食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06120131535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、食品中の無機ヒ素が公衆衛生に与えるリスクについての欧州食品安全機関(EFSA)の2023年再評価に関するペーパー(TOX/2023/46)を公表 (2/3)
資料日付 2023年8月23日
分類1 -
分類2 -
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(前ページの内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06120130535)

 ベンチマーク用量反応(BMD)モデリングと基準値(RP)の導出(抜粋)
 次のA~Cを満たす研究が、BMDモデリングの対象とされた。
A) データの全体的なバイアスリスクが低い。
B) iAs との有意な関連(連続変数として)、および/または統計的に有意な傾向検定、および/または上位のばく露区分におけるリスク上昇を示す。
C) 少なくとも3つのばく露区分に関する結果が報告されている。
 飲料水中のiAs濃度(総Asとして測定)は、まず、既定値または報告された水摂取量を適用し、食品からの寄与を考慮するために地域特有の推定値を加算することにより、食事ばく露量に変換された。尿中総iAs濃度は、尿量とクレアチニン排泄量に関する既定の係数を適用して食事ばく露量に変換された。
 用量反応解析に使用したデータは、研究で報告された調整済リスク比とコホート研究および症例対照研究それぞれから提供または推定された母集団のサイズに基づいて調整された発生率および結果の症例数である。
 バイアスのリスクは、研究を選択するための包含/除外基準の一部としてすでに考慮されていたが、選択された研究について、追加の比較バイアスリスク評価が実施された。EFSAは、異なるエンドポイントおよび健康影響にわたってモデリングへのインプットを提供するエビデンスを比較評価することによって、RPの導出に関連する情報に基づいた審議が強化されるため、このレベルの精査が必要であると考えた。
 EFSAは、全体で20件の疫学研究をBMDモデリングでの使用に適切であるとみなし、BMD計算の結果は、適切なRPを導出するためにさらに検討された。BMD分析は、EFSAの「ベイズBMD」ウェブツールとBMDモデリングに関する2022年のEFSAガイダンスを用いて行われた。ただし、EFSAは、当該ガイダンスがヒトのデータのモデリングに特化されていないことを認めている。
 疫学研究の結果は、罹患率(IR)、罹患率比(IRR)、ハザード比(HR)、オッズ比(OR)、有病率(PR)の形で、大まかなリスク推定値および調整済リスク推定値として報告された。現行のBMDアプローチでは相対リスク推定値をモデル化していないため、相対推定値は自然数/整数に変換する必要があった。EFSAは、そのために2011年のJECFAによるアプローチを適用した
 EFSAのガイダンスでは、ヒトのデータの適切なベンチマーク応答(BMR)の選択に関する正式なガイダンスが提供されていない。これまでの評価では、個別に適切なBMRを検討し、定量的な実験動物データに対する既定BMRの10%より小さい値を適用してきた。今回、EFSAは、交絡因子調整後、最も低いばく露区分から推定されたバックグラウンド発生率の5%増を適用することを決定した。検討されたエンドポイントについては、1~5%のBMRが公衆衛生に関連するとみなされた。
 最も低いBMDL(0.15 μg/kg体重/日 以下)は、皮膚、肺および膀胱のがん、呼吸器疾患、慢性腎臓病、虚血性心疾患に関して算出された。RPとして、EFSAは、扁平上皮がん(皮膚がん)に関する症例対照研究から、BMDL05を0.06 μg iAs/kg体重/日と算出した。当該研究(Gilbert-Diamondら、2013年(※訳注5))は、米国で実施され、質が高く、バイアスのリスクが低いと考えられた。RPの選択は、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアの集団における基底細胞がん(皮膚がん)の発生率を調べた研究(Leonardiら、2012年(※訳注6))によって支持された。後者の研究のBMDL05は著しく低く(1日あたり0.01 μg/kg体重)、研究に用いられたばく露用量の設定数は米国の研究における3点に対して5点であるが、EFSAは、Leonardiらの研究は、Gilbert-Diamondらの研究のように集団対照ではなく、病院対照を使用しているため、バイアスのリスクがわずかに高いとみなした。1%または10%のBMRを用いてGilbert-Diamondらの研究をモデル化した結果、BMDおよびBMDLはそれぞれより低い値と高い値を示したが、その差はそれほど大きくなかったことから、EFSAはRPの妥当性をさらに強化するものであると判断した。Leonardiらの研究をモデル化した際のBMDL05は、最低ばく露区分の中央値の約10分の1であると共に、BMDは対照区分のばく露量を下回っており、EFSAは推定が不確実であると考えた。
 EFSAは、肺と膀胱のがん、皮膚病変、慢性腎臓病、呼吸器疾患、自然流産、死産、乳児死亡率、神経発達への影響についても、1日あたり0.06 μg iAs/kg体重のRPが適用できると結論した。
 iAsおよびその3価と5価のメチル化代謝物は遺伝毒性発がん物質であり、閾値機構と非閾値機構の両方が適用される可能性があるため、EFSAは、健康影響に基づく指標値(HBGV)を設定することは適切ではなく、代わりにMOEアプローチを適用することが適切であると結論した。しかし、EFSAにはヒトのがんのデータから導出されたBMDLを使用して懸念の低いレベルを特定した前例がなく、したがってガイダンスもないことから、EFSAは懸念の低いレベルを導き出すことができなかった。
 不確実性と不確実性分析(省略)
 ばく露評価
 欧州委員会勧告(EU)2015/1381は、加盟国に対し、2016年、2017年および2018年に、様々な食品中のAs(iAs、総As、およびその他の関連種)の存在を監視するよう勧告した。
 新たに入手可能となった存在データは、2021年に更新された消費者ばく露評価で評価され、この評価結果は2023年のEFSA意見書案に使用された。
 0.06 μg iAs/kg体重/日のRPを用いると、平均的摂取量と高摂取量の成人消費者のMOEは、それぞれ2~0.4と0.86~0.18であった。

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地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/EFSAs%202023%20re-evaluation%20of%20the%20risk%20to%20public%20health%20from%20inorganic%20arsenic%20in%20food
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