の再現性も乏しい(COM, 2024年)。したがって、全体として、COMは、TiO2による遺伝毒性誘発、特に経口経路、特にマイクロサイズのTiO2画分(文献のほとんどの研究はナノサイズの物質を使用)による健康懸念があることを示唆する文献上のエビデンスはほとんどないと結論した。したがって、食品グレードの二酸化チタン(E171)による遺伝毒性リスクは低いと考えられる(COM 2024年)。2024年3月の会議でのCOM報告書の審議後、COTはCOMの結論に同意した。
4. 健康影響に基づく指標値(HBGV)の設定
 委員会は、入手可能なエビデンスに基づき、1,000 mg/kg体重/日が妥当な出発点(POD)であると結論した。これは、EOGRT試験の結果(Leuschner, 2020年)に加え、同用量まで影響がないと報告したWarheit et al, 2015年及びLee et al, 2019年の研究に基づくものであった。他の研究ではばらつきが指摘されたが、食品グレードの二酸化チタン(E171)の提案されたPODを変更するようなものはなかった。標準の不確実係数100(種間差に10、個体間変動に10)がメンバーによって合意され、PODに適用された結果、HBGVは10 mg/kg体重/日となった。E171のNOAELにこの不確実係数を適用する際には、さらに保守的になると思われる。というのも、1,000 mg/kg体重/日は試験されたTiO2の最高用量であるため、LOAEL(最小毒性量)は実際にはかなり高くなる可能性があり、また、TiO2粒子の代謝がないため、種間/種内動態学的差異は既定値よりも低くなる可能性が高いためである。
5. ばく露評価
 二酸化チタン(E171)は、化粧品や医薬品と同様に、多くの食品カテゴリーに含まれている。この評価で計算され考慮されたばく露は、食品のみであり、英国の調査による食品消費データを用いて、乳児、幼児、小児、青年、成人、高齢者を対象としたものである。EFSA(2021年)によって報告された特定の食品品目における二酸化チタンの最大量もばく露の推定に用いられた。計算された二酸化チタンの平均総食事性ばく露量は、3.3~11 mg/kg体重/日であった。TiO2の95パーセンタイル総食事性ばく露量は、9.1~26 mg/kg体重/日であった。これらのばく露に最も寄与している3つの食品グループは、タンパク質製品、デコレーション、コーティング、フィリング、ソースである。ばく露評価では、E171がより多くのカテゴリー(48カテゴリー)で認可されているのに対して、16種の食品グループのみの使用量を考慮した。このため、ばく露が過小評価される可能性がある。しかし、評価されたカテゴリー内の全ての食品にE171が含まれるわけではないため、これらのカテゴリーにおけるばく露が過大評価される可能性がある。さらに、評価は、評価された全てのカテゴリーの全ての食品が報告された最大量でE171を含むという仮定に基づいている。この可能性は低く、全体的なばく露は過大評価される可能性が高い。
6. リスクの判定
 全ての集団の平均的な総食事性ばく露量は、設定されたHBGVである10 mg/kg体重/日を下回るか、非常に近い値である。95パーセンタイルの推定総食事性ばく露量は、9.1~26 mg/kg体重/日である。成人(18歳以上)と高齢者のばく露は、設定されたHBGVを下回っており、健康への悪影響は予想されない。乳児、幼児、小児、青少年の推定ばく露量はHBGVの1.3~2.6倍であるが、実際のばく露量は計算値よりも低い可能性が高い。さらに、HBGVは保守的(conservative)である可能性が高い。従って、食事から食品グレードの二酸化チタン(E171)にばく露されることは、英国の集団にとって健康へのリスクをもたらす可能性は低い。
7. COTの全体的結論
 COTは、現在の英国におけるE171 TiO2の食事性ばく露による健康へのリスクは考えにくいと結論した。
 当該声明(PDF版、182ページ)は以下のURLから入手可能。
Https://cot.food.gov.uk/print/pdf/node/11706
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Statement%20on%20the%20safety%20of%20Titanium%20Dioxide%20%28E171%29%20as%20a%20Food%20Additive?print=1
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