食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06330731535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、「母体の食事におけるラズベリー・リーフ茶の潜在的健康影響に関する第一次声明案」を公表 (後半2/2)
資料日付 2024年7月23日
分類1 -
分類2 -
概要(記事) (前半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06330730535)

「成分」
 有効成分が何であるかは不明であるが、ラズベリー・リーフには多様な成分が含まれていることが知られている。ラズベリー・リーフに含有される主たる化学物質群には、ガロタンニン等の加水分解性タンニン、ケンフェロール・ケルセチン・ケルセチン配糖体等のフラボノイド、オクタノール等の揮発性化合物(少量)、テルピノレン等のテルペノイド、ビタミンC及びE、カルシウム・マグネシウム・亜鉛等のミネラル、カフェインやクロロゲン酸等のフェノール酸等がある。
「公的機関による既存の判定(Existing authorisations)」
 欧州医薬品庁(EMA)のハーブ医薬品委員会(Committee on Herbal Medicinal Products(HMPC))は、ラズベリー・リーフの安全性に関するレビューにおいて、臨床研究ではラズベリー・リーフ治療と関連して有害な妊娠転帰が高い確率で発生することは確認されないものの、治療期間は一般的に短く、試験に参加した妊婦は少数であった点を強調している。また、遺伝毒性、発がん性、生殖毒性、発達毒性に関するデータが不十分である点も強調されている。
 変異原性に関して最低限必要となるデータ(エームス試験)を含め、遺伝毒性データが不足していることから、HMPCは、ラズベリー・リーフを伝統的医薬品としてのハーブ物質、ハーブ製剤及びそれらの組み合わせを収載する共同体リストに追加することを推奨しなかった。また、臨床効果に関するデータも、指令2001/83/ECに準拠する「確立された医薬品としての用途」の基準を満たす程に堅牢であるとは見なさなかった。
 総括して、2014年、HPMCは、妊娠中及び授乳中に摂取するラズベリー・リーフの有効性及び安全性に関するエビデンスは不足しており、ラズベリー・リーフは妊婦・授乳婦、18歳未満の小児・青少年には推奨できないと結論している。
3. 結論
 総括すると、COTは、妊娠中のラズベリー・リーフの使用に関連するリスクは低いが、不確実性は高いと結論する。本結論は、後ろ向きコホート研究及び二重盲検プラセボ対照無作為化試験を含む、オーストラリアにて実施されたヒトの安全性試験2件の結果に基づく。妊娠中にラズベリー・リーフを1日あたり1 - 8杯の茶/錠剤、あるいは、1回分のチンキ剤、あるいは、1日あたり抽出物2.4 gを摂取した場合、何れの試験においても母子への悪影響は報告されていない。しかしながら、COTの委員は、FSAのばく露評価チームがオンライン・ソースから収集したデータに基づくと、茶(最大10 g/人/日)に由来する、あるいは、茶・チンキ剤・カプセルの合計(最大12.421 g/人/日)に由来するラズベリー・リーフの推定総合摂取量は、無作為化対照試験にて試験されたラズベリー・リーフの用量の最大4倍以上であることに留意した。
 COTの結論は、英国奇形情報サービス(UK Teratology Information Service(UKTIS))が1983年の設立時から現在までに受理した、ラズベリー・リーフを摂取している妊婦やその子どもへの悪影響に関する報告数が限られている点にも依拠する。COTの委員は、ラズベリー・リーフの生物学的利用能が低いことも、ヒトの健康への懸念が低いと思われる理由であろうと判断している。しかしながら、ラズベリー・リーフを微粉末化した製品類は、バイオアベイラビリティが向上する可能性があり、別途安全性評価が必要になる可能性があると認識された。
 COTの委員は、ラズベリー・リーフのリスク評価において、様々な不確実性を特定した。これらは、妊娠中にラズベリー・リーフを使用することの安全性に対してCOTが導出した結論における高い不確実性の根拠となり、COTがラズベリー・リーフのPOD(Point of Departure)を確立する妨げとなった。特定された不確実性の主たる原因として、以下の点が挙げられる。
 ・ ラズベリー・リーフの活性成分に関するデータが不足している
 ・ 調製手法がサプリメントの活性やサンプリング効果に影響を与える可能性がある
 ・ ラズベリー・リーフの重要な効果(平滑筋弛緩及び収縮)に関して文献間の変動が大きく、これは、試験対象動物種、調製手法、抽出物の試験がin vitroであるか・in vivoであるか等、多くの要因に依存しているように思われる
 ・ ヒトにおけるラズベリー・リーフの効果を研究するために最も適切となる動物モデルの選択に関して文献に明確な記載がない
また、その他の不確実性の原因として、ラズベリー・リーフの薬物動態や毒性(生殖毒性を含む)に関するデータ、さらには、汚染物質や残留物の含有量に関するデータが限定的である点も挙げられる。
4. COTに検討を要請する事項
 a) 声明案の構成又は内容について、コメントはあるか。
 b) 動物試験の結果について、リスクの特性評価及び/又は結論の項にさらなる情報を含めるべきと考えるか。
 c) 他にコメントを有するか。
(注) 本文書はディスカッションを目的とする。COTの見解を示すものではなく、引用されるべきではない。
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8BIntroduction%20-%20the%20Potential%20Health%20Effects%20of%20Raspberry%20Leaf%20Tea%20in%20the%20Maternal%20Diet
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。