食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06300421149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、「アレルゲン性予測に向けた新たな戦略: 革新的タンパク質のアレルギーリスクを評価するためのランキング手法及びスクリーニングツールの開発」に関する外部機関による科学的報告書を公表 (後半2/2)
資料日付 2024年6月11日
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分類2 -
概要(記事) (前半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06300420149)
多くの文献において、患者集団に関する記述が不十分かつアレルゲン特性評価に関するデータが不足しており、さらに、一部の文献では、配列登録番号の記載なしにアレルゲン配列が記述されている等、データの質に問題のあることが確認された。アレルゲンを成分分解診断に利用すること検討している文献では、高品質の患者集団を対象としていたが、それらの研究において使用された診断検査用市販品にて利用されているアレルゲン成分の質に関しては透明性が欠如していた。臨床的関連性のあるアレルゲンの内、最も詳細に特性が評価されているアレルゲンは、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、牛乳、魚類及び甲殻類であった。ピーカン、マカデミア、ルピナス、メロン等の食品に由来するアレルゲンに関しては、データが不足していた。臨床的関連性が評価された結果、PO評価のスコアが非常に高く(経口食物負荷試験により食物アレルギーと診断された無作為の研究対象集団が含まれる等)、また、PECO評価スコアも非常に高く、さらに、多数の研究機関にて実施された受信者動作曲線解析(receiver operating curve analysis)等を用いて感作と臨床的アレルギーをリンクさせた症例対照研究として設計された研究が実施されていた、臨床的関連性の高いアレルゲン(ピーナッツアレルゲンAra h 2等)が確認された。対照的に、多くのアレルゲンは、臨床的関連性が低い、あるいは、非常に低いと評価された。例として、メロンにて同定されたタウマチン様タンパク質前駆体は、患者1名を含む報告が1件あるのみである。
【目標2】 体系的レビューにて確認されたアレルゲン分子の大半は、従来のFAO-WHO FASTA手法を用いる、AllergenONline及びCOMPAREを利用してアライメントされ正確に予測されており、そのため、AllergenONline及びCOMPASSの両データベースに収載されていると考えられる。AllergenFP、AlgPred、AllerCatPro等、新たなバイオインフォマティック・ツール数種も評価された。アレルゲン性リスク評価との関連性においては解釈が困難であるタンパク質とのアラインメントを提示するツールもあれば、3次元構造評価やIgEエピトープ解析等の問題への対処も試みる優れたアウトプットを提示するツールもあった。いずれのツールも臨床的関連性スコアとリンクさせられるアウトプットを提示できず、多くのツールにおいて、偽陽性及び偽陰性双方のアレルゲンが同定されるという難点が認められた。
【目標3】 体系的レビューの結果及びin silicoツールの評価から、アレルゲン性リスク評価に向けたアプローチが特定された。当該アプローチでは、ばく露評価の各要素が統合され、既存のアレルギー集団に交差反応性を誘発する、あるいは、新たな食物アレルギーを誘発する代替タンパク質成分により提起されるリスクも評価される。ばく露要素及び交差反応性アレルギーリスク評価に関しては、in silico及びin vitro試験法がより成熟しており、アレルゲン性リスク評価プロセスに情報提供するアウトプットを改善するために、改良が必要となるのみである。しかしながら、食物アレルギーの発症メカニズムは完全には解明されておらず、現在進行中の研究課題であるため、必然的にde novo感作の予測も不確実となる。
【総括】 本体系的レビューにて実施された評価及び臨床的関連性のランキングは、in silico手法の開発者がアウトプットを精緻化し、利便性を向上させる一助となる。しかしながら、アレルゲンの臨床的関連性に関する多くの文献において、品質的欠陥が認められた。EuroPrevallにおいて開発されたようなアプローチを再検等する必要があり、これにより、質の高いアレルゲン分子特性評価や効果的な検査手法とリンクさせた患者集団を対象とする高品質データに基づく、効果的な研究の公表が確保される。また、アレルゲン・コンパレーターと非アレルゲン・コンパレーターの双方を適用するin silicoツールの検証に向け、アプローチの開発が必要となる。このようなギャップを埋めることにより、既存集団における交差反応性アレルギー反応の誘発に関し、リスク評価の質を向上させられる。de novo感作の予測には、新たなアプローチや、ワクチン学等の他の研究分野を基盤として活用する必要がある。ワクチン学の研究対象である抗体反応開始に関わる物質の潜在能力は、in silico及びin vitro試験の開発・検証に付加価値をもたらす可能性がある。
「推奨事項」
【推奨1】 アレルゲン分子の初期特性評価を報告し、後に当該評価を利用するためのコンセンサス構造を構築するべきである。再利用の一助となる、結果をより明確に提示する方法として、以下が推奨される。
 ・ 検査された患者数、患者の出身地(著者の出身地が異なる場合)、年齢、性別、人種等の詳細な患者情報は、文献の冒頭部又は補足詳細資料に明記する。
 ・ アレルゲンに関する詳細情報は、文献の早い段階にて明記する。
 ・ 得られた結果を完全かつ明確に提示する。読み易さ、及び、自動テキスト マイニング ツールによるデータ抽出への対応を念頭に置く。
【推奨2】 アレルゲン性リスク評価のin silico的側面の改善に向け、キュレーションされたアレルゲン配列データセットへのアクセスを確保する。
 配列及び関連するメタデータを検索可能なリポジトリに格納し、配列分析が容易なフォーマットにてダウンロード可能とする手段を確保し、継続的なメンテナンス及びアップデートの計画を策定することが必須である。
【推奨3】 アレルゲン性予測に向け、既存の及び新たなバイオインフォマティック・ツールをさらに開発・改良する。
 複数配列の解析をより簡便化かつ迅速化する。複数配列の一括送信を実現し、データセット解析の時間効率を向上させ、配列や解析結果のコピー&ペーストに起因するエラーを軽減する。
「外部機関」
・ School of Biosciences, Faculty of Medicine and Health, The University of Surrey, Guildford, GU2 7XH
・ EuroFIR AISBL, 40 rue Washington, 1050, Brussels, Belgium
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-8840
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
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