食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06110040314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、食品中のミネラルオイル成分に関するQ&Aを更新 (前半1/2)
資料日付 2023年7月31日
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概要(記事)  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は7月31日、食品中のミネラルオイル成分に関するQ&Aを更新した。概要は以下のとおり。
 ミネラルオイル成分は、様々な経路で食品に混入する可能性がある。例えば、認可済み食品添加物、包装材料の製造のための添加物、または食品の加工中などに食品に移行することが予想される。また、環境汚染、農業機械、不適切な輸送または加工の方法、及びフォードチェーンに沿った蓄積などによる混入も考えられる。
 この観点から、BfRは長年にわたり、例えば、特に、新聞印刷用インク由来のミネラルオイル成分を含む可能性のある印刷古紙が段ボールの再産に使用されることから、再生段ボール箱から食品へのミネラルオイル成分の移行は可能であり、予想されることであると指摘してきた。これらの物質の移行は、これまでのところ、特に米やセモリナなど、表面積の大きい乾燥食品で検出されている。
 このような背景から、BfRは、食品中のミネラルオイル成分が健康リスクをもたらすかどうかの評価を実施した。
 BfRは、次の通り、包装材料から食品に移行する可能性のあるミネラルオイル成分について、よくある質問と回答をまとめた。
 ・BfRはいつ、包装材料から食品へのミネラルオイル成分の移行の問題に注目したか?
 BfRは、2009年に、チューリッヒにあるスイス連邦州立研究所(das schweizerische Kantonales Labor)の調査結果に基づき、ミネラルオイル成分の食品への移行の問題に注目した。
 当該研究所は、段ボール箱に8か月間保管されていた米からミネラルオイルの混合物を検出した。測定された移行量のかなりの割合は、段ボールからミネラルオイルが気体として放出されることによって起こったと推測される。
 ・ミネラルオイルの健康リスクは、どのようなものが知られているか?
 特定の鎖長範囲(炭素原子数が約10~45)の飽和炭化水素(MOSH)は体内に吸収され、ヒトでも肝臓、脾臓、脂肪組織、特定のリンパ節などの臓器で検出されることがある。ある種のMOSH(非分岐鎖の炭素原子数が約25~35)を含むミネラルオイル混合物は、特定の系統のラット(いわゆるF344ラット)において、肝臓への沈着と炎症作用を引き起こすことが動物実験で知られている。欧州食品安全機関(EFSA)は、2023年3月に発表した暫定的意見書(https://connect.efsa.europa.eu/RM/s/publicconsultation2/a0l09000006qqHf/pc0400)において、ヒト及び動物実験から得られた新たなデータに基づき、この動物実験の知見はヒトには無関係であると結論した。そして、上述のMOSH画分は、F344ラットとは対照的に、ヒトの肝臓及び脾臓には蓄積せず、また、報告された毒性学的影響もヒトの組織試料では観察されなかった。超高用量を除けば、EFSAはMOSHのヒトへの悪影響を確認していない。しかし、データの状況は不完全であり、特に動物における長期的な研究や、ミネラルオイルの長期(生涯にわたる)摂取後のヒトの臓器におけるMOSHレベルに関するさらなるデータが不足している。 外因性の物質の蓄積は基本的に望ましくなく、起こりうる(まだ未知の)毒性学的影響は蓄積したMOSHに起因する可能性が最も高いため、EFSAは臓器及び組織におけるMOSHの蓄積の影響に基づいて健康リスク評価を行った。
 食品から検出される芳香族炭化水素化合物(MOAH)は、様々な混入源に由来する可能性がある。MOAHは、1つ以上の芳香環を持ち、炭素と水素に加えて硫黄を含むこともある化合物である。また、芳香環には飽和炭化水素の短い、または長い側鎖が複数あることが多い。MOAHの中には変異原性や発がん性のあるものもある。個々の物質の数が多いため、毒性学的データはごく限られた範囲でしか得られていない。しかし、上述のEFSAによる暫定的意見書にも記載されている新しいデータは、変異原性及び発がん性のある物質は、3つ以上の芳香環を持つMOAHのグループにしか含まれていないというこれまでの評価の仮説を支持している。従って、EFSAの暫定的意見書(2023)は、食品中におけるこのグループの物質の存在をリスク評価の根拠としている。
 原則として、食品のこのような汚染は望ましくない。従って、BfRの観点からは、ミネラルオイル、特に芳香環を3つ以上持つMOAHの再生紙や段ボールから食品への移行、及び他の供給源からの混入を、さらに最小限に抑えるべきである。
 ・2023年のEFSAの健康リスク評価の結果は?
 MOSHに関して、EFSAは、食品を介した欧州の人々の現在の摂取レベルは懸念すべきものではないと結論している。これは、近年、ミネラルオイルの食品への移行を減らすための当局と産業界の努力が実を結んだ結果でもある。しかし、EFSAは、但し、毒性学的影響及び長期間にわたるヒトの臓器や組織におけるMOSHの蓄積については、さらなるデータが必要であると指摘している。
 食品中のMOAHレベルの評価では、3つ以上の芳香環を持つ画分は、変異原性物質及び発がん性物質を含んでいる可能性があるため、特に重要である。しかし、当該画分が食品中のMOAHに占める実際の割合に関するデータはほとんどない。そこでEFSAは、現実的な「最悪の場合」と「最良の場合」の2つのシナリオを設定した。「最悪の場合」のシナリオでは、全ての人口集団に懸念があり、「最良の場合」では、特に幼児期の頻食グループに懸念があった。ここでのEFSAの主なコメントは、3つ以上の芳香環を持つMOAHの食品中における実際の存在について、より多くのデータが必要であるというものであった。加えて、1つまたは2つの芳香環を持つMOAHに特化した毒性学に関するデータも不足している。

(後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06110041314)
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL https://www.bfr.bund.de/de/fragen_und_antworten_zu_mineraloelbestandteilen_in_lebensmitteln-132213.html
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