食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu06320100149 |
タイトル | 欧州食品安全機関(EFSA)、食品中の低分子量の有機ヒ素化合物のリスク評価に関する平易な言葉による要約を公表 (前半1/2) |
資料日付 | 2024年7月2日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | 欧州食品安全機関(EFSA)は7月2日、食品中の低分子量の有機ヒ素化合物のリスク評価に関する平易な言葉による要約を公表した。 1. リスク評価の背景 (1)リスク管理者は、有害な健康影響を引き起こすことなく食品中に存在可能なヒ素等の食品汚染物質の最大基準値を設定するために、安全性に関する助言を必要とする。 (2)低分子量の有機ヒ素化合物は、ヒ素に結合したメチル基を含み、他の有機基を含まない化合物である。モノメチルアルソン酸(Monomethylarsonic acid (MMA(V))及びジメチルアルシン酸(dimethylarsinic acid (DMA(V))は、これらの化合物の中で食品中に最も多く含まれる化合物である。最も濃度が高いのは、米、海藻及びシーフードである。 (3)2009年、EFSAの「フードチェーンにおける汚染物質に関する科学パネル(CONTAMパネル)」は食品中のヒ素の存在に関連するヒトの健康へのリスクを評価した。 (4)2009年におけるデータ不足のため、EFSAは、無機ヒ素に関するリスクのみを評価し、低分子量の有機ヒ素化合物やアルセノベタイン(arsenobetaine)、アルセノシュガー(arsenosugars)、ヒ素脂質(arsenolipids)等の複雑な有機ヒ素化合物のリスクを評価できなかった。 2. EFSAは何をするように要請されたのか。 (1)欧州委員会はEFSAに対して、無機及び有機ヒ素の毒性影響に関する新たな研究を含む、2009年以降に利用可能になった科学情報を考慮して食品中のヒ素に関する4件の科学的意見書を提出するよう要請した。 (2)最初の意見書である食品中の無機ヒ素に関するリスク評価の更新は、2024年1月に公表された。低分子量の有機ヒ素化合物のリスク評価は、2番目の意見書である本意見書により論じられている。第3及び第4の意見書は2025年の初めまでに完成し、各々の意見書は、複雑な有機ヒ素化合物、及び無機と有機ヒ素への複合ばく露のリスク評価を論じる。 3. EFSAはどのようにこの作業を実施したのか。 (1)EFSAは初めに、関連文献の包括的な検索及び評価を依頼した。この文献検索からの報告書(Lichtら、2022)は科学的意見書の出発点になった。 (2)確立された手順に従って、追加の文献検索が実施された。さらにMMA(V)及びDMA(V)への消費者ばく露がEFSAからの利用可能な摂取データに基づき推定された。このデータは、EFSAに報告された存在データ及び文献中に見つかった存在データと組み合わされた。 (3)意見書草案は、2024年3月26日~5月7日まで意見公募に付され、ステークホルダーから受け取った意見を考慮した後に確定された。 4. 制約/不確実性は何か。 (1)本リスク評価は、他の低分量子の有機ヒ素化合物に関するデータが不十分なため、MMA(V)及びDMA(V)に限定された。しかしながら、これら2種類の化合物は、食品中に存在する低分子量の有機ヒ素化合物の主な形態である。 (2)MMA(V)及びDMA(V)の発生毒性、生殖毒性及び神経毒性に関するデータは不完全であり、これらの化合物の遺伝毒性の背後にある機構は不明確なままである。したがって、CONTAMパネルは、健康影響に基づく指標値を導出するのは適切ではないと結論し、両化合物に関してばく露マージン(MoE)法を適用することを決定した。 5. 評価結果はどうであったか、及びそれらの意味することは何か。 (1)全体的な結果 ①ヒトの食事において、米と魚類がMMA(V)及びDMA(V)へのばく露に最大の寄与をする食品であった。 (2)MMA(V)の結果 ①ラットにおける試験から、特定レベルにおけるMMA(V)へのばく露は、下痢による体重減少に繋がる可能性があることが判明し、この点が重大な健康影響として特定された。MMA(V)に関するリファレンスポイント(RP)は18.2 mg/kg体重/日(9.7 mg ヒ素/kg体重/日に相当)に設定された。これは、MMA(V)へのばく露後の下痢によるさらなる体重減少に関連する可能性がある保守的(conservative)な最小用量の推定である。 ②遺伝毒性や発がん性のない物質に関して、一般的に最小でも100のMoEであればヒトの健康に関する懸念は低いと考えられる。しかしながら、データにおける更なる不確実性を考慮して、CONTAMパネルは、最小のMoEに対して保守的な5倍の安全係数を適用した。したがって、CONTAMパネルは、500以上のMoEであればMMA(V)に関する健康懸念は考えにくいと結論した。 ③MMA(V)に関して、全年齢グループにおける平均的及び摂取の多い消費者に関するMoEは500を優に上回るため、健康懸念を提起しなかった。 (3)DMA(V)の結果 ①ラットに関する試験から、特定のレベルにおけるDMA(V)へのばく露は膀胱腫瘍の発症を高めることが判明した。DMA(V)に関するRPは、1.1 mg/kg体重/日(0.6 mgヒ素/kg体重/日に相当)に設定された。これは、DMA(V)へのばく露後に膀胱腫瘍の発症が高まることに関連する可能性がある保守的な最小用量の推定である。 ②DMA(V)には発がん性があるとの説得力のあるエビデンスがあり、CONTAMパネルは、DMA(V)には遺伝毒性があると考えられると結論した。したがって、遺伝毒性及び発がん性がある物質に関するEFSAの科学委員会の勧告に従って、CONTAMパネルは、DMA(V)が健康懸念を及ぼすとは考えにくいレベルには10,000以上のMoEが必要であると結論した。 ③DMA(V)に関して、食事調査や年齢グループにわたる多くの事例において、特に高摂取のいくつかのグループに関して、計算されたMoEは10,000を下回った。CONTAMパネルは、これらのMoEは健康懸念を提起すると強調した。 (4)これらの意味すること ①本意見書の結果は、欧州委員会が食品中のMMA(V)及びDMA(V)に関する最大基準値を設定する場合の科学的な根拠を提供する。 (後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06320101149) |
地域 | 欧州 |
国・地方 | EU |
情報源(公的機関) | 欧州食品安全機関(EFSA) |
情報源(報道) | 欧州食品安全機関(EFSA) |
URL | https://www.efsa.europa.eu/en/plain-language-summary/risk-assessment-small-organoarsenic-species-food |
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
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