食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06180710545
タイトル 英国健康安全保障庁(UKHSA)、第三回英国ワンヘルス報告書を公表 (前半1/2)
資料日付 2023年11月29日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  英国健康安全保障庁(UKHSA)は11月29日、第三回英国ワンヘルス報告書(抗生物質の使用、販売及び耐性に関する共同報告)を公表した。概要は以下のとおり。
1. 抗生物質の消費
 抗生物質の使用(AMU)は、薬剤耐性(AMR)の主な要因である。2019年、英国では合計706トンの抗生物質が消費され、そのうちヒトでの消費が68%(478トン)、動物での消費が32%(228トン)であった。2014年から2019年の間に、英国でヒトと動物において消費された抗生物質の総量は28%減少している。
 インフォグラフィック(※訳注)では2014年に使用された抗生物質の総量は989トンで、2019年には706トンと28%減少したことが示されている。これは動物で51%、ヒトで13%の減少である。
 2014年から2019年の間に、基礎となる母集団で調整した場合の消費量は、食料生産動物では52%減少し(62 mg/kgから30 mg/kgへ)、ヒトでは18%減少した(125 mg/kgから103 mg/kgへ)。
 インフォグラフィックでは、2014年と2019年における食料生産動物とヒトにおける基礎となる母集団で調整した抗生物質有効成分(mg/kg)が示されている。
 ヒト及び動物医療で使用される特定の抗生物質は、ヒトに使用するための最優先かつ極めて重要な抗生物質(HP-CIAs)に分類される。動物部門のスチュワードシップ(管理責任)イニシアチブの主要な焦点は、可能な限り長期にわたってヒトへの有効性を維持させるためにHP-CIAsの使用を最小限に抑えることである。2014年から2019年にかけて、動物におけるHP-CIAsの消費量は75%減少し、非常に低いレベル(0.17 mg/kg)になった。
2. 抗生物質耐性
 薬剤耐性(AMR)とは、あらゆる微生物(細菌だけでなく、ウイルス、真菌、原虫)が、それらを殺したり増殖を止めたりするように設計された薬剤による治療に抵抗する能力のことである。本報告では、主要な細菌における耐性に焦点を当てている。
2.1. サルモネラ属菌(Salmonella spp.)
 サルモネラ属菌のAMRは動物及びヒトの分野で大きく異なる。これはヒトと動物で循環している個々のサルモネラ属菌血清型の間でAMRのパターンが異なるためである。試験された抗生物質の大部分について、耐性は鶏よりもヒト患者の菌株の方が高いが、両種ともに大部分は減少している。一つの例外として、HP-CIAsである第3世代・第4世代セファロスポリン系とキノロン系抗菌性物質に対する耐性はヒトでより高く、安定している。
2.2. カンピロバクター属菌(Campylobacter spp.)
 カンピロバクター属菌におけるAMRパターンは、鶏、鶏肉、ヒト患者間で類似していることが報告されており、フードチェーンを介した強い関連性が示唆されている。フルオロキノロン系抗菌性物質の鶏における使用量は非常に少ないにもかかわらず、これらの部門全般にわたって高レベルのフルオロキノロン耐性(40%超)が持続している。
 グラフでは、ヒト、鶏、小売用鶏肉由来のC. jejuniにおけるシプロフロキサシン耐性の割合が示されている。
・ヒト由来分離株のシプロフロキサシンに対する耐性は、2014年は44%、2015年は44.9%、2016年は44.8%、2017年は45.8%、2018年は46.8%、2019年は47.1%であった。
・鶏由来分離株のシプロフロキサシンに対する耐性は、2014年は43.6%、2016年は40.6%、2018年は48%であった。
・小売鶏肉分離株のシプロフロキサシンに対する耐性は、2014/2015年は49.1%、2015/2016年は54.2%、2016/2017年は41.1%、2017/2018年は52.1%、2018/2019年は51%であった。
2.3. 大腸菌(Escherichia coli)
 ほとんどの抗生物質に対する耐性の大幅な低下が鶏由来大腸菌で観察されており、豚においても程度は低いが同様の傾向が見られた。一方、ヒト患者由来株の耐性は安定している、又は経時的にわずかに低下している。HP-CIAsである第3世代・第4世代セファロスポリン系に対する耐性は、動物と比べヒト患者で相当に高く、増加しているとみられる。
 グラフでは、鶏、豚、ヒト由来大腸菌における第3世代・第4世代セファロスポリン系の耐性割合が示されている。
・鶏由来分離株の耐性は、2014年は0%、2016年は0%、2018年は1.6%であった。
・豚由来分離株の耐性は、2015年は0%、2017年は0%、2019年は1.4%であった。
・ヒト由来分離株の耐性は、2015年は10.8%、2016年は11.2%、2017年は12.6%、2018年は13.4%、2019年は13.9%であった。
2.4. 基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)及びAmpC産生大腸菌
 我々は、動物や食品を対象とした、選択培地を用いたより感度の高い種類の検査も実施している。この検査では、感受性細菌の増殖は抑制されるが、ESBL/AmpC産生大腸菌は増殖するため、容易に検出できる。ESBL及びAmpC産生大腸菌を保有する鶏の割合は大幅に減少しており、鶏肉中のこれらの細菌の存在も同様に減少している。これらの菌はHP-CIAsである第3世代・第4世代セファロスポリン系に耐性があり、その保菌割合の減少は食肉家きん部門における抗生物質の使用量減少による可能性が高い。対照的に、豚におけるESBL/AmpC産生大腸菌の経時的な減少はわずかであった。豚肉中の当該耐性菌レベルは豚よりもはるかに低く、これはこれらの動物の細菌除去に関する、と殺場のプロセスの有効性を反映している。
 グラフでは、鶏、豚、小売鶏肉及び豚肉から分離されたESBL産生大腸菌のデータが示されている。
・鶏でのESBL産生大腸菌の検出率は、2016年は19.1%、2018年は4%であった。
・豚でのESBL産生大腸菌の検出率は、2017年は15.0%、2019年は15.3%であった。
・小売鶏肉でのESBL産生大腸菌の検出率は、2016年は29.7%、2018年は8.4%であった。
・豚肉でのESBL産生大腸菌の検出率は、2015年は1.6%、2017年は0%、2019年は0.7%であった。

(後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06180711545)
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国健康安全保障庁(UKHSA)
情報源(報道) 英国健康安全保障庁(UKHSA)
URL https://www.gov.uk/government/publications/uk-one-health-report-joint-report-on-antibiotic-use-antibiotic-sales-and-antibiotic-resistance/executive-summary-third-uk-one-health-report
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