食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06210160535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、英国の化学物質リスク評価の枠組みにおけるベンチマークドーズモデリングに関する資料(TOX/2024/03)を公表 (前半1/2)
資料日付 2024年1月29日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  英国毒性委員会(COT)は2024年1月29日、英国の化学物質リスク評価の枠組みにおけるベンチマークドーズモデリングに関する資料(TOX/2024/03)を公表した。概要は以下のとおり。
 はじめに
 2021年公表の資料(TOX/2021/1)において、食品・消費者製品・環境中の化学物質の毒性に関する委員会(COT)は、ホライズン・スキャニングの一環として、英国が将来的にベンチマークドーズ(BMD)モデリングのガイダンスを必要とする可能性を指摘した。BMDモデリングの実施とBMDアウトプットの解釈に一貫性を持たせるためには、英国の視点からのガイダンスが不可欠であると述べられている。COTガイダンス文書を作成し、BMDモデリングがいつ使用されるべきか、使用可能なソフトウェアとそれぞれの限界、アウトプットの解釈などを含むBMDモデリングに関する説明を詳述すべきである。また、関連リソースをリンクとともにリストアップすべきである。英国食品基準庁(FSA)、COTおよびその他関連する政府省庁(OGD)にとって、ガイダンスが正確で信頼性が高く、将来的にも有効なものとなるよう、当該分野の専門家との協議が必要となるであろう。
 COTは通常の職務を遂行する中で、BMDモデリングへの十分な理解が不可欠となる場面に遭遇する可能性が高い。さらに事務局も、BMDモデリングの実施法を把握しておく必要があるかもしれない。
 2022年公表の資料(TOX/2022/07)において、ホライズン・スキャニングの一環として、BMDモデリングに関するワークショップの可能性が検討されたが、まずはディスカッションペーパーの作成が最も適切であるとされた。
 さらに2022年には、COT、食品・消費者製品・環境中の化学物質の発がん性に関する委員会(COC)、および食品・消費者製品・環境中の化学物質の変異原性に関する委員会(COM)のメンバーが、最近公表された欧州食品安全機関(EFSA)によるBMD法に関するガイダンスの更新案(更新内容で、最も注目すべき変化は、モデリングにおいて、頻度論的手法(frequentist approach)ではなくベイズ的手法(Bayesian approach)を用いるようになったことである)を検討し、議論した。議論の中で、EFSAはBMD法を無毒性量(NOAEL)/最小毒性量(LOAEL)法よりも科学的に進んでいると考えているということが指摘された。FSAとCOTは、化学物質のリスク評価における新しいアプローチや方法論(NAM)の継続的評価の一環として、英国の消費者の安全のために、英国における食品安全の観点からBMD法の使用と実践を検討している。
 当該ディスカッションペーパーは、BMD法の理論と実践に関する情報を提供するものである。この文書は、規制機関や当局(EFSA、米国環境保護庁(US EPA)など)による過去の評価書に基づいている。さらに、組織や専門家グループの間で意見の一致する部分(consensus area)と隔たりがある部分(divergence area)についての議論も含まれている。また、FSAの計算分野の専門家の仕事に焦点を当て、概念実証として、BMDモデリングを使って健康影響に基づく指標値(HBGV)を導出した事例についても記述している。
 背景
 BMD法は、用量-反応試験から得られる参照点(RP)のより定量的で情報量の多い推定法として、約40年前に導入された。これは、従来用いられてきたNOAEL法またはLOAEL法に代わるものとして提案された。
 BMD法に基づいて最初に確立された「安全用量(safe dose)」はメチル水銀に対するものであり、1995年にUS EPAの統合リスク情報システム(IRIS)に組み込まれた。2005年、EFSAは、遺伝毒性と発がん性のある物質のRPの導出において、BMD法を初めて推奨した。2005年には、世界保健機関(WHO)の国際化学物質安全性計画(IPCS)が「化学物質のリスク評価のための用量-反応モデリングの原則」を発表し、2006年には、国連食糧農業機関(FAO)/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が食品中の特定の遺伝毒性および発がん性汚染物質の安全性評価にこの手法の適用を開始した。US EPAとEFSAは現在、遺伝毒性化合物と非遺伝毒性化合物の両方について、RPを特定するための好ましい方法として、適切な場合にはBMD法を使用することを推奨している。
 この手法の統計学的根拠や使用・実装に関する技術的ガイダンスを含めた、BMD法に関するガイダンスは、複数の当局や委員会などによって提供されている。
 化学物質のリスク評価におけるBMDモデリング
 毒性試験からのRPの特定
 ハザード解析は、リスク評価における重要なステップである。これは、化学物質へのばく露に関連する有害影響の性質と重大性を、特に用量と影響の関係に注意を払いながら、確定しようとするものである。このような有害影響の特徴を明らかにするために実施される毒性試験は、通常、ヒトの健康リスク評価の出発点として使用できる用量を特定するように設計されている。この用量は、しばしばRPまたはPoD(point of departure)と呼ばれる。
 伝統的に、RPはNOAEL法またはLOAEL法を用いて決定されてきた。NOAEL法(歴史的に、NOEL法と呼ばれることもある)は、物質の統計学的に有意な有害影響が観察されない最高用量を決定することにより、RPを決める手法である。統計的手法にはいくつかのバリエーションがあるが、NOAELの決定には通常、適切な対照データセットと異なる用量におけるデータの多重対比較(multiple pairwise comparison)が含まれる。この手法は、連続データ(臓器重量や血中バイオマーカー濃度など、連続的に測定されるデータ)や、非連続データ(quantal data) (腫瘍など特定の症状の発現の有無、死亡または生存など、影響を2つの結果のいずれかに分類できるデータ)としても知られる二値データなどのデータタイプに用いることができる。試験されたすべての用量レベルで統計学的に有意な影響が検出された場合、試験で使用された最低用量(すなわちLOAEL)がRPとして選択されることがある。この場合、RPを用いて対応するHBGVを設定する場合には、より低用量でも有害な影響が生じる可能性があるということを考慮して、不確実係数の追加がしばしば推奨される。逆に、どの用量レベルでも統計学的に有意な影響が観察されない場合は、通常、最高用量がNOAELとして選択される。

(後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06210161535)
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Benchmark%20dose%20modelling%20in%20a%20UK%20chemical%20risk%20assessment%20framework
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