食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06240570475
タイトル フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、特定の新ゲノム技術を用いて作出された植物に関連する、公衆衛生・環境上のリスク及び社会経済的問題の評価方法に関する意見書・報告書を公表 (前半1/2)
資料日付 2024年3月6日
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分類2 -
概要(記事)  フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は3月6日、特定の新ゲノム技術(NGT)を用いて作出された植物に関連する、公衆衛生・環境上のリスク及び社会経済的問題の評価方法に関する意見書・報告書を公表した。概要は以下のとおり。
 NGTは、特に栽培植物の育種分野において、非常に幅広い分野における応用を提供する。GMO(遺伝子組換え生物)と似通っているが、遺伝子導入植物とは明確に異なり、これらの応用は、欧州市場に到来する可能性を視野に入れて熟考する必要がある。ANSESはその任務の枠内で、GMOに関する欧州の枠組みの変化についての現在の議論に対し、当局やステークホルダーに情報を提供し理解を促進するために、NGTに関連する問題について評価を実施した。ANSESは、段階的なアプローチによって、ケースバイケースでこれらの植物の評価を適合させることを提案し、包括的なモニタリングシステムを勧告する。また、公衆衛生上の問題だけでなく、農業におけるNGTに関連する社会経済的動機と懸念を特定し、今後の決定は、リスクだけでなく全ての問題を考慮に入れる民主的な議論に基づくよう要請する。
1. CRISPR-Casシステムの応用の展開を見越して
 2001年の欧州連合(EU)域内でのGMOに関する規制以降、NGTと呼ばれる植物の遺伝子を改変する複数の技術が発展した。分子の鋏ように機能することにより、CRISPR-Casシステムは、特に精密かつ標的を定めた遺伝子配列の改変を可能にする。農業育種で最も普及しているNGTの利用法のうち、主流は部位特異的変異誘発(site-directed mutagenesis)、すなわち育種家が選択した部位での植物ゲノムの限定的な改変である。
 これらの技術由来の植物品種は、EU域外の一部の国ですでに販売されている。そして、NGT品種の多様性は、とりわけCRISPR-Cas技術の高い操作性と低コストによって増大する可能性がある。したがって、当該技術は、植物の収量や組成の改変、生物ストレスや非生物学的ストレスに対する耐性、保存期間の向上等、現在認可されているGMO植物に見られるものよりも幅広い分野における応用を提供する。
2. GMOに関する欧州の現行の規制をNGT植物に適用することは可能か?
 このような状況の中で、欧州委員会(EC)は、GMOに関する現行の規制の枠組みを、NGT植物の特異性に適合させるための戦略的イニシアチブを開始した。ANSESは、バイオテクノロジーに関する任務の一環として、また、農業省・環境省の要請を受けて、以下の2つの側面に関して、NGT植物の使用に関連する問題について当局とステークホルダーに情報を提供し理解を促進するための評価を実施した。
・CRISPR-Casシステムを用いて行われた部位特異的変異誘発由来の植物に関する、公衆衛生・環境上のリスクの評価方法
・NGT植物に関連する社会経済的問題
3. NGT植物に適合させたケースバイケースのリスク評価
 ANSESの専門家は、NGTを用いて作出された植物、特にCRISPR-Casシステムを用いて行われた部位特異的変異誘発由来の植物に関連するリスクとその評価方法を研究した。当該分析の結果、ANSESは、遺伝子組換え植物の公衆衛生・環境上のリスクを評価するための現在の枠組みが、これらの新しい植物の評価に部分的にしか適合しないと考える。
 したがって、ANSESは、ゲノム改変の際に使用される技術の精度、並びにゲノム改変後に作出される植物の特性の両方を考慮し、同時にこれらの新しい特性の毒性学的、栄養学的、農学的、環境的影響の可能性の全てを考慮に入れた、ケースバイケースの評価を提案する。これに伴い、ANSESはリスクの段階的アプローチに適合させたデシジョンツリーを開発した。「この正確で完全な評価の枠組みを開発するために、ANSESの専門家は特に、多くの潜在的な応用に関する代表的な文献及びケーススタディのデータを根拠とした。これは、事例に応じて、現行の評価の枠組みの維持、あるいは簡略化された評価又はカスタマイズされた評価を提案することができるデシジョンツリーである。簡略化された評価は、作出された植物の分子的特性・植物化学的特性・栄養的特性・農学的特性を、科学文献で入手可能なデータと比較照合した結果として選択される」とANSESバイオテクノロジー・ユニット長のYoussef El Ouadrhiri氏は説明する。
 変異が、自然界に見られる、あるいは、従来の技術ですでに得られているゲノムの改変を再現し、それに対してリスクが特定されていない場合、ANSESはリスク評価の枠組みを緩和する可能性を開く。
 ANSESにとって、NGTに特定された一部のリスクは、遺伝子導入技術から生じるリスクと根本的に異なるものではない。しかし、潜在的な応用の多様性を考慮に入れた場合、作出された植物へのばく露量は、はるかに大きくなる可能性がある。したがって、ANSESは上市後の監視の重要性を強調し、そして公衆衛生・環境上の影響の出現を監視するためにだけでなく、NGT植物に関連する栽培慣行の変化を監視するために、NGT植物及び派生製品の包括的なモニタリングの仕組みを確立するよう勧告する。このようなモニタリングにより、NGT由来の植物・製品に関する依然として限定的な知見を補完すると同時に、当該製品の使用に関連する公衆衛生・環境上の安全性が高められる可能性がある。
 今後最終的に決定される規制要件に基づき、ANSESは最後に、EU諸国間において、リスク評価の解釈の相違を制限するために、共通のガイドラインを作成するよう要請する。

(後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06240571475)
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
情報源(報道) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
URL https://www.anses.fr/fr/content/actu-nouvelles-techniques-genomiques
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