食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06180121535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、ビスフェノールA(BPA)に関する追加情報 (TOX/2023/62)を公表 (後半2/2)
資料日付 2023年11月30日
分類1 -
分類2 -
概要(記事) (前半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06180120535)

 HEDの選択
 Doergeら(2011) (参考文献2)の研究では、遊離型BPAのレベルは最初の3つの測定ポイントでのみ検出限界を超えて観察され、各時点で調査された12匹のマウスのうち1匹か2匹でのみ観察された。このため、遊離型BPAの血中濃度曲線下面積(AUC)、ひいてはHEDFは他の研究と比較して非常に低い値となった。血清中の総BPAと遊離型BPAの比も他の研究とは大きく異なり、腸肝循環は対象外であった。他の研究では、血清中の遊離型BPAの濃度/時間プロファイルの比率は、介入(intervenor)を適用した研究を含む多くの研究で、総BPAの濃度/時間経過を反映していた。したがってBfRは、Doergeらの研究は、現実的なHEDFの導出と選択のためには不十分であると考えた。
 BfRによれば、代わりにSieliら(2011)(参考文献3)とTaylorら(2011)(参考文献4)の研究を考慮すべきであった。Taylorらは、24時間後(経口投与、広い用量範囲(2~1,000,000 μg/kg体重))における血清中の非共役BPA濃度の明瞭な直線性を示している。400 μg/kg体重および1,000,000 μg/kg体重それぞれにおける直線的な用量調整濃度/時間プロファイルは、分析上の問題が生じた可能性がある最後の時点を除いて、一致している。BfRは、BPAの水溶解性の低さに関連して、この結果は妥当であると考えている。脂肪やげっ歯類の餌で投与されたBPAは、胃や腸の水環境にゆっくりとしか変化しないため、in vitroで観測された腸内細胞における酵素の飽和は、同程度の用量であってもin vivoでは考えにくい。EFSAは、適用される用量(最大13,000~100,000 μg/kg体重)が線形用量範囲を超える可能性があるため、これらの研究は適切ではないと主張している。EFSAはすでに2015年に、これら2つの研究におけるAUCは、使用された用量に比例しているわけではなく、したがって観測結果は非線形の関係性を示していると考えた。さらに、腸内酵素の限界の可能性により、血清中の非共役BPAのAUCは、線形に用量調整されたとしても、高用量で大きくなる可能性がある。
 BfRの見解では、マウスのHEDFは補正されるべきであり、現実的なHEDFは10~100倍である。BfRは、不確実性評価における当該事実が十分に考慮されていないと考えており、EFSAが用いた不確実性評価のプロセス(専門家への意見聴取(EKE))に加え、第一段階で使用されたデータもその要因であると考えている。
 BMDモデリングとTDI導出
 BfRは、2022年からの最新のガイダンスに従い、EFSAが推奨するベイズモデル平均法と、以前のPROAST(訳注 BMDモデリングのソフトウェアパッケージ)標準モデル平均法の両方を適用した。EFSAは、自らの評価において旧ガイダンスを適用した。2つの方法によって導き出されたBMDL(訳注 BMDの信頼区間の下限値)の顕著な相違は、BfR評価書の表6と表7(それぞれ46~53ページと54~55ページ)に記載されている。
TDIを導出する際、EFSAは決定論的アプローチを適用したが、BfRは確率論的アプローチを適用した。
 本委員会の意見が求められる質問
1. 委員は、EFSAとBfRの評価の情報/比較についてコメントはあるか?
2. 委員会は、BPAの評価が終了するまでの暫定措置として、TDIまたは他の機関による代替HBGVのいずれかを適用できると考えるか?
3. 委員会は、さらに何かコメントはあるか。
(参考文献1) S. Luo et a., (2016), Gestational and lactational exposure to low-dose bisphenol A increases Th17 cells in mice offspring. Environmental Toxicology and Pharmacology, 47, 149-158. DOI: 10.1016/j.etap.2016.09.017
(参考文献2) D. R. Doerge et al., (2011), Pharmacokinetics of Bisphenol A in neonatal and adult CD-1 mice: Inter-species comparisons with Sprague-Dawley rats and rhesus monkeys. Toxicology Letters, 207, 298-305. DOI: 10.1016/j.toxlet.2011.09.020
(参考文献3) P. T. Sieli et al., (2011), Comparison of serum bisphenol A concentrations in mice exposed to bisphenol A through the diet versus oral bolus exposure. Environmental Health Perspectives, 119, 1260-1265. DOI: 10.1289/ehp.1003385
(参考文献4) J. A. Taylor et al., (2011), Similarity of bisphenol A pharmacokinetics in rhesus monkeys and mice: Relevance for human exposure. Environmental Health Perspectives, 119, 422-430. DOI: doi:10.1289/ehp.1002514
(注) 当該資料は、2023年12月12日開催予定の会議(COT Meeting)用の資料であり、COTの意見を反映するものではないことから論文などへの引用は禁止する。
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Bisphenol%20A%20(BPA):%20Additional%20information
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