食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06090300314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、ボツリヌス症に関するQ&Aを更新 (1/3)
資料日付 2023年6月15日
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概要(記事) (この記事は 1 / 3 ページ目です)
 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は6月15日、ボツリヌス症に関するQ&Aを更新した。内容は以下のとおり。
 ボツリヌス症は、「ボツリヌス神経毒素」と呼ばれる毒素によって引き起こされる重症疾患である。この毒素は、食品や飼料中において特定の条件下で主にボツリヌス菌(Clostridium botulinum)が産生するもので、食品や飼料とともに摂取される。まれに、細菌そのものがボツリヌス症の引き金となることもある。この病気は通常、視覚障害、口渇、言語障害、嚥下障害などの特定の神経障害を引き起こし、致命的となりうる。ヒト、動物ともに罹患する可能性があり、家畜では牛が主に罹患し、鶏や七面鳥などの家きんも罹患する。
 Q1: ボツリヌス症とは何か?
 A1: ボツリヌス症は、「ボツリヌス神経毒素」によって引き起こされる疾患である。ボツリヌス神経毒素は、主にボツリヌス菌によって産生され、吐き気、下痢、便秘のほか、視覚障害(複視など)や麻痺、さらには呼吸麻痺などの神経症状を起こすことがある。また、C. botulinumの他に、C. butyricumやC. baratiiの一部の株もボツリヌス神経毒素産生能を有する。本疾患は、動物及びヒトで発症する可能性がある。
 Q2: ボツリヌス菌、ボツリヌス菌芽胞、ボツリヌス神経毒素の違いは何か?
 A2:
・ボツリヌス菌(C. botulinum)は桿菌で、酸素のない環境でのみ増殖するため「嫌気性細菌(Anaerobier)」とも呼ばれる。環境中に広く存在し、食品を加熱(食品のあらゆる箇所が70℃以上)すると死滅する。増殖する細菌は「栄養細胞」とも呼ばれ、芽胞や毒素を産生し得る。
・ボツリヌス菌芽胞はボツリヌス菌により形成される、耐熱性を有する発達段階の細胞構造で、環境中に広く存在する。栄養細胞とは異なり、増殖はせず休眠状態にある。100℃以上の高温でないと失活しない。このため、保存食品(缶詰)の製造では、121℃で3分間煮沸するいわゆるボツリヌス加熱処理(Botulinum-Kochung)が開発された。
・ボツリヌス神経毒素は、「BoNT」とも略され、酸素のない環境下でボツリヌス菌細胞が産生する可能性がある。これらは、食品を100℃で高温調理することで失活する。80℃での加熱の場合は、失活にはさらに数分を要する。
 Q3: ドイツにおけるボツリヌス症の発生頻度は?
 A3: ボツリヌス症は現在では非常に稀である。ドイツでは通常、ボツリヌス症の報告は年間10件以下であり、そのほとんどが汚染された食品によって引き起こされている。
 Q4: ボツリヌス症はどのようにしてヒトに伝播するのか?
 A4: ヒトのボツリヌス症は、主に食品媒介疾患である。これは、酸素がなくボツリヌス菌が増殖でき、神経毒素を産生できる加工食品の摂取と常に関連している。また、食品を介して伝播する別のボツリヌス症には、腸内細菌叢の不足により当該細菌が腸管に定着し、そこで神経毒素を産生することにより起こる乳児ボツリヌス症がある。BfRは、小冊子「食品からのボツリヌス症に関する消費者向け情報」(※訳注1)の中で、感染リスクを低減する方法についてまとめている。ボツリヌス症はまた、創傷部位のボツリヌス菌の感染によっても起こる。
 Q5: ボツリヌス症の原因となる主な食品は何か?
 A5: ボツリヌス菌は環境細菌であるため、あらゆるところに存在する。この細菌は、耐熱性の芽胞を形成し、埃や土の粒子と共に食品に付着することもある。酸素がなく、十分な栄養素があれば、神経毒素を産生することができる。従って、主に低酸素状態で保存されている食品には、ボツリヌス神経毒素が含まれている可能性がある。このような食品の摂取はボツリヌス症の原因となる可能性がある。
 ボツリヌス症を起こす食品の典型的な例は、十分に加熱されていない自家製の野菜や肉の保存食品である。生き残った芽胞は、酸素が排除された状況で発芽し、増殖可能な細胞となり、神経毒素を産生する。一方、工業的生産では、これらの食品は十分に加熱され、芽胞は死滅する。
 現時点で、生乳や生鮮肉がヒトにボツリヌス症のリスクをもたらすという証拠はない。
 Q6: ボツリヌス症の原因となるその他の食品は何か?
 A6: 野菜(パプリカ、トウガラシ、ナス、ニンニク、生ハーブなど)をオイル漬けで保存する場合、一般家庭では、製品中のボツリヌス菌の増殖やボツリヌス神経毒素の産生を確実に防止することはできない。従って、BfRは、野菜のオイル漬けやいわゆるハーブオイルなどの自家製製品を一般家庭でストック用に製造・保管しないよう勧告している。それらは、冷蔵庫で保管し、遅くとも製造の翌日には消費するようにすべきである。特に、摂取前に製品を十分に加熱しない、あるいは、加熱調理、炒め物などに使用せず、サラダやその他の生の料理に使用する場合などには留意が必要である。
 ローチ(※訳注:コイ科の淡水魚)などの塩漬・乾燥魚も十分に加熱せずに摂取すると、ボツリヌス症の原因となる可能性がある。魚の内臓の除去が不十分で、内臓も共に摂取した場合、健康リスクは高まる。このような魚は、捕獲後速やかに内臓を丁寧且つ完全に取り除き、内部も表面もよく洗うべきである。さらに、魚を塩漬けするまでは3℃以下で保存し、塩漬けの数日間も冷却し、8℃以上で乾燥させる前に十分塩漬けする必要がある。BfRは、塩漬・乾燥魚は、内部温度が85℃以上で少なくとも10分間加熱したもののみを摂取するよう消費者に助言している。
 ハチミツはいわゆる乳児ボツリヌス症の原因として知られている。従って、ハチミツは1歳未満の乳児には与えるべきではない。乳児ボツリヌス症を起こす可能性のあるその他の食品は、今のところ特定されていない。

(次ページの内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06090301314)
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL https://www.bfr.bund.de/de/selten__aber_vermeidbar__fragen_und_antworten_zum_botulismus-70355.html
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