食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06180120535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、ビスフェノールA(BPA)に関する追加情報 (TOX/2023/62)を公表 (前半1/2)
資料日付 2023年11月30日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  英国毒性委員会(COT)は2023年11月30日、ビスフェノールA(BPA)に関する追加情報 (TOX/2023/62)を公表した。概要は以下のとおり。
 背景
 2023年4月、欧州食品安全機関(EFSA)の食品接触材料、酵素および加工助剤に関するパネル(CEPパネル)は、新たな耐容一日摂取量(TDI)を0.2 ng BPA/kg体重/日と設定した。この新しいTDIは、当初提案されたレベル0.04 ng/kg体重/日よりも高いが、すべての年齢層の平均的および高水準の消費者は、新たなTDIを2~3桁上回ることになる。
 2023年5月の会議で、EFSAのBPAに関する最終見解と、欧州医薬品庁(EMA)およびドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)による見解の相違が議論された。
 2023年5月に暫定見解表明書草案は委員会に提出され、議論を経て、2023年9月の委員会で再度議論された。9月のCOT会議では、欧州または国際的な機関が設定した健康に影響に基づく指標値(HBGV) について、委員から問い合わせがあった。利用可能なHBGVとその他の関連情報は、2023年10月の会議で提示された。10月の会議での議論を受け、今回の文書では、EFSA(2023年)およびBfR(2023年)による耐容一日摂取量(TDI)の導出に関する追加情報(ベンチマークドース(BMD)モデリングおよびヒト等価用量(HED)の導出の詳細、研究の選択の簡単な詳細など)を提供する。ただし、EFSAとBfRが評価した研究の直接的な比較は含まれていない。
 序論
 2023年、EFSAは新たなTDIを0.2 ng BPA/kg体重/日と定めた。EMAとBfRは、見解の相違を強調するコメントをEFSAに提出した。見解の相違が解消されなかったため、それぞれの設立規則によると、EFSAとEMA/BfRは、争点となっている科学的問題を明確にし、データの関連する不確実性を特定する共同文書を欧州委員会(EC)に提出する義務がある。この乖離を受け、BfRはBPAに関する独自の評価を発表した。
 (中略)
 EFSAとBfRによる異なるアプローチの比較
 公表された声明書で、EFSAとBfRはいずれも、入手可能な情報の解釈とリスク評価は、適用されたツールと方法論に関連しており、その結果、見解が分かれることを認めた。見解が分かれた主な点は、有害影響の定義、科学的情報の包含/除外、最終的(apical)エンドポイントと中間エンドポイント(PODの容認性、逆境性(adversity)、関連性)、生殖毒性エンドポイント、不確実性分析、HED因子(HEDF)であった。
 有害影響の定義
 BfRは、BPAがTh17細胞の数および免疫系へのその他の効果に影響を及ぼすというエビデンスがあることに同意したが、BPAを介したTh17細胞の増加と動物およびヒトにおける有害アウトカムの関連性については、説得力のあるエビデンスだとは考えなかった。エンドポイントの元となった研究(Luoら、2016)(参考文献1)、他の長期研究(CLARITY (訳注 BPAの毒性に関するアカデミック及び規制側からの知見をリンクさせたコンソーシアム)報告書)、疫学研究のいずれにおいても、有害な最終的影響は報告されていない。さらに、このエンドポイントについて承認された有害アウトカム経路は存在しない。したがって、BfRは、脾臓におけるTh17細胞の増加は十分に正当化されるとは考えられず、したがってHBGVの導出には適さないと結論した。
 BfRは、EFSAがリスク評価プロセスのすべての段階で保守的な最悪のケースを仮定しており、その結果、HBGVが保守的になりすぎていると考えた。BPAのようにデータが豊富な評価では、2018年に世界保健機関(WHO)/国際化学物質安全性計画(IPCS)が不確実性の解析のための適切な方法論を提供しており、BfRはこれを上述の評価に適用した。
 EFSAは、新たなデータからBPAの標的として免疫系が確認されたと結論し、マウスにおけるTh17細胞の増加をTDI導出のための重要なエンドポイントとみなした。
 BfRは、中間エンドポイントを使用すること自体に疑問は呈さなかったが、関連するin vivoデータにおいて、対応する最終的影響の観察が伴わない状況において、当該中間エンドポイントをHBGVの設定に使用することに対して懸念を表明した。Th17細胞の役割は文脈に依存し、マウスやヒトにおいてまだ完全には解明されておらず、ヒトにおけるIL-17A(訳注 インターロイキン-17の一種)レベルの上昇と疾患の間の遺伝的関連性はまだ見つかっていない。BfRであれば、Luoら(2016)(参考文献1)による研究をTier 1に分類せず、エビデンスの重み付け(WoE)に含めなかったであろう。
 BfRは、入手可能なエビデンスを検討した結果、保守的なアプローチとして、雄の生殖器系への影響が最も感度の高いエンドポイントであると結論し、ウィスターラット(Wistar rat)を用いた2つの研究における精子数の減少に対する影響用量に基づいてHBGVを導出した。しかし、BfRは、以前のEFSAと同様、雄の生殖器系への影響(精子の数、精子の運動性、精巣組織学など)がさまざまな実験動物(マウス、ラット、ウサギ)で観察される一方で、データベースにおける出現頻度と影響用量には大きなばらつきがあると指摘した。ある研究では、約100 μg/kg体重/日以上から影響が認められたが、他の同等の研究では、450,000 μg/kg体重/日の用量まで影響は認められなかった。

(後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06180121535)
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Bisphenol%20A%20(BPA):%20Additional%20information
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