食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06130090535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、ビスフェノールA(BPA)に関する暫定見解表明書(第二稿)(TOX/2023/45)を公表 (前半1/2)
資料日付 2023年8月29日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
概要(記事)  英国毒性委員会(COT)は2023年8月29日、ビスフェノールA(BPA)に関する暫定見解表明書(第二稿)(TOX/2023/45)を公表した。概要は以下のとおり。
 2023年4月、欧州食品安全機関(EFSA)の食品接触材料、酵素および加工助剤に関するパネル(CEPパネル)は、新たな耐容一日摂取量(TDI)を0.2 ng BPA/kg体重/日と設定した。この新たなTDIは、当初提案されたレベル0.04 ng/kg体重よりも高いが、すべての年齢層の平均的な消費者と高水準の消費者は、新たなTDIを2~3桁超過すると考えられる。
 COTは、2022年2月の臨時会合でEFSAの意見書案について議論し、パブリックコンサルテーションにコメントを提供した。そして、2023年5月の会合で、EFSAの最終意見書と、欧州医薬品庁(EMA)およびドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)との見解の相違が議論された。
 添付した附属書Aは、5月の委員会でのコメントに沿って作成された暫定見解表明書(第二稿)である。当該表明書では、BPAの背景/一般情報、EFSAによるエンドポイントの選択に関するCOTの懸念、英国のTDIを導出するための作業をどのように進めるかに関するCOTの推奨事項を詳述した文章が追加された。
 本委員会の意見が求められる質問
I. 本暫定見解表明書案の内容と構成について、何か意見はあるか。
II. BPAの見直しが行われている間、現行の暫定TDIを引き続き使用することについて、何か意見はあるか。
III. 他に何かコメントはあるか。
 附属書A
 序論と背景
 食品、消費者製品および環境中の化学物質の毒性に関する委員会(COT)は、EFSAによるBPAの新たなTDIの科学的根拠とリスク管理への影響を検討した。
 BPAは食品接触材料への使用が認可されており、再利用可能なボトル、食器、保存容器などの硬質プラスチックや、特定の紙製品の感熱印刷、食品や飲料の缶やバット(vat)の保護ライニングに使用されている。EFSAによる2015年のBPA評価を受けて、欧州連合(EU)と英国(UK)は0.05 mg/kgの特定移行成分限界値(specific migration limit)を設定した。
 2015年にEFSAが設定した暫定TDI(tTDI) 4μg/kg体重/日は、動物実験における平均相対腎臓重量の増加とヒト等価用量(HED)に基づいている。2015年のばく露評価に基づき、EFSAは、食事ばく露による健康上の懸念はどの年齢層にもなく、総ばく露(aggregate exposure)(食事ばく露および非食事ばく露)による健康上の懸念は低いと結論した。しかしEFSAは、非食事由来の推定ばく露量にはかなりの不確実性があると指摘した。
 2016年、EFSAは欧州委員会から、食品中のBPAの存在に関連する公衆衛生へのリスクを再評価するよう委託を受けた。再評価では、前回の評価以降に入手可能となったデータを考慮し、BPAの毒性学的エンドポイントに関して残された不確実性を明らかにする必要があった。
 COTは、2022年2月の臨時会合でEFSAの意見書案について議論し、EFSAのパブリックコンサルテーションに詳細なコメントを提出した。EFSAの最終的な意見書は、2023年5月に公表された。
 EFSAによる2023年の評価
 EFSAのCEPパネルは、新たなTDIの導出のために、動物実験データとヒトの観察研究から得られたエビデンスを評価し、BPAに対して最も感受性の高いエンドポイントとして免疫系を特定した。免疫機構に重要であり、炎症状態に関与するTh17細胞のマウスにおける割合の増加が、最も感度の高いエンドポイントであり、したがってBPAの重大な影響であると考えられた。
 新たなTDI 0.2 ng BPA/kg体重/日は、マウスのTh17細胞の割合の増加に関する最も低いBMDL40(訳注 ベンチマークドーズの信頼区間の下限値)から換算されたHED 8.2 ng/kg体重/日に基づいていた。EFSAは、トキシコダイナミクスとトキシコキネティクスにおける種間差と種内変動それぞれに対して既定値の不確実係数(UF) 2.5とUF 10を適用した。トキシコキネティクスの種間変動については、HEDへの換算ですでに考慮されているため、UFは適用されなかった。しかし、EFSAは実施した不確実性分析に基づき、UF 2を追加で適用した。したがって、全体的にUF 50が適用された。
 新しいTDIは、従来の4 μg/kg体重/日より大幅に低く、2015年にEFSAが実施したばく露評価に基づくと、すべての年齢層の平均的な消費者および高水準の消費者は、新しいTDIを2~3桁超える可能性がある。
 EMAとBfRはいずれもEFSAにコメントを提出し、健康影響に基づく指標値(HBGV)の導出に中間エンドポイントを使用すること、研究の検討で適用されたアプローチと文献調査の期間(※訳注)、不確実性分析と動物からヒトへの臨床的関連性/外挿およびHEDの導出を含むリスク評価のアプローチそれぞれに関するEFSAの見解との相違を強調した。見解の相違が解消されなかったため、EFSAとEMA/BfRは、欧州委員会に対し、科学的な争点を明確にし、データに関連する不確実性を特定する共同文書を提出することになった。

(注) 当該資料は、2023年9月5日開催予定の会議(COT Meeting)用の資料であり、COTの意見を反映するものではないことから論文などへの引用は禁止する。
(※訳注) 原則として、2013年1月1日~2018年10月15日に出版された文献が調査の対象となった。
参考 EFSA CEP Panel (2023), Re-evaluation of the risks to public health related to the presence of bisphenol A (BPA) in foodstuffs, https://doi.org/10.2903/j.efsa.2023.6857

(後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06130091535)
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Second%20draft%20interim%20position%20statement%20on%20bisphenol%20A
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